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生活に潜むリーガルハザード掲載号:2019年10月

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弁護士 前田 尚一
まえだ・しょういち/1959年1月22日岩見沢市生まれ。
北大法学部卒。93年前田尚一法律事務所開設。
UHB「のりゆきのトークDE北海道」、STV「どさんこワイド」出演。
JR札幌病院倫理委員・臨床研究審査委員。
元・北海道大学法科大学院実務家教員

第8話 交通事故に遭ってしまった場合の心構え

〝正論〟が〝正解〟とは限らないという現実

 交通事故によって通院中でも、保険会社から「事故からしばらくたちましたので今月で病院への支払いは止めます」と通告されることがあります。
 保険会社の言い分に根拠がある場合と、そうでない場合があります。専門家に相談したら「権利なのですから、徹底的に治療費の支払いを主張すべき」とアドバイスされた人に会ったことがありますが、現実は自社の判断で止めるのが保険会社の対応であり、法的手段を用いて即効に支払いを復活させるのは容易ではありません。
 一度頭を切り替える必要があります。保険会社が治療費の支払いを止める時期であれば、多くの場合は健康保険を使えば個人負担はそれ程でもないのが実際です。
 ただ「交通事故の場合、健康保険は使えません」と対応する病院があることを知っておいてください。数年以上前ですが、私の妻が交通事故に遭い、念のため病院を受診した時の話です。検査を終えて支払いをしようとすると「健康保険は使えません」と言われた、というのです。
 これは、とんでもない〝ウソ〟です。例外はありますが、所定の手続きをすれば保険診療を受けられます(「第3者行為による傷害届」の提出)。病院としては同じ治療でも多くの報酬を得られる自由診療にしたくなるわけです。中には、受付が健康保険は使えないと思い込んでいる(思い込まされている?)こともあるようです。

知識不足を専門家で補う  相談相手で結果は変わる

「被害者の自分がなぜ健康保険を使わなければならないのか」とお怒りの方もいるでしょうが、それがかえって被害者に有利になることもあります。
 被害者は通常、しばらくは保険会社から病院に直接治療費が支払われるため、その内訳を気にしません。しかし、例えば任意保険に入っていないがために足が出たり、被害者にも過失があるケースなどは、せっかく得た賠償額の手取り分が、高額な自由診療によって激減してしまうケースがあるのです。支払いを打ち切られたら、自身の保険診療に切り替えましょう。
 素人が解決できる知識を備えているはずはありませんが、上記の場面だけ見ても、知識不足は損。被害者の知らないところで医療機関が納得できない運用をする場合もあるのですから。
 後日お話しますが、もっと大事なことは自分の遭遇した事故が「人損」か「物損」かということ。人損だとして、後遺障害が認められるか否かによって、被害者に有利となる流れに変わってくるということです。まずは不安があれば、専門家に相談されるのが得策です。

前田尚一法律事務所:
フリーダイヤル 0120・48・1744
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