手すりからモニュメントまで建築物の金属部材を手がける
「コーサイ」は1965年の創業。金属製建築部材(建築金物)の製造、加工から販売、取り付け工事までを手がけている。
過去には「旧北海道拓殖銀行」の各店舗に掲げられた支店名プレートの大半の製作を担うなど、高い技術力を生かし公共施設、ビル、マンションなどさまざまな建設現場に欠かせない存在となっている。
なかでも金属製手すりの分野では、じつに道内95%のシェアを有している。
また、近代建築で用いられる金属製パネルを用いた施工も得意としている。2011年に完成した「札幌駅前通地下歩行空間」の金属製天井部も同社が中心となって施工したものだ。
このほか、道内では数少ない銅製屋根の補修技術を保有。12年には小樽市指定文化財である「日本銀行旧小樽支店」の改修工事も請け負った。
こうした技術を支えているのが経験豊富な熟練工の存在だ。同社の製造の中核となる中沼工場(札幌市東区中沼町50番6号)には、複数の職人が在籍しており、自社で図面作成から製造、施工まで完結できるので、オーダーメード品の製作依頼も多い。店舗の屋外広告やサイン看板、商業施設の大規模モニュメント、個人向けのワインセラー用ラックに至るまで受注案件は多岐に渡る。
「当社のモットーは〝お客さまの孫の手になろう〟です。顧客のあらゆるニーズに対応できるように、常に生産能力や品質精度の向上に取り組んでいます」と親松誠一社長。そのため近年は鉄板の切断や塗装など、これまで外注していた一部業務の内製化を進めている。昨年は大型のレーザーカッターを導入。今年7月には、中沼工場の敷地内に建築部材専門の塗装工場も完成予定。
「こうした取り組みで納期の短縮が可能になり、お客さまの元に迅速に商品をお届けできるようになりました」と親松社長。
また、職人の技術伝承と人材育成にも取り組んでおり、ここ数年は若手を積極的に採用。20代の社員に対してベテラン職人が技術を伝えている。
親松社長は「永続的にものづくりをおこなっていくには、技術や技法を次世代に伝えていかなければなりません。人手不足が深刻ですが、業界全体を巻き込んで若い人材の育成に取り組んでいきたい」と語る。