話題の人

2019年

「安倍政権で一番の被害者は北海道だ」

山本太郎 れいわ新選組代表

参院選で躍進したれいわ新選組に野党各党は秋波は送っている。山本太郎代表は消費税5%を野党共通の政策にできるのならば、「れいわは捨て石になる覚悟だ」と力を込める。政策を訴える「全国ツアー」をスタートさせ、全道行脚もおこなった。

単独で政権を取る前に消費税を

――今夏の参院選を振り返っていただけますか。

山本 一番シンプルな言い方は、いち議員の山本太郎としては負け、れいわ新選組としては前進でした。

2013年の参院選(東京都選挙区)での、私の1議席しかなかったものが、今回は2議席獲得できた。そして政党要件も満たしましたから。

――「れいわ躍進」とマスコミの多くが報じました。

山本 正直、もう少し票が取れると思っていました。比例区全体での得票数約228万票をみたときに、少ないという印象を持ちました。3議席目となる自分も当選するつもりでいましたから。

――立憲民主党、国民民主党の両道連は、北海道でもれいわに票が流れたとみています。

山本 どうなんですかね。れいわ全体の獲得票数をみると、そもそも北海道での割合はそんなに大きくありません。大きく票が取れたのは東京や沖縄になります。

詳細な分析をしたわけではないので、立憲と国民に本来投票していたはずの人が、れいわに流れたかというと、正直わかりません。

れいわが旗揚げされていなければ、投票に行かなかった人もいたでしょう。そういうケースが多かったと思っています。

れいわとして一番重要なのは、政治、選挙に対して、距離を置いてしまった人たち、そもそも関心のない人たちに対して、「あなたも一緒に考えてほしい」とアプローチできること。それができるのは、いま、永田町でわれわれのグループだけだと考えています。

――れいわの政策を訴える「全国ツアー」をスタートさせました。どういったことを訴えていきますか。

山本 国民の生活の底上げがされなければ、日本経済全体の復活はあり得ません。復活のための一丁目一番地は消費税の廃止です。10月1日に消費税が増税されましたが、引き続き廃止を訴えていきます。

ここ数年の政治でとくに中小・零細企業に対して、過酷な環境がつくられてしまったと感じています。一方、税金の滞納の6割が消費税で、その滞納者は中小・零細企業になります。

そのため、消費税を廃止することによって、中小・零細企業の締まっている首を何とか緩める。負担が大きく軽減されるだけでなく、消費も喚起され元気を取り戻していくということにつながっていくはずです。

――野党全体では、消費税を引き下げて5%を旗印に共闘・連携していく可能性があると言われています。

山本 れいわとしては、消費税の廃止を訴え続けていきます。おそらくいまの政治勢力の中では、私たちしか訴えられない。

一方で、消費税廃止のためには、現実問題として、われわれが政権を取る以外にはない。もし政権を取れたとしてもこれは時間のかかることだと思っています。

しかし、われわれが政権を取るまで待てない、生活に困窮している人たちのために、少しでも税率を下げることにも取り組んでいかないといけない。

ですから、われわれが政権を取る前に、野党が連立しながら政権交代を起こすことも、選択肢として用意する必要があります。

ただし、野党がただ塊になるだけでは、安倍政権に勝てないと思っています。塊になった上で、共通の政策を掲げる必要があります。そして、それは生活に直結する消費税だろうと。誰もが1日一回は消費税を払っていますから。

消費税5%を共通の政策にできるのであれば、れいわは野党共闘の捨て石になる覚悟でやっていく。

逆に言うと、もし消費税5%を共通の政策にできないのであれば、単独でやっていくしかないということを意味します。

山本太郎を生かせる形での立候補

――れいわに野党各党が秋波を送っています。9月12日には共産党の志位和夫委員長と会談し、野党連合政権の実現や消費税廃止などに基本合意しました。

山本 そもそも現在、野党各党で連立政権構想を議論していこうという動きになっています。その中で、共産党とは組めないとか、そういう意見もあります。

しかし、じゃあ、どうやって政権交代を目指すのか、ということですよ。いまの野党の中で、自分たちの1党だけで政権交代ができるくらい勢いのある政党はありますか。

自分たちが熟するまで、政権交代が可能な党になるまで、向こう(自民党、安倍政権)に好き放題させるんですか、と。私はそれはあり得ないことだと思っています。

これまでの選挙で、野党共闘が実現し、候補者調整などがなされてきたと思います。

けれども、第2次安倍政権が誕生してから、結局、野党は野党であり続けた。それを考えるならば、より有権者が希望を託せるような話し合いを始めなくてはならない。一強多弱が長く続いた中で、冷静に考える必要があると思います。

野党が力を合わせて、政権交代したときには、どのような将来が待っているのか。国民のみなさんに、きちんとプレゼンできる状況をつくる必要があります。各党が知恵を持ち寄って、それらをハイブリッド(異種のものを組み合わせる)していくことが重要だと考えています。

そのための話し合いであれば、私はすぐにでもやりましょう、というスタンスで、志位さんのお誘いに応じたのです。

――野党連立で政権交代が実現した場合、山本代表は総理大臣を目指すのか。それとも連立政権の中で誰かに託す選択肢もあるのか。

山本 連立政権の場合、野党第一党の党首が首班指名を受けるのが一般的です。消費税5%への減税が共通公約になるのなら、私もそう書きます。

私は総理大臣になりたいためにやっているわけではありません。われわれが実現したい社会を実現してくれるリーダーがいるのなら、全力でお支えします。

いないのなら私がやるしかない。

――立憲民主党と国民民主党らの国会での統一会派合意をどうみていますか。

山本 もともと一緒でしたよね(笑)。内輪もめは、はっきり言って有権者には関係のない話です。

――NHKから国民を守る党については。

山本 ん~。参院選の受け皿の1つだったんだろうという認識です。

――連携の可能性は。

山本 とくには考えていないです。政策について何かしらの呼びかけがあったら、内容によって判断することになると思います。

――次期衆院選はいつとにらんでいますか。

山本 11月20日解散、12月15日投開票がささやかれています。決めるのは向こうなので、いつ選挙になってもいいような状況にしておかなくてはならない。

――すでに公言していますが、100人規模の候補者を擁立する?

山本 これには前提があります。れいわが単独で選挙をやるのか、やらないのかということです。

単独でやる場合は当然、100人擁立の実現を目指します。単独でやらない場合は、消費税5%が野党共通の政策になり、ともに戦うということ。

――北海道で候補者を擁立する可能性は。

山本 単独でやるとなったら、100人擁立しなくてはなりません。当然、北海道を含めた多くの地域に候補を立てます。

ただ、単独でやらない場合は、野党共闘が実現しもともとすみ分けできているようなところには、配慮が必要だろうと思っています。与党が利するような候補の立て方は避けたい。

一方で、単独でやる場合は比例の票も取らないといけないので、小選挙区にもシッカリ立てなくてはならないと思います。

――次の衆院選で政権交代を目指しますか。

山本 もし目指さないような政党があるならば、政治をやめたほうがいい。

――次期衆院選、参院選への再挑戦、東京都知事選など、山本代表自身はどの選挙に出馬する?

山本 現時点では、どの選択肢も排除しないということですかね。たかだか山本太郎ですけど、そのカードを最大限に使えるような立候補の仕方をやっていきたいとは思っています。

左派ポピュリストと呼べばいい

――一部ネットニュースなどで山本代表は左派ポピュリストと称されています。

山本 極論は何と呼ばれても構いません。

いま、間違いなく人々の生活は困窮している。消費税を上げ続けることによって強制的に物価は引き上げられ、実質賃金は下がっていく。それに労働環境も壊されています。

いまの政治の方向ははっきりしています。自分たちに権力や金を与えてくれる一握りの人たちに、いかに恩返しするかという政治が続いています。ですから、国全体を捉えると、一部の人たちが絶好調、残りの人たちが疲弊している状況。そんな国に未来はないですよね。

いまの政治がやらなくてはならないのは生活に苦しむ多くの人々の底上げ、テコ入れ(経済政策)。この20年以上、真逆の処方せん、間違った経済政策がなされてきたわけですよ。

これに対して、変えていきたいということをポピュリズムと呼ぶのであれば、ポピュリストで結構です、という感じです。私自身は、フリースタイルと呼んでいますけどね(笑)

私にとって、右だ、左だという価値観も、本音を言えば、どうでもいい。よくわからないものには、レッテル貼りをして安心する人たちがいるんですよ。

多くの生活困窮者を救うための経済政策をやらないと。もう衰退国家ですよ。もう片足以上、突っ込んでいるんですから。

――全国ツアーのスタートは北海道でした。9月18日~28日まで道内各地をまわりました。北の大地からのスタートを選んだ理由は。

山本 まずシンプルな理由は雪が降る前に、ということです。冬になるとアクセスが難しくなりますから。

もう1点の重要な理由は、第2次安倍政権のこの6年間に進められた政策で最も打撃を受け、今後も犠牲になりうる象徴的地域は北海道ではないでしょうか。

TPP、日米FTA、消費税増税なども、その影響を強く受けます。安倍政権の一番の被害者は地方都市。その象徴的存在である北海道から全国ツアーをスタートさせた。非常に意味のあることだと考えています。

 

 

=ききて/竹内洋規=

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