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2016/05/09(月) 下請け業者の悲哀

「北海道開発局長」に宛てた告発文のコピーと思われる文書が送られてきた。告発文と一緒に各種の資料(元請会社の登記、訴訟時の陳述書、請求書、診断書等々)も同封。告発の趣旨は、元請から工事代金が支払われないことに対する〝ひ孫請け〟の切実なる訴え。これが公共工事の現実か。以下告発文全文と、告発人と同じ下請け工事をおこなっていた業者の陳述書全文。いずれも原文は実名。

<北海道開発局長殿

告発人  TS工業代表F・K(札幌市東区)

被告発人 T建設社長T・Y(十勝管内M町)

第一 告発の趣旨
被告訴人の下記告発事実に記載の所為は、工事代金不払いに該当すると思料しますので調査して頂きたく告訴致します。

第二 告発事実
被告発人は平成21年度、北海道開発局から一般国道38号帯広市札内橋補修工事を受注し、下請け会社である株式会社Dに委託し、有限会社Hを受注し、告発人経営のTS工業が工事を担当しました。しかし、金600万円の支払いもありませんでした。

第三 告訴に至る経緯
1. 株式会社Dと有限会社Hの経営者は同じだが、利益を計上するためにこのような商流となった。
2. 告発人工事に必要なトラック5台、機械・工具一式すべてを用意した。また代金は日当たり計算して請求する約束事をしました。
3. 工事中に被告人の指示のもと、株式会社Dが取り外した作業時に、光ファイバーのケーブルを切断したが、この復旧費用を保険で対応した。
4. しかし、告発人の現場作業員が工事中に手の指がもげる怪我をした際は、労災保険を使用せず実費で治療した。
5. この工事は評価され、開発局長表彰となった一方、このような代金不払い事実が存在していることは倫理的、道徳的に許されないことである。
6. これまで弁護士を頼み、裁判に踏み切るつもりでいたが、調停となり、中途半端で手打ちとなった。

被告人の行為は社会の秩序を乱すものであり、告発人の会社経営を破綻に追い込んでいます。その後、裁判もないことを断じて許すことができないので、厳重な調査の上、被告発人を厳罰にし、代金を回収して頂きたく、ここに告発するものであります。なお最後になりますが、告発人は本件に関し、以後調査に関して全面的な協力をすることを、お約束致します。何卒お話を聞いて頂きたいです。>

 次いで2013年1月19日付の陳述書。文書の右上に「甲第6号証」の印章がある。陳述者は告発人と一緒の下請け業者である。あまりにも立場の弱い下請け。過酷な現実が赤裸々に語られている。

<1 はじめに
 私は、2010年2月まで有限会社W工業という会社の代表者として、主にF・KさんのTS工業とともに下請け工事を行ってきました。現在は、Fさんの下で従業員として働いています。
 私は2009年10月から12月末まで、FさんがDさんから受注した札内橋の工事で、W工業として現場に行きました。この工事に関することについて、私が知っていることをご説明したいと思います。

2 札内橋の工事について
(1)札内橋の工事は、ものすごい重労働でした。
 まず、冬の屋外でコンクリートを混ぜなくてはならない点に、相当な無理がありました。冬の十勝で、車通りの少ない夜の工事をしなくてはなりませんから、気温はマイナス20度くらいになるわけです。普通は機械を使ってコンクリートを練るのですが、+5度を切ると機械そのものが使い物にならなくなるのです。ですから、大手コンクリート販売会社には、この現場は断られてしまったと聞いています。
 そういったわけで、この現場では、我々作業員が手作業でコンクリートを練らなければなりませんでした。機械を使うことができれば1時間程度で終わる作業だったのですが、重いコンクリートに70度のお湯を混ぜて手作業で練るのですから、ものすごい重労働でした。
 そして、今現在使われている橋の工事ですから、毎日朝になったら車を通すことができるように、片付けをその都度しなくてはならなかったのです。コンクリートを練った後、数時間かけて片付けをしました。
 このように工事が大変なものになるであろうことは、少なくとも私には計画段階から分かっていました。実際、計画では朝7時までにすべての工事と片付けを終えて撤収し、橋を開通させなくてはならない、と言われていたのですが、私は「できない」と主張していました。実際に、朝7時までに撤収することなど到底できず、作業員に長時間労働をさせざるを得ませんでした。
(2)札内橋はそういう重労働の工事だったのですが、現場で一晩工事をやってみると、最初に入った作業員だけでは工期に間に合わせることができない、ということが分かりました。やはり、当初の計画に無理があったのではないか、と思います。結局、元請であるT建設の判断で人工を増やしたので、なんとか工期を守ることができましたが、T建設が増やした人工台を負担してくれたのかは分かりません。

3 札内橋工事の下請け代金について
(1)札内橋の工事代金について、事前に総額を決めていたという話は聞いたことがありません。ただ、人工代については18,000円ということで事前に打ち合わせて決めてあったはずです。Hさんが、その価格で良いと言っていました。
(2)ただ、DはT建設から3000万円台で工事を請け負っており、それでは赤字になってしまうだろう、ということも聞いていました。聞工事が終わった後、私はW工業の代表者として、Dと「現場の反省」の話をして、なぜこんなに工賃が膨れ上がってしまったのかを考えました。現場で指示をしていたのは、Dで長年現場を仕切ってきたHさん、若い担当者のTさんという人、そして名前の分からないT建設の人でした。この人たちで現場での工事の進め方を決めていたのですが、どうもTさんは社長に逆らえないようでしたし、計画の立て方にも無理があったように思うのです。とはいえ、決められた工期だけは動かせませんから、ただ工期を守ることを最優先に、できるだけのことをやってきたのです。
(3)私やFさんのような下請けは、契約書を作ってもらったことはなく、支払いを受ける段になって請求書を出し、支払ってもらいます。請求書を出して、その値段で良いと言ってもらわない限り1円も支払ってもらえません。ですから、どうしても値段が折り合わない場合、とりあえず認めてもらった分だけの請求書を出して、その分を払ってもらってから、それ以上については後で話し合いをする、ということがあります。私も、札内橋については最初の請求書を認めてもらえなかったので、出し直しの請求書を作りました。そうしないと、1円も出ないからです。
 Fさんは、出し直しの請求書を出した後、話し合いをしましょうとDに言われて、連絡を待っていると聞いたことがありました。請求書を出しても、それが必ず最終的に折り合った金額とは限らない、ということです。以上>

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