「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > インタビュー

Interview

このエントリーをはてなブックマークに追加

経済活性化、冬季五輪招致に
全力投球
掲載号:2016年1月

photo

秋元克広 札幌市長

 秋元克広氏は2015年4月の札幌市長選で初当選を飾った。10月に発表した任期中の「中期実施計画」では経済活性化策に重点を置き、〝秋元カラー〟を打ち出した。16年から本格的に動き出すオリンピック・パラリンピック招致の話も聞いた。

地元企業が受注しやすい入札制度

――札幌市長になられてから約半年が経過しました。
秋元 4月の選挙期間中、札幌市内のさまざまな地域にお邪魔させていただきました。
実は副市長時代は、現場に行く機会があまりありませんでした。市長に就任してからも、積極的に外に出たいと思っていて、できるだけ地域の行事、イベントに足を運ばせていただいています。私が行くために、わざわざ会を開いてくださるわけではないので、比較的フラットにみなさんとお話ができます。任期中の4年間に多くの地域に足を運びたいですね。
――10月に15年度から19年度までの中期実施計画を発表しました。経済政策に重点を置いている印象を受けました。
秋元 市長に就任してすぐに補正予算を組み、この4年間で取り組むべき中期実施計画をつくりました。
ないものねだりをするわけではなく、北海道の持っている観光、食の競争力を高めることに力を入れたビジョンです。
たとえば、いままでの観光予算は8億円くらいでしたが、それに今回の補正予算を加えて倍増させました。それを「さっぽろオータムフェスト」の期間延長や、「さっぽろホワイトイルミネーション」のリニューアルなどに充てました。
2月のさっぽろ雪まつりも、つどーむ会場の期間を延ばして、多くの観光客に楽しんでもらいたいと思っています。
――多くの外国人観光客が札幌を訪れています。
秋元 そうですね。いま、市内の宿泊施設のキャパが限界に達しています。今後、ホテルの誘致なども考えていかなければなりません。市内のホテルには建て替えの計画もあり、グレードアップ、部屋数増の動きに対しては、市としても支援をしていきます。
観光は繁忙期と閑散期の差が大きくなります。それを埋めるためにもMICE(国際会議)をおこなえるような施設も必要になってきます。
食の面では、札幌で製造したものを海外に売っていくための販路拡大に取り組みます。海外の展示会に出展する地元企業などをサポートしています。
また、地域の中でおカネを回していく意味で、市発注の公共事業を、競争性を担保しながら地元企業に優先的に受注してもらう仕組みを導入していきます。
札幌も1972年のオリンピックがあった前後に、公共施設ができました。40年以上経過し、建て替えをしなければなりません。一度にはできませんので、将来の建て替えや補修を考え、年間1000億円くらいの建設事業費を確保していきます。
建設予算を平準化することによって、建設会社も人や資材の体制を組みやすくなります。建設会社が経営の先行きを見通せる予算編成にしていきます。

 16年春には待機児童をゼロに

――高速道路と市内中心部を結ぶ「都心へのアクセス道路」の建設調査費を、補正予算に計上しました。
秋元 空港と中心地を結ぶ時間をどれだけ縮められるのか。都市間のさまざまな競争にさらされる中で、大きなポイントになります。
札幌はとくに冬期間、高速道路を降りた後の時間がかかってしまいます。加えて、渋滞などで時間も読めないともいわれます。必要性という意味では、重要な事業だと思っています。
アクセス道路をつくる際、どのような工法、手法がいいのか。それを分析するための調査費になります。市民の中には、必要なのはわかるけれども、財源、将来負担を心配する声もあります。情報をオープンにして、市民の理解を得ることが大切になります。
――子育て、福祉政策については。
秋元 結婚して子育てできる環境を、経済的負担を含めて軽減していきます。ある意味、働く場があって子育てができるわけです。精神的な負担減という意味で、子どもを預けたいときに預けられる体制を整えたい。
いま、札幌の待機児童は70人弱まで減ってきました。16年春にはゼロにしたいのですが、この数字は国の基準での算出です。たとえば、この保育所に預けたいと決めて、空きがでるのを待っている人は、待機児童に含まれません。ほかの選択肢があるのに選ばないのは、個人の事情によるという考え方だからです。潜在的な待機児童はまだまだ多くいると思います。
今後は保育所の定員も増やしていきますが、保育士などの担い手が不足していることが課題です。結婚を機に保育士をやめた人もいらっしゃいます。自身の子育てが一段落して、保育士復帰を考えている方々をサポートしていきたい。
――札幌は2026年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動に取り組んでいます。2度目の開催を目指す意義を教えてください。
秋元 札幌で72年にオリンピックが開催されましたが、いまの若い人たちはその感動を知りませんよね。私も目の前でトップアスリートが活躍するのを見て、スポーツの素晴らしさを体感しました。
オリンピックの開催は、子どもたちに与える夢、希望が大きいと思います。まちづくりの観点からいえば、地下鉄、高速道路など、五輪のときに現在の札幌の骨格、インフラができあがりました。それから40数年が経過し、これからリニューアルを図っていくわけです。
高齢化も進む中で、当然世代構成も変わってきており、それに合わせたまちに変えていかなければいけません。
いまはオリンピックとパラリンピックを同時に開催することになっています。前回はパラリンピックがありませんでした。
オリンピック・パラリンピック開催を機にバリアフリーなど高齢化に対応したまちにしていく。ハード面だけではなく、ソフト面でもバリアーのないまちにしていきたい。
さらに、札幌、北海道の名前も国内外にもう一度、アピールする意味合いもあります。いま、アジアの人たちの雪に対する関心が高くなっており、ウインタースポーツを楽しむ人も増えています。そのために日本を訪れるとなれば、北海道の優位性が高まります。
こうした理由から、オリンピック・パラリンピックの開催には大きな意義があります。
――今後の招致活動予定を教えてください。
秋元 いま、施設なども含めて、招致をするための概要計画を作成中です。これを15年度中にまとめあげます。16年度には国やJOC(日本オリンピック委員会)に提示をして、日本として26年に手を上げるように、申し入れをおこなっていきます。国としては国際情勢などを踏まえて、26年が適切かどうか、最終判断を下す流れになっています。

アジア大会の成功で五輪招致に弾み

――札幌以外で競技を開催することもありますか。
秋元 「実施できる競技はなるべく札幌で」という考え方と、「道内の広範囲で開催したほうがいい」という両方の意見があります。
どちらにもメリット、デメリットがあると思います。現在、どこまで札幌で開催するのがベストなのかを検討中です。
少なくとも、アルペンスキーのダウンヒル競技はコースに高低差が必要なので、札幌近郊の山では無理です。その場合、ニセコ周辺か富良野を考えています。スケートについても、他地区での開催もあり得ます。
他国の立候補地と競争するときに、開催場所の距離感などが問題になる可能性もあります。移動距離が多く、選手に負担のかかるような大会計画では、選ばれないことになってしまいます。これから、どのような国が手を上げてくるのか。そのあたりを見極めながら、計画をつくっていきたいと思います。
――札幌市民が冬のスポーツから遠ざかっている印象も受けます。地元の盛り上がりも必要ですね。
秋元 札幌は市内中心部から1時間以内にいくつものスキー場があります。多くの市民がその好環境を楽しみ、生かしているわけではありません。
札幌市内の小学、中学校のスキー授業がなくなった時期もありましたが、いまは実施しています。
北欧には冬のスポーツを楽しみ、雪に親しむ文化が根付いています。ノルディックスキーなどは「自分たちの生活の一部」という思いでしょう。
海外ではジャンプ場などに、おいしい食を楽しめる屋台などがあるそうです。大会が始まればお祭りのような雰囲気になります。そのような場所があれば、競技を観戦することと同時に、楽しい時間を過ごせます。そういうしつらえも必要かもしれませんね。
――17年には冬季アジア札幌大会が開催されます。
秋元 アジアの国々も、スケート、アイスホッケーが盛んです。ショートトラックも韓国、中国が強いですよね。18年に韓国・ピョンチャンで冬のオリンピックが開かれます。プレ五輪のような意味合いで、このアジア大会が位置づけられる可能性もあります。
いい選手が出てくれば盛り上がりますし、札幌に来た関係者から「いいまちだった」「競技環境がよかった」などの声が出れば、札幌五輪招致実現にも、つながっていくのではないでしょうか。そのためにも、アジア大会は成功させたいですね。
――本日はお忙しいところありがとうございました。
(2015年11月24日取材)

=ききて/前田=