飲食店経営者の今 第4回 宮田 一也氏


宮田屋珈琲社長 宮田 一也氏
みやた・かずや/1957年鹿児島県生まれ。高校卒業後に陸上自衛隊に入隊。退官後は札幌市内のカーディーラーなどで営業マンとして勤務し、90年に「宮田屋珈琲」を設立。現在は札幌市内でカフェを9店舗経営する

コロナ禍の人々に癒やしの空間と時間を提供する

オフィスにコーヒーマシンを貸し出し、自家焙煎した豆を販売する仕事は需要が見込めたことから、脱サラして1989年に妻と2人で小さなコーヒー豆の焙煎場を立ち上げました。
当初は現在の清田本店の2階で暮らしながら1階の工場で焙煎した豆を売り歩いていたのですが、試飲用の席を設けたところ好評で、喫茶店の経営に乗り出しました。転機となったのは「豆蔵珈房 宮田屋」(現・東苗穂店)の開店です。90年代半ばに偶然目にした倉庫を気に入って借り受けたのですが、喫茶店では珍しい広い店内が評判となり客足が伸びました。

多店舗化が進み現在では、古民家や蔵を改装した店舗のほか、札幌市役所1階の「元気カフェ宮田屋」など9店舗体制です。2019年には生まれ故郷の鹿児島県垂水市の「道の駅たるみず」にも出店しています。

こだわりは自家焙煎のコーヒーはもちろん、広さを生かした静かな空間づくりです。お客さまが1人の時間を楽しめるよう利用者の顔が見えず、体も触れないように設計しています。席はもちろん通路や階段の配置にも気を配っています。
またコーヒーカップは全て有田焼や薩摩焼の陶器です。飲食店では食器は消耗品なのでコスト的に厳しいのですが、お客さまに目でも楽しんでいただきたいという思いで定期的に窯元に出向き買い付けています。

新型コロナの影響ですが、20年度は中心部の店舗の落ち込みが激しく、前年比60%ダウンです。しかし全店平均では20%減だったため、持続化給付金の対象とは成らず、毎月数百万円の減収が続いています。持ち出しと金融機関からの借り入れでしのいでいる状況です。私ども地場のチェーン店は店舗数は多いが大手ほどの体力は無い。非常に苦しい状態です。
また、喫茶店は夏に稼いで冬は耐えるという傾向が強い。特に当社の場合、店舗が大きく駐車場も広いため、冬は暖房を24時間稼働させており、大型店では灯油代が月40万円にのぼる。駐車場の除雪費もおなじくらいかかります。この冬はなんとか乗り切りましたが、この夏の売り上げ次第では、さらに厳しい。

また、私個人の思いもあり、地方から出てきた若者を応援しようと学生アルバイトを多く採用している。休業など雇用面でのジレンマも抱えています。
ただ、コロナ禍だからこそ喫茶店に需要がある。当店はもともと席と席との間が広いのでソーシャルディスタンスに配慮できます。今後は従来のサンドイッチデリバリーに加え店頭販売も強化します。苦しい時期ですが癒やしの時間と空間を提供し続けていきます。


東苗穂店


豊平店