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誕生5年、北海道から全国に発信する「極上の赤身肉」旭髙砂牛のさらなる可能性
取材日:2019年7月

写真大 旭髙砂牛の全てを味わえる「北海ちくさん」(札幌市中央区大通西15大通西ビル1階)

写真 飼料の中から酒粕を選んで食べる牛がいるほど。酒粕が肉質を改善する 写真 小山幸希氏 写真 松浦光氏 写真 樋田瑛氏

 今年5月、旭川のブランド牛「旭髙砂牛」を使ったステーキやハンバーグを提供する「北海ちくさん」が札幌にオープンした。手掛けるのは多彩な店舗を展開するシーピーエス(本社・札幌市)。生産者や店舗プロデューサー、店舗責任者などに旭高砂牛の可能性や未来について語ってもらった。

【酒粕を飼料に混ぜることで肉が柔らかく】

 旭髙砂牛を生産するのは旭川市の畜産農家「ひかり牧場」だ。社長の松浦光氏は、かつては社団法人日本食肉格付協会に勤務。肉のランク付けをしていた食肉のプロだ。そんな松浦社長が陣頭指揮を執る同牧場では、少数精鋭で約500頭の牛を育成。消費者に美味しいものを届けることを第一に考え、日々研究を重ねて生産をおこなっている。

 一方で、安値で取り引きされることの多い雄のホルスタイン種の市場価値を上げるための挑戦も続けた。

 着目したのは牛が酒好きなこと。そこで、甘くフルーティな香り立つ酒粕を用いることを思いつく。さらに、酒粕を飼料に混ぜることで肉質は改善され、柔らかくなるという研究結果を、北里大学栄養生理学研究室の分析で得たことでブランド牛「旭髙砂牛」が誕生した。100年以上の伝統を築く酒蔵「髙砂酒造」(本社・旭川市)とタッグを形成できたことも後押しした。

「出荷までに通常より長い肥育期間を設けることで、柔らかさと旨みを最大限引き出している」と松浦氏。

 この肉に目をつけたのが今回、ステーキ・ハンバーグ専門店「北海ちくさん」をプロデュースした小山幸希氏だ。

 小山氏は肉に関する独自の理論で飲食関係者から〝肉のプロフェッショナル〟として知られる。現在は地元神奈川県を拠点に焼肉店やステーキハウスなど肉をメーンにした5店舗運営。ノウハウを提供してフランチャイジャーとして15店舗に携わっている。

 北海道とのつながりは、野球推薦で東海大学旭川校に進学した時にさかのぼる。

「ケガで野球をやめざるを得なくなった。バイトをはじめようと思ったんですが、時給が安いので旭川市内に居抜きの焼き鳥屋を見つけ、大学に在学したまま個人事業で飲食店を始めました」と小山氏は当時を振り返る。

 そしてハンバーガーをメーンとした3店舗目が大きな転機となる。旭川産の素材にこだわり「江丹別おさらっぺ牧場」の短角牛を牧場から直接購入。自社でミンチにして提供した。その後、独学で道産食材や肉の知識を学んだという。

 旭髙砂牛との出会いについて小山氏は「生産頭数が少なく希少性も高い。可能性のある食材だと感じた」と振り返る。

 市場価値を感じた小山氏の取り組みによって、あらたな販路開拓が模索された。そして2016年には、旭川市がふるさと納税の返礼品として採用。一気に注目度が上がった。

【他ブランド牛にも匹敵。海外展開も視野】

 一方で小山氏は「肉用牛に比べると、季節によって肉の水分量にバラツキがある。また個体によっても味に差が出てやすい。肉を見る目を持った料理人を育てることが重要です」と課題についても言及する。

 そこで重要となるのが「北海ちくさん」店長の樋田瑛氏だ。「北海ちくさん」では一頭を丸ごと購入。1週間かけてハンバーグやステーキとして消費する。

 その際、個体差や季節による肉質の変化を考慮。サーロインや肩ロースなどの部位ではなく、その時々で状態の良い部分を赤身、上赤身、特赤身などと称して提供している。

 目利きをする樋田氏は以前は神奈川の店舗で勤務していた。いわば小山氏の右腕で、肉の目利きに対する信頼も厚い。松浦氏にその能力を買われて、同店の店長を任されている。

「調理を間違わなければ他のブランド牛に負けないくらいの高評価が得られると思っています」と樋田氏。

 さらに提供価格にもこだわった。問屋を通さないなど、流通経路をシンプルすることでコストダウンも実現している。

「高級志向の肉ではありません。美味しい肉をバクバク食べたいという人におすすめしたい」と松浦社長。

 また「北海ちくさん」にはショールームやアンテナショップ的な役割もある。

「今後は海外展開も視野に入れており、すでにシンガポールに3頭を輸出しました。〝極上の赤身肉〟として、北海道から全国、さらには世界に向けても発信していける店舗になれば」と樋田氏は語った。

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