飲食店経営者の今 第1回 青木 定信氏


エーピーアール社長 
青木 定信氏
あおき・さだのぶ/1953年生まれ。航空自衛官退職後バーテンダーとして勤務。78年に居酒屋「一文銭」を譲り受け、経営に進出。85年に創業。居酒屋や和食店、バー、クラブ、ラウンジ、イタリアン、スイーツ、ラーメン店など30店を経営。ススキノを代表する飲食チェーンを率いる。

道民の元気の源であるススキノと従業員を守る

24歳でご縁があってススキノの居酒屋「一文銭」を引き継ぎました。いまでいう事業承継です。85年に法人化しました。現在は「ニッカバー」「おたる亭」「サライ」など30店舗を運営し、子会社で海外事業も展開しています。

昨今のコロナ禍の影響ですが、5、6月には売り上げは前年比50〜60%まで回復しており夏場も好調でした。ただ、全国的な感染拡大で、忘新年会シーズンにキャンセルが相次ぎました。厳しい状態が続いており、現在は10店舗だけで合同営業を続けています。

感染対策としては、ススキノに先駆けて6月に従業員とキャスト120人に抗体検査をおこないました。全員陰性でした。

郊外の飲食店の中には、影響が軽微なところもあるようですが、ススキノの影響は長引いています。その要因のひとつは、当初一律の保証金にしてしまったことです。抱えている従業員や、売り上げ、箱の大きさがさまざまにも関わらずです。結果、自粛中に営業する店舗が増えてしまった。

もうひとつは、日常使いできる店が少ないことがあります。会社帰りに途中下車するというよりは、わざわざやってくる地域です。飲み方の慣習で1次会の居酒屋、2次会のスナック、3次会のショーパブなど複数店舗に出向きます。どこかに制約がかかると、連鎖的に客足は遠のきます。

また、実は常連の中には道外客が多かった。仙台や東京から直行便で月1で来店されるお客さまが軒並み減っています。

ただ、2〜3人が大半ですが小規模な接待の需要はあります。当店は箱が大きいため、ソーシャルディスタンスに配慮できるという利点があります。この傾向が続くと古いタイプの大部屋の居酒屋は無くなってしまうかもしれません。

スナックの閉店が続いているのも気がかりです。常連との関係が強固ですので、これが消えてしまうと、お客さまがススキノに流れにくくなるのではと危惧しています。

ただ、コロナで北海道の魅力が下がったわけではありません。海外のお客さまからの激励は相次いでいます。また、道民にとってはススキノは元気の源。食べる飲む遊ぶは1つの文化ともいえます。これを無くさないようにしていきたい。経営者として当面の赤字は覚悟しています。ススキノと従業員の雇用を守るためにも、特に個人事業主のホステスさんに対する支援金が急務です。国や自治体にはいま少しのご支援を頂きたい。


「おたる亭本店」


「ニッカバー」


クラブ「サライ」