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Interview

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1次産業政策を推進、
北海道ブランドを世界に
掲載号:2017年8月

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吉川貴盛 自民党道連会長

自民党道連の役員改選がおこなわれ、吉川貴盛衆院議員(道2区)が道連会長に再任された。JR北海道の路線見直し、空港民営化といったさまざな課題がある中、どのような手腕を発揮するのか。吉川氏にズバリ聞いた。(取材日=7月1日)

道連副会長は政策ごとに担当を持つ

――6月11日に自民党道連会長に再任されました。

吉川 北海道は多くの政策課題を抱えています。身の引き締まる思いです。改選後の自民党道連の新執行部は、政策課題の解決はもちろんですが、選挙対策が大切になります。

任期満了となる来年12月までには、衆院選がおこなわれます。翌年の2019年4月には、知事選、道議選などの統一地方選、その数カ月後には参院選があります。自民党としてもしっかりと対応していかなければいけません。

7月の早いうちに道連の役員会を開きます。副会長ポストには幹事長、道議会議長経験者などが入りますが、今回からは政策ごとに担当を持ってもらいます。いままでは肩書、名前だけという側面が強かった。

たとえば、政務調査会、組織運動、選挙対策、青年女性局、財政などの担当をつくります。

道連会長は国会議員が務めますが、日々のすべての活動を見るには限界があります。組織的な動きをして、道連が一体となり、難局、さまざま課題を乗り切っていこうと考えました。副会長には私と一緒に汗をかいてもらいます。そういう意味では道連も生まれ変わります。

――二階俊博氏が幹事長に就任して以降、党員増強の大号令がかかっています。

吉川 昨年11月で全国の党員が104万人になりました。ひさしぶりに100万人を超えて、いま120万人を目指して頑張っているところです。北海道は16年の締めで若干減りましたが、17年は対前年より増える予定です。

いま、すべての小選挙区の支部長(公認候補者)には、4000人の党員獲得が命じられています。1000人以上党員獲得していない支部長は、かなりのペナルティーが党本部から科せられます。

たとえば、海外視察は自費で行き、党本部の持ち出しは一切ありません。また、自身の政経セミナー、政治資金パーティーの講師派遣なども、党本部は経費を持ちません。

――ハードルが高いのでしょうか。

吉川 このノルマは現職、新人問わずですからね。そうたやすいことではないと思います。

なぜ党本部が厳しいお達しをだしたかといえば、党員が増えて初めてそれぞれの選挙区の足元が固まるということです。

自民党を理解していただける方を増やす。それができていない支部長はダメですよと。必死に頑張れというシグナルを送っているんです。

他党との選挙協力は党本部が決める

――道内の選挙区情勢を教えてください。

吉川 党本部も世論調査をおこなっていませんし、個々の選挙区の情勢はわかりませんが、常に選挙は厳しいものです。

政権を奪還してから4年半が過ぎています。過去2回の衆院選は、安倍総理の人気に加え、民主党政権に失望するなど、自公政権に大きな期待感がありました。

その期待通りの政治がおこなわれているかの審判が、来年の12月までには下るわけです。道内に限らず過去2回と比べると、自民にとって次期衆院選は、非常に厳しい戦いになると思っています。

――鈴木宗男氏が代表を務める新党大地との関係については、道連内にさまざまな意見があります。

吉川 他党との選挙協力は、すべて党本部の選対委員会の判断によります。当然、私を含めた道連には意見は聞かれます。とはいっても、最終決定は党本部になるということです。

――JR北海道の赤字路線区見直しへの対応については。

吉川 私はいま、JR北海道対策検討プロジェクトチーム(PT)の座長を務め
ています。このPTは路線区の見直しには言及しません。ただ、北海道の将来的な総合交通体系をどうするのか。あるいは、地域公共交通体系をどうするのか。それに対してPTとして一定の方向性を出さなければいけないと思っています。

これまで関係者のヒアリングをかなりやってきました。8月になるかもしれませんが、赤字路線から再生できた本州の路線の視察をおこないます。加えて、PTメンバーが道内で赤字といわれる路線に乗車して、関連自治体の代表のみなさんと話し合いをします。場所はまだ決まっておりませんが、JR北海道の問題を考えるシンポジウムも開催する予定です。

JRに関しては、30年度の北海道新幹線札幌開業のホームの位置をどうするのかも結論をださなければいけません。

今年の夏以降に一定の方向性が見えてきますが、道新幹線の開業にあわせて都心アクセスの改善が大切になります。

現在、札樽道の札幌北インターチェンジが渋滞し、降りるまでに冬なら30分以上かかってしまいます。これまで札幌商工会議所などの経済界が中心となり、都心アクセス道路を議論してきました。昨年には国、道、市で検討会議を立ちあげました。ただ、新幹線が来るからよしというわけではなく、同時に札幌のまちの機能強化もやらなければいけません。

道産ワインに北海道の地理的表示を

――JR北海道問題と並んで、道内の総合交通体系の中で大きな政策課題の1つが、20年に予定されている空港民営化です。

吉川 来年には運営する事業者が決定します。これは道連ではないですが、私は空港民営化の懇談会をつくっています。北海道の民営化はどうあるべきかを見いだしていきたい。

――北海道経済の活性化策を教えてください。

吉川 北海道は農林水産業と食と観光です。どうすればもっと北海道の強さを発揮できるのか。かなり細かな政策課題にもなってきますが、しっかり対応していきます。

言わずもがなですが、北海道の農業はポテンシャルがものすごく高いんです。北海道農業の年間生産額は約1兆円あります。他府県と比べても圧倒的です。畑作、酪農、コメもすばらしい安全・安心なものをつくっています。

18年はコメ政策にとって節目の年になります。政府は50年近く続いてきたコメの生産調整(減反)を廃止します。そうした転換期でもあり、競争力強化のための新たな政策も必要になります。

林業も次世代の木材と呼ばれるCLT(直交集成板)の時代に入ってきています。CLTの普及が進めば、道産材の需要が拡大し、大きなチャンスが生まれます。

水産業については、もう一度王国を復活させたい。そのためには水産資源の管理が大切です。いまはイカが不漁でとれなくなってきています。とくに苦労しているのは日本海沿岸です。漁業をどのように振興していくのかも、しっかり考えていきます。

私が注目しているのがワインです。ここ数年で、道内でワイナリーが増えています。道産ワインに「北海道」という地理的表示を獲得しようと、ワイナリーのみなさんが頑張っておられる。いままで地理的表示を持っているのは山梨ワインだけでした。

この度、国税庁がガイドラインを変更しました。北海道というラベルを貼れるような取り組みも動き出してきています。

海外に行くと、北海道にはブランド力がある。道産品は素晴らしいということで、東南アジアを中心にそれだけで飛びつきます。

自民党は、こうした北海道の強みをつくりだし、世界に発信できるような政策を打ち出していきます。その上で、北海道全体を底上げします。

経済活性化の起爆剤としては、26年、30年の開催を視野に入れた冬季オリンピック・パラリンピックの招致です。五輪開催の波及効果は札幌だけにはとどまりません。道連としても力を入れていきます。

二階幹事長、菅長官に率直に相談

――昨年11月に安倍総理がプーチン大統領と会談しました。北方領土問題が大きく動き出しています。道連内にロシア地域間交流推進本部を設置しました。

吉川 いま、共同経済活動で政府、自治体、民間関係者が北方4島に行っていますよね。

北方領土はロシア側から見れば、サハリン州に属しているわけです。道連としてもサハリン州選出の議員との交流を強めるなど、お互いをよりよく理解する関係を構築していきます。

最終的には4島の帰属問題を解決させ、平和条約を締結できればいい。北方領土問題を抱える地元として、黙って見ていることはできませんでした。

――白老のアイヌ民族象徴空間や国立民族博物館の設置では、菅義偉官房長官が中心的な役割を果たしています。

吉川 菅長官はアイヌ政策推進会議の座長を務めています。東北以北で初の国立博物館で、20年の東京オリ・パラのときに開館します。菅長官が20年まで前倒しをしていただきました。

JR北海道に話をして、主要な駅に20年の象徴空間、国立民族博物館オープンのポスターもはってもらっています。新千歳空港にもアイヌ民族を紹介するスペースもできます。

年間100万人の動員を目標を掲げていますが解決すべき課題もあります。

国道36号線の苫小牧―登別間で3カ所、道路を一車線から拡張しなければいけません。最初に交通量の多い白老、苫小牧間をおこなう予定です。

――吉川会長は二階幹事長や菅官房長官と近い関係にあると言われています。道内の自治体関係者には、吉川会長に官邸や党本部とのパイプ役を担ってほしいという期待の声もあります。

吉川 そう言っていただけるのはありがたいことですが、私自身は謙虚に受け止めています。

二階幹事長には私が落選中、いろいろとご心配をいただきました。当選同期の菅長官には「吉川貴盛は仕事を預けたらしっかりやる。でも、選挙が弱いところがネックだ」と言われています(笑)

目をかけていただき感謝していますが、自分がなんでもできるという気持ちはありません。

北海道だけて解決できないことは、率直に二階幹事長や菅長官に「突破口をなんとか開いてほしい」とご相談する。私のそうした人間関係が、北海道のためになればといつも考えているんです。

=ききて/前田圭祐=