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報INDEX

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News&Files 2019年12月号
取材日:2019年10月

写真大 センターを介したデータは、金融機関と税務署に同じタイミングで提供される仕組み

写真 田中裕之会長 写真 決算書の信頼性向上に役立つ〝三種の神器〟の書面

中小企業と金融機関からの支持を獲得 TKCのモニタリング情報サービスの利用が16万件を突破

 会計情報サービスのTKCが提供するフィンテックサービスの利用件数が、サービス開始から3年で16万件を突破。「企業と金融機関の関係強化に不可欠なツール」と称されるまで評価が高まっている。好調の背景を探った。

金融機関に財務情報を提供するサービス

 中小企業の成長には、金融機関からの融資が欠かせない。融資を受けるにはさまざまな条件があるが、近年重視されているのが、企業の事業内容や成長の可能性を表した「事業性評価」だ。2012年に「中小企業の会計に関する基本要領」が定められたことを背景に、金融機関は事業性の良否を判断する際に不可欠な〝正しく信頼できる決算書〟を求めている。
 こうした状況下で利用件数を伸ばしているのが、TKC(本社・栃木県宇都宮市、角一幸社長)が16年10月から提供しているフィンテックサービス「TKCモニタリング情報サービス」だ。同社は税理士と公認会計士の計約1万1400人の会員が所属する「TKC全国会」と連携してサービスを提供。道内でも利用件数が急増している。
 同サービスは、TKC全国会所属の会計事務所が、顧問となっている企業の財務データを金融機関に提供する無償のクラウドサービスのこと(左㌻図参照)。提供されるデータは、決算書、申告書、月次試算表などだ。
 金融機関へのデータ提供は、月次試算表が月次決算終了直後、決算書は税務署への申告と同時に同じものを自動的に提供する。そのため、財務情報の改ざんの余地がないことから、金融機関から高く評価されている。
 また、これまでの融資審査は、金融機関が取引先企業を訪問するなどして、決算書や月次試算表などのコピーを入手していたが、同サービスを活用することで、金融機関も労力をかけることなく、タイムリーに企業の経営状況を把握することができる。
 データはTKCが管理・運営するデータセンター「TKCインターネット・サービスセンター」を介しておこなう。センターは個人情報保護の国際規格「ISO/IEC27018」を国内で初取得したほか、データセンターの安全基準度を示す「ティア3」以上に対応。セキュリティ対策に万全を期しており、安心して利用できる。

 

3年で16万件突破 独自の融資商品も

 企業の利用件数はサービス開始以来、今年11月で16万件を突破した。メガバンクや地銀、信用金庫など全国で422機関が同システムを採用(11月8日現在)。道内では23機関が対応し、今年6月には北海道信用保証協会が加わったことも大きな話題となった。
 TKC北海道会の田中裕之会長は「当サービスを活用する中小企業は、金融機関の信頼を得ることで融資審査が早まり、資金調達力を高めている。これが道内でも認知され、当サービスを活用して円滑に資金調達し、事業拡大に役立てる企業が増えています」と語る。
 一方、金融機関の中には、同サービスを利用する取引先を対象に独自の融資商品を手がけるケースも出てきている。
 商工組合中央金庫では、対象企業に独自の融資商品「対話型当座貸越」を提供。これは中小企業、TKC会員、商工中金の3者が事業概況や見通しなどについて年に1回対話(会議)することを条件に無担保・無保証で最大3000万円まで融資をおこなうというもの。
 また、他の金融機関でも融資限度額は3000万円~1億円、金利は年0・4~4・0%を設定。短期継続融資の提供や経営者保証の免除など、一般の融資と比べて優遇されている。

〝三種の神器〟で決算書の信頼性を向上

 金融機関がモニタリング情報サービスを利用する中小企業を優遇している背景には、TKC会員事務所による取り組みが大きい。TKCでは会計要領への準拠状況を確認する「中小会計要領チェックリスト」と、記帳の適時性を確認する「記帳適時性証明書」、そして「書面添付」を決算書に添付する活動に取り組んでおり、これが金融機関の信頼を高めているからだ。これらはTKCで〝三種の神器〟と称している。
 特に書面添付は、税理士が決算にもとづく税務申告書の信頼性が高いことを「税理士法第33条の2」にもとづき保証する書類。書面を添付することで、突然の税務調査が回避されるほか、申告が適正であると認められた場合には「税務調査省略通知書」が発行されるなど、メリットが多い。
 TKC全国会は、三種の神器への取り組みやTKCモニタリング情報サービスの提供などを通して、中小企業の「黒字決算の実現支援」と「適正な税務申告」を強力サポート。中小企業の期待に応えている。
 田中会長は「企業と金融機関の橋渡し的な役割を担っていくことで、企業の成長を下支えし、道内経済の発展につなげることが私たちの使命。経営者と金融機関に当サービスのさらなる普及促進を目指していきます。サービスの詳細は、450人が所属するTKC北海道会の会員に相談してほしい」と語る。