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Interview

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“雪”と“食”で世界に誇れる札幌に掲載号:2018年1月

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秋元克広 札幌市長

秋元克広札幌市長は2017年を「札幌が世界、国内から注目された1年」と振り返る。また、市内中心部では再開発が加速し、数年後には町並みも大きく変わりそうだ。18年は“雪”と“食”をキーワードにさらなる札幌の魅力アップに取り組む。

空が見える町並みを生かした再開発

――まずは2017年を振り返っていただきたい。

秋元 一番印象的だったのは、2月の冬季アジア大会、3月のIPCのノルディックスキーワールドカップです。今回のアジア大会は、1972年の札幌オリンピックを超える参加規模でした。

両大会の期間中、IOCなどの競技関係者が札幌を訪れました。ホテルや交通機関など、札幌の都市機能だけでなく、大会の運営能力、市民ボランティアの活動状況なども見ていただき、高い評価をいただきました。

札幌はオリンピック・パラリンピックの招致を目指しており、新しいJOCの招致プロセスに参加することになりました。招致実現につながる大きな一歩になったと思います。

あわせて、中心部では商業ビル、マンション、ホテルの建設など、再開発が進んでいます。

17年は札幌というまちが投資に足りると、国内外から注目された1年でもありました。

いま、官民一体になりICT(情報処理や通信に関連する技術、設備、サービスなどの総称)の活用に取り組んでいます。経団連のトップの方々も札幌を視察に訪れて、評価していただきました。

そういう意味で、札幌が世界、国内から注目された1年でした。

――北1西1の再開発は大きな注目を集めています。

秋元 18年春にオフィスビルが開業し、秋口には大規模ホールを備えた複合施設「市民交流プラザ」がオープンします。

そのほか、北4東6地区、北8西1地区など、連鎖的に再開発が動き始めています。

――札幌中心部には、MICE施設を整備する計画があります。

秋元 MICE施設としては、ニトリ文化ホールと札幌コンベンションセンターがあります。ニトリ文化ホールは閉館になり、コンベンションセンターもホテルを併設した施設ではありません。

3000人規模の会議は札幌でありますが、5000人以上はなかなかできないのが現状です。それと会議場とホテルがセットになっていない。使い勝手としては、他都市より見劣りしています。

そういう意味で、新しいMICE施設整備を計画しており、西11丁目か中島公園エリアを想定しています。18年はその整備の方向性を打ち出していきます。

――どんなまちにしていきたいですか。

秋元 札幌は72年のオリンピック開催時に建設された建物が多く、建て替えの時期にきています。

単純に建物単体が建て替わるだけでなく、面的に全体を再開発していくことが大切です。つまり、次の時代につながっていくまちづくりです。

たとえば、地下歩行空間ができて、日生ビル、北三条広場などができました。大同生命ビルも建て替え予定があり、駅前通りも新しくなります。

札幌のまちは、ゆったりとした空間の中で、機能性を発揮していけることが強みです。自然も近くにありますから、オープンスペースといいますか、空が見えるような町並みを生かしていく。その上で、必要な機能がコンパクトになっているということです。

いま、再開発事業では、環境対策にも取り組んでいます。札幌はどうしても冬があるので、エネルギー消費量が多いまちです。これからはコージェネレーションシステムなど、低エネルギーな再開発ビルも必要になります。

17年はドイツ・ミュンヘンとの姉妹提携45周年で、私も訪問しましたが、ミュンヘンは経済力が強く、環境に対してものすごく力を入れていました。あわせて、古い町並みを残しながら再開発しています。

自分のまちの特長を生かしながら、50年後、100年後でも世界に誇れるまちにつくり替えており、大変参考になりました。考え方はわれわれと同じだなと思った次第です。

――2030年度には札幌まで北海道新幹線が延伸します。

秋元 新幹線駅の場所の問題は、駅前再開発にも影響します。新幹線が来たときに駅前が工事中というわけにはいきませんから。

現在、西1、西2の再開発計画をつくっています。最後の詰めの段階で、ホーム位置、改札口がわからなければ、人の導線をどうするのかを決められません。

また、再開発と同時並行で、札幌駅の早期開業も国に要請していきます。

冬を延ばして年間観光客数を平準化

――インバウンド(訪日外国人旅行客)も増えていますが、市はどう対応していますか。

秋元 1つはWiーFi環境の整備です。みなさんスマホなどのモバイルを持って札幌を訪れます。そういったものを使って札幌のさまざな情報をうまく伝えられるようにしていきたい。ICTを活用したまちづくりを進めていきます。

――開催中の札幌ホワイトイルミネーションは17年、日本三大イルミネーションに認定されました。

秋元 ホワイトイルミネーションは、3年かけてリニューアルをしてきました。おととしは札幌が日本三大夜景に認定されました。札幌の夜景といっても、たとえば藻岩山から見る夜景だけではなくて、ビルの屋上やテレビ塔など、いろいろな場所から見ることができます。

いま、夜景の魅力を楽しめるツアーなどの観光商品も広まってきています。

冬の札幌は空気が凛とするというか、清涼感がありますよね。イルミネーションもより光輝いているように見えます。

アジアからの観光客が増えていますが雪というものが他の都市との違いです。「雪」と「食」の2つをどんどん世界に売り出していく。それが札幌・北海道の強みだと思っています。

冬場はどうしても観光客が落ち込みます。とくに国内客はどうしても冬の観光を敬遠します。

その一方、アジアの方々は逆に寒いから、雪があるからいいということで来てくれます。海外観光客の入り込み客数は夏より冬のほうが伸びているわけです。冬場の観光を伸ばすことで、年間の観光客数が平準化されます。そうなればホテルなどの投資もしやすくなるのではないでしょうか。

札幌の流通系企業と生産地を結ぶ

――食の分野についてはどうPRしていきますか。

秋元 札幌は大生産地ではありません。札幌市民や来た人たちに消費をしてもらうことがメーンです。オータムフェストのような北海道の食をアピールできる機会をつくり、注目してもらうことが大切です。

17年には、Jファームが丘珠に植物工場を建設しました。画期的な民間の投資で、生産される高糖度のトマトは、付加価値が高くて評価されています。値段は少し高めなのですが、道外やシンガポール、香港など海外から多くの引き合いがきていて、生産が追いつかないそうです。

北海道の食はおいしく、安全・安心でブランド力が高い。札幌には卸や流通系の会社が多いので、道内の生産地と結んで海外に進出できるようにしていきます。

ドイツを訪れた際に西山製麺の麺を使っているラーメン店に行きましたが、平日にもかかわらず、お店の外には長蛇の列ができていました。いま、西山製麺は欧米に輸出しており、ドイツでは札幌ラーメンが人気なんです。向こうの味に合わせてというわけではなくて、札幌の味がいいと。食の輸出は大きなテーマであり、可能性があります。

――道内自治体との連携については。

秋元 農水産物を多く生産しているのは、札幌以外のまちになります。農業、水産業で担い手がいなくなり、生産性が上がらなくなれば、北海道全体、ひいては札幌も売り物がない状態になります。大変危惧しています。

地方で産業が成り立っていくように札幌がお手伝いできることは何なのか。

札幌が地方のまちに提供できることを記したハンドブックを作成しています。

たとえば、地下歩行空間や大通公園でこういうPRできる機会がありますと。各自治体に配っています。

広報さっぽろも毎月100万部以上発行しています。その中にも各自治体のイベントを紹介しています。

若い男性が働ける場所を確保する

――人口減少社会の突入しましたが、若い世代が札幌に残ってもらえる政策も必要です。

秋元 札幌の人口はまだ伸びていますが、それは社会増なんです。道内の他市町村から来る人たちが、自然減を上回っています。いまのままの出生率では、やがて札幌も人口減少に突入します。

道内の他市町村から札幌の大学、短大、専門学校に通学しています。残念ながら若い男性が札幌にとどまりきれず、卒業後は道外に転出しまう傾向があります。

道内全体の人口減少に歯止めをかける意味でも、札幌で働く場を確保する。IT、バイオ、そして商工会議所と取り組む医療分野の産業化など、技術系の人たちが残れるような仕事を増やしていきたと考えています。

――最後に18年の抱負をお聞かせください。

秋元 18年は任期最後の年になります。アクションプラン、中期計画で掲げた事業をしっかり実行していきます。

新幹線のホーム、北海道日本ハムファイターズの球場、MICE施設整備、オリンピック・パラリンピックの招致など、懸案事項もあります。18年は方向性を出していきたいと思っています。

また来年は北海道と命名されてから150年になります。北海道・札幌というまちをつくりあげた先人の開拓精神とはどういうものだったのか。それをあらためて振り返るいいきっかけになります。

その上で、次の100年、150年に向けて、子どもたち、子孫にどういう札幌を残していけばいいのか。そうしたことを考えながら、市政運営していく覚悟です。

――本日はお忙しいところありがとうございました。

=ききて/前田圭祐=