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Interview

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3年後に加熱式たばこ市場で
トップを取る
掲載号:2017年11月

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小泉光臣 JT社長

喫煙人口の減少、受動喫煙問題などたばこ市場を取り巻く環境は厳しい。その中で熱を帯びているのが加熱式たばこ市場。他社が先行する中、国内リーディングカンパニーのJTは、プルームテックの生産体制を整備しているところだ。

過度な規制に疑問選択できる社会に

――2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、受動喫煙が問題視されています。

小泉 受動喫煙防止法案は前回の国会で上程にも至らず終わりましたが、受動喫煙を規制すべきだという声は、決してゼロになったわけではありません。

弊社も周囲にご迷惑を掛けるような受動喫煙が良いことだとは思っていません。ですから受動喫煙対策として、分煙の推進や、受動喫煙に関する呼びかけをおこなってきました。

ただ、3月1日に厚生労働省が発表した受動喫煙防止対策の強化案を見ると、少し過度ではないかと感じています。あらゆる施設で喫煙を禁止し、かつ罰則まで付ける。受動喫煙抑制という目的には賛成ですが、目的に対して規制が過度であり、合理的ではない。バランスを欠いているのではないかという懸念を抱いています。

これまでも、飲食店の店主や事業主、ビルの施設管理者の方などは、受動喫煙防止に向けて投資をおこない、対策を講じてきました。みなさん問題意識を持って自発的にやられている中で、厳しい罰則付きの過度な法律が必要あるのでしょうか。

事業者の方の自主性によって全面禁煙、時間分煙、空間分煙、全面喫煙と分けて、お客さまはそれを選択できる。選択できる社会、協調ある共存社会。それが成熟した大人の社会だと思っています。

――喫煙者・非喫煙者の共存社会に向け、さまざまな取り組みをしていますね。

小泉 例えば、分煙を推進するコンサルタントは全国で約200人、北海道にも8人配置しています。

コンサルティングさせていただいているのは、ビルオーナーや飲食店、さらには駅のホームなどさまざまです。04年にスタートし、全国で約2万件、北海道は昨年だけで150件近くの分煙コンサルティングをおこないました。

R&D部門では、閉鎖空間における風速や空気の流れ、さらには部屋の構造などの研究により受動喫煙を防止するためのノウハウを蓄えています。その知見ノウハウをもとに分煙コンサルタンティングを展開しています。

飲食業組合の方などの協力もたまわりながら飲食店を中心に、お店の入口に分煙ステッカーを貼るといった活動もしています。

健康懸念物質とにおいをカット

――加熱式たばこ「プルームテック」の開発にもこうした共存社会が背景にあるのでしょうか。

小泉 もともと、プルームテックを開発した背景には、健康に関してコンシャスなお客さまがいらっしゃること。たばこを吸うことで周りにご迷惑をかけることが気になるお客さまがいらっしゃるということがあります。

みなさんあまりご存じありませんが、弊社では20年以上に渡り、紙巻き以外のたばこを開発してきました。一部の地域で発売してあまり売れなくて撤収、といった経験も二度、三度とあります。こうした20年以上の知見データを貯めて今日があります。

――なかなか受け入れられなかった。

小泉 こうした商品は、商品設計に加え、受け入れられるタイミングもあり
ます。20年前は逆に早すぎて、今は時代の潮流が受け入れられるタイミングにある。これが正しいマーケットの見方だと思います。

――プルームテックの仕組みは。

小泉 リチウムイオン電池を使ったバッテリーがエネルギー源です。これをリキッドが入ったカートリッジと連結します。パウダー状の葉たばこが入ったカプセルを挿して吸引すると自動的に通電し、その熱によって中のリキッドが蒸気化。その蒸気がパウダー状の葉たばこを通り、たばこの味、香りがする仕組みです。

――紙巻きはダメでもプルームテックなら吸えるという場所はありますか。

小泉 まだ多くはありませんが、東京ではレストランなどの飲食店を中心に、紙巻たばこはNGだが加熱式のたばこはOKというお店が出てきました。先行発売した福岡では、数十店規模であります。

――受動喫煙防止の観点からのプルームテックの位置づけは。

小泉 受動喫煙に関する法律や条例を検討をしている国もしくは自治体の方に話を聞くと、加熱式たばこが、科学的に紙巻たばこに比べて健康リスクを低減しているのかが定かではないので、とりあえず法律の範囲に入れておこうという声が多い。

弊社としては科学的根拠を添えて、国や自治体に説明していく努力をしていかなければいけない。それにより、国民的なコンセンサスを得ることも可能だと思っています。

――受動喫煙は副流煙が問題です。プルームテックから副流煙は出ませんよね。

小泉 燃焼させていませんので副流煙という概念がありません。副流煙がないのですから、紙巻きの受動喫煙と同列に論じられるべきものではないと思います。

――これまで喫煙者はニコチンやタールの数字で商品を選んでいましたが、プルームテックにはそうした概念がないのでしょうか。

小泉 燃やすと発生するのがタールですから、タールはないと思ってもらったほうが良いでしょう。ニコチンはあります。パウダー状の葉たばこからニコチンを吸気しますので。

――何ミリという表記がありません。

小泉 プルームテックのニコチンは1mgの紙巻きよりも低く設定されています。

――それにしては吸い応えがある。

小泉 そこが20年間の知見の累積であり、まさに製品設計の独自ノウハウです。

――他社が販売する「アイコス」は同じ分野と考えて良いのでしょうか。

小泉 加熱式という広い意味においては同じカテゴリーに入ると思います。しかし、弊社は加熱式においては後発メーカーです。追いかける立場だからこそ、先行している商品とは際立った優位性をもたせています。カテゴリーが違うくらいの差別性です。

プルームテックのニコチンを吸収するメカニズムは、30度という低温の非接触型過熱方式です。これにより健康懸念物質の除去やにおいの低減に関して、カテゴリーが違うくらいの差別性を出しました。

弊社の測定によれば紙巻たばこに比べ、WHOあるいはカナダ政府が指摘する健康懸念物質を約99%除去しています。

また、におい濃度は紙巻たばこと比べて0・2%以下まで抑えています。この2点は際立った特長です。

――車内など狭い空間で吸ってもまったくと言っていいほどにおいがしません。

小泉 昨年3月からテスト発売している福岡のお客さまからは、さまざまな声が寄せられています。例えば「これなら家族が車に同乗していても吸える」「ベランダで吸っていたが、リビングで吸っても良いと奥さんからお墨付きをもらった」。そうした声が多数寄せられています。商品の特性、利便性を感じていただけている手応えを感じています。

――北海道での発売はいつ頃になりますか。

小泉 弊社の北海道支社の営業マンにも行き渡っていないのが現状です。現段階では来年の上半期を予定していますが、カプセルの生産能力が解消し次第、全国発売し、北海道でも勝負したい。

――全国発売を見据え、どの程度まで生産能力を上げる予定でしょうか。

小泉 日本の紙巻たばこのマーケットボリュームは、他社も含めて年間1600億本です。紙巻たばこ換算で17年度末までに約50億本、18年上半期の全国拡販も踏まえ、18年度末までに200億本の生産体制を整えたい。

商品特性と営業力でシェア奪回可能

――北海道の加熱式市場はアイコスが先行しており、シェア奪回は厳しいという見方もあります。

小泉 そういう声は耳にしますが、プルームテックには際立った差別性があり、商品には自信があります。

加えて、弊社には、紙巻たばこで全国平均60%を超えるシェアを維持し続けている営業力があります。60%ものシェアを維持し続けるという営業力は、評価に値すると思っています。全国発売の折には、弊社のセールスマンが全国隅々まで一斉に営業します。

弊社は紙巻きのリーディングカンパニーですが、加熱式に関してはゼロからナンバーワンを目指すことになります。これは初めての経験。組織の力、能力が問われるでしょう。ただ、これまでの経験を踏まえ、やってくれると信じています。

東日本大震災で工場が被災し、コンビニエンスストアの棚から一時弊社の商品が消えましたが、ゼロからの回復を成し遂げてくれました。

マイルドセブンをメビウスに変えた時もそうです。マーケティングの世界では教科書違反と言われていることを成功させました。苦難の時期を乗り越えた実績がありますので、社員の意識ひとつで今回もシェアを奪回できると踏んでいます。

明日というわけにいきませんが、3年後には、この加熱式たばこの世界でもナンバーワン、リーディングカンパニーを目指します。

プルームテックは加熱式たばこの最終形態ではありません。今後もお客さまの声に応じて改良していきます。改良の先には、新しいメカニズムを搭載した商品の投入も出てくるでしょう。

――ありがとうございました。

=ききて/八木沢考司=