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Interview

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道内技術者の強みを生かし 1兆円産業を目指す掲載号:2009年6月

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中村真規 全国地域情報産業団体連合会会長 デジック代表取締役

(なかむら・まさき)1947年10月2日、小樽市出身。73年青山学院大学卒業後「バローズ」(現日本ユニシス)入社。87年「デジック」設立。同年北海道コンピュータ関連産業健康保険組合理事長。2000年北海道IT推進協会初代会長。05年北海道情報システム産業協会設立、会長就任。06年全国地域情報産業団体連合会会長。
2007年度、道内IT企業の売上高は4000億円を突破。食料品、鉄鋼、石油・石炭製品、パルプ・紙加工品に次ぐ第5の産業に成長した。1兆円産業にするためには何が必要なのか。全国地域情報産業団体連合会会長を務める中村真規氏に聞く。

情報産業の根底はシステム開発

――――北海道IT推進協会は、2007年度の道内IT関連企業の総売上高が初めて4000億円を突破、4152億円に成長したと発表しました。
中村 ITという言葉があまりにも幅広くなりすぎて、本当は1度整理しないといけないでしょうね。ひと口にITといっても、システム開発もあればコンテンツ業もある。さらにはデータセンターやコールセンターなども全部ひっくるめてITですから。
――――確かに同協会の調査でも総売上高の49%はソフトウエア業、次いで情報処理・提供サービス業が19・7%、以下、システムハウス業が4・4%、インターネット付随サービス業が1・3%、その他が25・7%としています。正直、どういう区分かよくわかりません。
中村 コンテンツ系がこれから伸びていくだろうといわれています。ただ情報産業の根底というのは、やはりシステム開発の部分だと思います。おそらく4000億円のうちの3000億円はシステム開発の部分の売り上げでしょう。
――――札幌市は以前からIT関連産業を16年度までに1兆円規模にしたいと言っています。
中村 私も1兆円を目指すべきだと思いますが、その比率でいえば7000億円から8000億円はシス テム開発の部分が担わないといけない。その部分の底上げがないと、なかなか1兆円には届かないでしょうね。それを道内の市場だけで増やせるのかというと無 理です。いろんな説があって難しいんですが、現在道内にソフトウエア会社は5、600社はあるといわれています。行政のスタンスとしては、ITを使って北 海道観光をより活性化させようとか、ITを使って農商工連携をしようとか、“内需”で拡大させようとする方向性が強いように思います。もちろんそれは大き な役割ですが、それだけで4000億円を8000億円にはできない。まして1兆円にするならやはり“外需”にならざるを得ない。
――――現状も道外からの受注業務のほうが多いですよね。
中村 当社も8割方は東京の仕事です。どこをもって東京の仕事と見るかは、これもちょっと難しいんで すが、たとえば東京の大手コンピューター会社の北海道法人から仕事を受けると。確かに北海道の会社から受注していますが、その北海道法人はどこから仕事を 受けているのか。実は東京の一部上場企業からの仕事で、その一部をわれわれが受けるとなると、それは東京の仕事とみなしたほうが妥当です。そういうものを 含めると道外からの仕事は全体の7割から8割を占めると思います。
――――外需の売り上げは2100億円から2400億円。
中村 そうだと思います。
――――もっと道外から北海道に仕事を持ってくるには。
中村 まさに北海道の情報産業の売りは何なのかということが問われます。中国やインドの優秀といわれている技術者と比べて北海道はどうなのか。ここはきちんと整理しておく必要がある。私はたくさん売りはあると思っています。

北海道の最大の売りは“まじめでコツコツ”

――――たとえば。
中村 北海道の人は“まじめでコツコツ”です。これは最大の売り。システム開発で一番重要なのは、お 客さまの考えていることをきちんと理解し、信頼関係をつくり、まじめでコツコツやって、いい品質のものを納期通り納めるということ。当たり前の話ですが、 とても重要です。これは北海道に向いている。さらに働く環境。とくに札幌になりますが、非常に暮らしやすいところですから戦略をもって人を誘致すれば技術 者が集まりやすい。北海道はIT技術のメッカにもなれると思います。
――――ただ現状はいい人材がいても流出しています。
中村 それを引き留められないわれわれの責任も重大だと認識しています。いま道内には2万人くらいし かIT技術者はいません。これが20万人になればガラッと変わります。北海道が持っている魅力というのはかなりなもの。子育て世代の30代の夫婦とか、東 京の花粉症にへき易している人とか、札幌のようなまちで暮らしたいと思っているIT技術者はたくさんいます。もし20万人の技術者集団が札幌にできたら 放っておいてもかなりの仕事はきます。
――――それは行政が戦略的にやるべきだと。
中村 10年くらい前に「IT屯田兵」という構想を、札幌が通勤圏の自治体に提案したことがありま す。IT技術者を呼び込むために、失敗した工業団地などの遊休地に行政が家を建てて住む場所を提供してくださいと。彼らは仕事を自分で探せるし、道外から 持ってもこられる。仮に移住してきたときは無職でも、1年後は間違いないし、2年後はもっと確実だと。ところが行政側は何を言ったか。「失業者がきても らっても困る」。そういう発想なんです。
――――受注ではなく自社開発製品を持つべきだという考え方がありますが。
中村 たぶん正しいのは100のパワーのうち80は受注、20は自社開発といったところでしょうか。 どうしても自社開発はイチかバチかの面があります。大切なのはバランスです。システム開発とコンテンツ、外需と内需、そして受注と自社開発、これらのバラ ンスを間違わなければ、企業も北海道のIT産業も、もっと発展すると思います。

=ききて/構成鈴木=