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Interview

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道民の生活実感が政策の基軸になる掲載号:2016年12月

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蓮舫 民進党代表

今年9月、民進党の“顔”が昨今の女性活躍の象徴ともいえる蓮舫参院議員に代わった。年明けの解散・総選挙が取りざたされる中、北海道は重きを置く地域と位置づける。反転攻勢をかける蓮舫新代表は、巨大与党とどう対峙していくのか。

道民の声を封じるTPPの拙速審議

――選挙区は東京ですが、北海道とつながりはあるのですか。

蓮舫 実は母親が北海道の出身なんです。母は4姉妹ですが、時間があれば姉妹で北海道に行っています。北海道は都道府県の魅力度ランキングでは、いつもトップですよね。夏は涼しいし、景色は雄大。生活している方には厳しい環境かもしれませんが、冬はウインタースポーツが楽しめる。偉大な魅力がある地域です。

私がメディアのお仕事をしていた頃、北海道南西沖地震が起き、奥尻島を訪れました。民進党代表に就任した後も、相次ぐ台風で甚大な被害を受けた十勝にも、視察に行かせていただきました。被災の爪痕が深い中、それを復旧・復興させる北海道の方々の底力は、ものすごいと思っています。道民の不屈の精神は、大きな魅力なのかなと感じています。

――民進党代表に就任されてから1カ月半が経過しました。

蓮舫 先の代表選には、これまで民主党を引っ張ってこられた若いリーダーの前原誠司先生、その次の世代を担ってきた私がいて、政権時代に当選1回で内部経験のない玉木雄一郎先生が出馬しました。

強すぎる与党に対して、あらがいきれていない党を何とかしなければいけない。3人とも危機感を持ち、それぞれの世代、立場で議論ができました。3人で戦うことができて、とてもよかったと思っています。

私は1年半、代表代行として岡田克也前代表のそばで、党の代表の仕事をみてきました。やはり責任の重さが違いますので、緊張しながら日々取り組んでいるところです。

――マスコミ各社の世論調査では蓮舫代表への期待が高い一方で、民進党への政党支持率は伸び悩んでいます。

蓮舫 この間、東京と福岡で衆議院の補欠選挙、新潟県知事選がありました。街頭で演説すると、とくに女性が足を止めてくださることが増えた印象です。私個人に期待をいただけることは大変ありがたいことです。党全体の支持率が、こうした声にどれだけ近づけるのか。そこが大きな課題だと思っています。

そのためにも、私がこれまでに訴えてきた行革であるとか、エネルギー問題、食の安全、子育て、子どもたちの学びを支援する政策を推し進めていきます。

――とくに北海道で訴えたい政策はありますか。

蓮舫 北海道ではこの夏の参院選で、鉢呂吉雄先生、徳永エリ先生を勝たせていただきました。

いろいろな勝因がありますが、中でも政府が進めようとしているTPP、食の安全に対する危機感です。北海道は日本一の農水産物の生産拠点です。第1次産業に従事する生産者の声が、いまの政治では軽んじられています。

たとえば、TPPの政府が合意した公式文書は、数千ページに及ぶ膨大な分量です。その一つひとつを丁寧に説明し、応えるんだという姿勢が、政府の国会での答弁から見えてきません。非常に残念です。

TPPを拙速な採決に持ち込む態度は、道民の不安に応えるというよりは、不安の声を封じたいように見えます。

――山本有二農林水産大臣が“強行採決”に言及する場面もありました。

蓮舫 大臣は行政府の立場です。立法府の運営を決める国会対策委員長の前で、強行採決の可能性に言及した。三権分立の枠を越えるおごりとしか受け止められない発言でした。そのことによってTPPの審議は、本来の政策の議論から遠のいてしまいます。

私たちは少数野党ですし、与党は衆参ともに3分の2の議席を有する大きな勢力です。だからこそ丁寧に、おおらかさをもった謙虚な対応を求めたいです。

北海道は民進党と親和性が高い地域

――TPP以外でも安倍総理の政権運営で懸念されていることはありますか。

蓮舫 北海道はこの夏、相次いで台風が上陸しました。道民の方々は、この数十年における環境変動を肌で感じていると思います。

とくに第1次産業に携わっている方々は、もっと敏感に気づいておられる。これまで日本は「京都議定書」も含めて、環境の分野で世界をリードしてきました。

しかし、2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」では、批准への動きで出遅れました。

参議院で私たちは協力する前提で審議を進め、衆議院に送りましたが、どうしてもTPPを優先しているように見受けられる。優先順位が逆です。

急ぐべきものを見失い、急がなくていいことを早めに終わらせようという姿勢は、国益にかなわないと思っています。北海道の方々にとっても、政策の優先順位が真逆になっていると思います。

民進党はTPP、農家戸別所得補償制度、地方の一括交付金、エネルギー問題などで、きわめて道民の声に近い政策を打ち出している政党です。いわば、旧民主、民進党の政策と親和性が高い土地柄なんです。

北海道の人たちの生活実感は、私たちの政策の基軸になっています。1次産業の方たちの声もそうですし、アイヌ民族など伝統・文化を守り続けている多様性の社会もそうです。北海道の声に敏感でいられることに重きを置いていきます。

――永田町では年明けの解散・総選挙がささやかれています。

蓮舫 衆議院の解散は総理の専権事項なので、私からとやかく言うことはありません。ただ、解散・総選挙がなければ、私たちの仲間も増えないわけです。常に戦う、挑戦する姿勢でいたいと思います。常在戦場とよく言いますけど、いつ選挙があってもいい体制を整えるべく、幹事長、選対委員長に指示しています。

――道内12選挙区の情勢をどのように分析していますか。

蓮舫 北海道は小選挙区で3人、比例で2人の現職がいます。元職・新人の5人の候補者がいます。候補者が決まっていない7区、11区も、きたる戦いに備えて早急に候補を決めます。

北海道はわれわれにとって試金石です。12選挙区でしっかりと北海道の声を受け止められるように、結果を出す戦いをしたい。道民に選んでいただける政策、候補者、政党になるように努力していきます。

――次期衆院選での野党共闘への考え方は。

蓮舫 衆議院は政権選択の選挙になります。理念や政策が違う党と一緒に組むということはできません。まずは民進党がどのような政党なのかをしっかり打ち出していくことが大切です。

――民進党を支える地方組織の活性化も必要になります。

蓮舫 いま、組織を構築する力を持っている佐々木隆博先生(北海道6区選出)に党の組織委員長をお願いしています。

また、残念ながらわが党の国会議員がいない県もあります。江田憲司代表代行には地方組織充実の責務を持ってもらうことになりました。代表代行と組織委員長が二人三脚で地方組織再生を図っているところです。

野田佳彦幹事長を筆頭に、国会内、政党で適材適所の人事をおこなったと考えています。みなさんがそれぞれの持ち場で、しっかり自分の立ち位置を守ってくださり、能力を最大限発揮する。その一つひとつが、信頼回復、党勢拡大につながっていくと思います。

女性の活躍には夫の協力が不可欠

――蓮舫代表は「女性の活躍」という意味で象徴的な存在です。「女性があこがれるかっこいい女性」ともいわれます。

蓮舫 政界でははっきり言わないと声が届きませんから。私の言動には、いろいろな意味でご批判を頂戴することもありますが、とくに女性の場合は、前に進めるために力強く主張していかなければならない。

男性には先輩が敷いたレールがありますが、女性にはそれがない。私は党の代表になり、そのレールを敷くポジションにいると意を強くしています。

――そのためには、家族の理解や協力も必要ですね。

蓮舫 私は結婚して子どもを産み、テレビのお仕事をして政界に入りました。夫の協力抜きにはかなわなかったキャリアです。

たとえば、女性がパートやフルタイムで働くにしても、いろんな場面で夫との約束を守れなかったりする。「今日はお願い」という時に夫が理解をしてくれるかどうかで、全然違います。自分が引け目に感じる家族シーンは女性には辛い。

――蓮舫代表が演説などでこうした話をすると、男性は苦笑しています。

蓮舫 つまり、あなたたちが問題ですよ、ということです(笑)。日本は「女性は一歩引いて」という文化がまだあり、はっきりモノが言えない社会です。

選択的夫婦別姓になれば家制度が崩壊するという男性がいます。旧姓では銀行口座を開設できませんが、自由にできるお金がない悩みは、女性にしかわからない。こういうことがまったく理解されていない。男性の政治家にはとくにです。これが女性が肌感覚で求めている“リアル”なんです。

現政権からは、女性活躍のスローガンとか美しい言葉はどんどんでてきます。女性に元気をくれるワードも大切ですが、現場で働いている人たちがほしいのは実利ですよね。一つひとつを実務的に変えてくれることが、現場でもっとも望まれていることです。

地味な作業ですが、求められている小さな政策の変化、改革を法律案を出しながら訴えていきます。誰もが諦めない社会をつくることが私の最終的な目標です。(取材日=10月31日)

=ききて/前田圭祐=