金属部品の熱処理や精密機械加工、油圧シリンダーも受託
金属部品の熱処理加工や精密機械加工をおこなっている「池田熱処理工業」。
1961年の創業以来、国内外の自動車部品や建設機械、農業機械メーカーなどに部品を供給。グループ全体の年商はおよそ8億円で、特に熱処理分野では道内シェア9割を占める。
熱処理とは、金属に熱を加え硬化させる技術で、耐摩耗性・耐久性の向上を目的に産業機械の歯車、自動車のクラッチ板、農機具用のシャフトなどさまざまな分野でニーズがある。
「金属はムラなく均一な熱処理をしなければ、変形や割れが起きます。当社では半世紀で培った技術とノウハウを生かし、素材や質量、部品形状ごとに最適な方法で熱処理加工をおこなっています」と池田隆久社長。
同社には、特級金属熱処理技能士などの資格を有した技術者が在籍。高周波焼入れ、ガス軟窒化処理、真空熱処理、光輝焼入れ、焼鈍などの設備を用いて加工をおこなう。
また、24時間稼働できる「連続光輝熱処理炉」や「ガス軟窒化炉」などは大口のロットにも対応。4台ある「真空熱処理炉」の1つはAMS(航空宇宙材料規格)に準じており、将来的には航空産業への進出も検討している。
精密機械加工の分野でも道内随一の設備を誇っており、1級機械加工技能士と各種加工機械を揃え、ミクロン単位での精密部品の加工が可能である。
また、製造部門の品質と信頼性を追求するため、デジタルマイクロスコープなど最新検査システムの導入と専門検査員の育成をおこなっており、2015年度版のISO9001を取得。今後はISO9100や、Nadcap(航空機製造の特殊工程認証)などの取得も目指している。
これらの技術を活用し、油圧シリンダーの生産も手がける。生産数は年間数千本におよび、メーカーはもちろん、国や自治体にも納入実績がある。設計から製造まで自社完結できるので、小規模工場の産業用機械などのオーダーメード品の依頼も多い。「道内で熱処理と機械加工の両方の設備を有しているのは当社だけ。高品質な製品を短納期、低価格で提供することができます。今後もあらゆるニーズに応えていきたい」と池田社長。