【道2区補選】「与党不戦敗に有権者は怒っている」自民党員の長友隆典弁護士が無所属で出馬のワケ

「北海道の未来への躍進に向けて、朝のご挨拶と演説を始めさせていただきました」

 元農水相で衆院議員の吉川貴盛氏(収賄容疑で在宅起訴)が辞職したことにともなう、北海道2区補欠選挙(4月25日投開票)。自民の2区関係者は、札幌市北区・東区支部役員が中心となって後継候補の擁立を模索、札幌市議会議員の高橋克朋氏に出馬を要請した。だが、既報の通り党本部が早々と候補擁立の見送りを決めた。

 突然の、そして頭ごなしの擁立断念に困惑した自民地元関係者らは、不戦敗のねらいが「秋の解散総選挙で吉川氏の長男・隆雅氏擁立にある」と見る向きもあることから、地元の意向を踏まえた候補の擁立に向け、体制の立て直しを図っている最中だ。

 その中で、無所属候補として補選に手をあげたのが、自民党員で札幌市北区在住の弁護士、長友隆典氏(52歳)だ。

長友隆典氏 ©財界さっぽろ

 長友氏は熊本県で生まれ育ち、1993年九州大学大学院農学研究科水産学専攻修了。民間企業2社での勤務を経て、国家公務員試験一種に合格して96年4月に農林水産省へ入省。水産庁へ配属後、99年にアメリカ・デューク大学大学院へ派遣され、国際開発学修士を取得。また水産庁で捕鯨問題担当として国際捕鯨委員会への参加やイルカ漁地域の調査及び管理を担当した。

 2005年に農水省国際部でインドとの自由貿易協定締結を担当した後、06年3月に退職。翌4月から北海道大学法科大学院へ入学し、2年後の08年にはアメリカ・ウィスコンシン大学法科大学院へ留学、修了。13年に司法試験合格を果たし、第67期司法修習修了後の14年12月に札幌市西区で「長友国際法律事務所」を設立。札幌弁護士会所属の弁護士として活動している。

 一方で、司法修習生時代に自民党道連「HOKKAIDO政治塾」に入塾。現在も塾生として講義に参加している。

 長友氏は2月1日から2区内で街頭演説を開始。弁護士業務のかたわら、地域経済の基盤強化や、丘珠空港の滑走路延伸を始めとする利便性の向上などを訴えている。

 本誌の取材に対し、長友氏は「不祥事があったから反省して擁立見送り、というのは一見聞こえがいいが、説明責任を果たさず、批判を受け止めないのはおかしい。どこに怒りをぶつけたらいいのかわからない、2区内の有権者に対しても失礼だと考えた」と出馬の動機を説明。

 その上で、無所属で立候補した理由について、吉川氏の収賄容疑での辞職に対し「自民党と党員全体がこういうことをしているわけではない。それに私は農林水産省出身。農政が一部の人にねじ曲げられるようなことが許せない部分もあった」と語気を強めて話す。

 現在のところ、長友氏は地元支部を始めとする自民党に対して、推薦を依頼することは考えていないという。

「今の日本で国会議員になるには、政党に所属した上で地盤、お金がないと事実上は難しい。ただ今回は、自分の住んでいる地域でそうした議員が辞職したことで巡ってきた、数少ない機会だと考えています」と長友氏は意欲を見せている。

左から松木謙公氏、平岡大介氏、小田々豊氏 ©財界さっぽろ

 長友氏のほか、現在は立憲民主党元職の松木謙公氏(61歳)、共産党前札幌市議の平岡大介氏(31歳)の野党候補2人が出馬を表明。共闘に関する協議が進展すれば、両者のいずれかに一本化されるが、記事の執筆時点で見通しは立っていない。

 また高知県在住の政治団体代表、小田々豊氏(65歳)も出馬を表明している。

 2月15日発売の月刊財界さっぽろ2021年3月号では、自民地元支部不戦敗の影響、長友氏のバックボーンや無所属からの出馬に至った経過についてさらに掘り下げるほか、一度も選挙で勝利したことのない吉川氏が自滅、退場したことで大チャンスが訪れた松木氏の足元で燻る共闘不要論、吉川氏の盟友だった自民選対委員長・山口泰明氏の心中、もの申した「吉川氏の天敵」についてなど、近づく2区補選について本誌ならではの深層情報満載でお届けする。

 なお月刊財界さっぽろ2021年新年特大号では「吉川貴盛“鶏卵収賄”疑惑」と題した特集を組んだ。吉川氏の70年の半生に迫り、極貧の幼少時代、鳩山家との知られざる縁、妻との死別など、地元誌しか知り得ない貴重なエピソードを掲載。

吉川氏の知られざる一面を紹介 ©財界さっぽろ

 今回、この特集を特別編集する形で、特集部分を中心に12ページをデジタル版として販売する。価格は税込110円となっている。購入は下記のリンクから。

特別編集・吉川貴盛[元農水相]“鶏卵収賄”疑惑の全背景

 また月刊財界さっぽろ2021年2月号では、吉川氏の辞職以後も四分五裂する自民道連の“ていたらく”について「道連会長人事で四分五裂 “自滅の刃”が自民党道連を襲う!」と題した記事で紹介。橋本聖子氏や長谷川岳氏など、自民道連内の国会議員・主要道議会議員などがそれぞれどのように繋がっているのかを人物相関図で詳報している。

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