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Interview

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輸出拡大とインバウンド増で
人口減少危機突破
掲載号:2016年1月

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高橋はるみ 北海道知事

 高橋はるみ知事は2015年4月、知事選で4選を果たした。今期は人口減少社会に立ち向かうべく、道内経済の活性化に力を入れる。キーワードはインバウンドの増加と道産品輸出の拡大だ。16年への意気込みをズバリ聞いた。

知事就任後、初めてイスラム圏訪問

――2015年を振り返って、どんな年でしたか。
高橋 本当にいろいろあった1年でしたね。まず、4選を果たした知事選は個人的に大きな出来事でした。行政としては継続ですので、今年1年として考えた場合には、選挙期間中の3月に道東の釧路管内に初めて高速道路が開通しました。
新幹線も大きな意味合いがありますが、広大な北海道なので、バランスのある交通ネットワークが何より重要です。白糠町までですが、それはとてもうれしいことでした。
半年以上が経過し、釧路周辺に確かな経済効果が出ているという話を聞き、感慨深いですね。次は阿寒まで開通し、その先もつながっていくことを楽しみにしています。
もう1つは、新千歳空港の深夜早朝枠についてです。地元住民との騒音等の協議には、長い期間を要してきました。3月に苫小牧の地域住民の方々と発着枠増で合意しました。そして知事選を挟んで8月に、千歳の方々とも合意しました。
騒音問題で苦しむこともあるけれども、北海道経済活性化のために苦渋の決断をしていただいた。そうした思いも踏まえて、ゲートウェイである新千歳空港の利便性を高めていきます。
海外出張にも頻繁に行きました。5月には中国・北京。10月は国際博覧会がおこなわれたイタリア・ミラノを訪れ、その帰りにUAEアラブ首長国連邦のドバイに立ち寄りました。中東・イスラム圏の訪問は知事就任後、初めてでした。
同じく10月にはロシアのユジノサハリンスクにも参りました。いずれも、北海道の食、観光の売り込みを図ってきたわけですが、ますます北海道ブランドの認知度が高まってきていることを実感しました。

経済活性化で人口減少を食い止める

――人口減少対策に力を入れていますね。
高橋 私は「人口減少危機突破」を掲げ、知事選を戦わせていただきました。
北海道の人口は国の推計によると、2040年に419万人まで減ります。われわれは努力をして、450、460万人で維持させる。そうでなければ、北海道の半分以上の市町村が消滅するという、増田リポートのような状況になる恐れがあります。危機感を持って対処していきたい。
――どのように人口減少を食い止めていきますか。
高橋 10月に人口減少対策の指針となる北海道創生総合戦略と北海道人口ビジョンを策定しました。
私は人口減少危機突破と同時に、「来道インバウンド年間300万人」「道産食品輸出1000億円」も、目標として掲げました。経済活性化により雇用の場をつくり、人口減少の危機を突破したいと考えています。
――東南アジアを中心にここ数年、インバウンドが急増しています。300万人達成のためにも受け入れ体制の強化が急務です。
高橋 受け入れ体制の整備は、ありとあらゆる面で考えていかなければなりません。札幌市内を中心に宿泊施設が足りません。
これは民間と連携して、企業誘致を仕掛けていきます。加えて、道内各空港、観光地などのWiーFi整備の問題もあります。
それと並行して、国際線直行便のトップセールスもおこなっていきます。アジアを中心に、まだまだ開拓の余地があります。
新千歳空港の税関・出入国審査・検疫(CIQ)施設を増設する必要があり、国に協力を要請していきます。
その一方、海外観光客が多くなると、トラブルも増えます。病気や冬場の事故の危険性、さらに自然災害などに巻き込まれたときの外国人への対応など、いろいろなことに目配り、気配りをしていかなければなりません。
最近、外国人で病気療養のために北海道にいらっしゃる方も増えていると聞いています。今後は、単においしい食、いい観光地だけではなく、幅広い視点が必要になると考えます。
――秋元克広札幌市長も、人口減少問題について、道と連携して取り組んでいきたいと話しています。
高橋 札幌の一番の問題は出生率の低さです。政令指定都市と東京23区の中で、東京23区に次いで下から2番目です。北海道の出生率も低いのですが、特に人口規模の大きい札幌の出生率が低い状況です。
札幌市は政令指定都市なので、権限、財政面で独自の政策がありますが、こうした保健・福祉分野における政策は、共通の地域課題への取り組みとして、これからも互いに知恵を出し合って、連携しながら、札幌の出生率向上を考えていきます。

北東北と縄文遺跡群を世界遺産登録

――2016年3月26日には、いよいよ北海道新幹線が開業します。
高橋 開業当日のイベントは北海道新幹線開業戦略推進会議で議論し、内容を詰めている段階です。
やはり3月はまだ寒いですよね。その後のゴールデンウイークや夏休みなど、その節目節目で新幹線を盛り上げるイベントを実施する必要があります。
新幹線開業を追い風に、道南と北東北連携の大きなシンボルとして、縄文遺跡群のユネスコ世界遺産登録を目指したい。これが盛り上がることにより、観光の大きな目玉にもなります。
――新函館北斗駅からの二次交通の整備も大切になります。
高橋 JR北海道も「札幌駅―新函館北斗駅」間の輸送頻度を上げていただける予定です。道内各地を結ぶ都市間高速バスや路線バスの充実など、いろいろな形で二次交通の整備も図っていきます。
先日、道南を訪れましたが、新函館北斗駅からは、大沼公園が一番近い観光地になります。現地ではホテルなどの投資も進んでいます。われわれ行政も協力しながら、各地域で新幹線開業の相乗効果を発揮していきたい。
――2030年度には札幌延伸も予定されています。
高橋 そうですね。札幌延伸には事業費の問題もあります。トンネル工事が多く、技術的な問題もあります。札幌市内は住宅が密集しており、新幹線の走行による騒音を懸念される市民の方もいらっしゃるようなので、防音対策をしっかりおこなっていただいて、札幌全体として早期延伸の機運を盛り上げていければいいですね。

政府・与党のTPP対応を見極め

――TPP(環太平洋経済連携協定)には、どのように対応していきますか。
高橋 10月にアメリカのアトランタでTPPの大筋合意がなされました。全体像が見えなく、大変な不安感を持っていたところです。その後、自民党は、われわれから話を聞く場を設けていただきました。私も同席し、道内への影響は国の想定より大きいこと、その上での対応策を訴えてきました。自民党の農林部会でのTPP対応の方向性を見ると、私たちの要請はおおむね組み込まれています。その点は率直に評価したいと思います。
11月24日には、東京で稲田朋美自民党政調会長、小泉進次郎農林部会長らと面会しました。お礼と同時に、政府がTPP対策の法律措置、予算措置をやっていただけるよう、お願いしてきました。今後は政府の対応を、しっかりと見極めていかなければなりません。
TPPにより、道産品を海外に売っていきやすくなるチャンスも生まれるはずです。多層的なTPP対応を考えていきます。
――海外で注目している国はありますか。
高橋 たとえばベトナムは社会主義国ですが、現実的な国際環境を踏まえて、TPP参加を決めたと思います。
先日、似鳥昭雄ニトリホールディングス社長と話す機会がありました。中国は物価や人件費が高くなり、次なる〝世界の工場〟はベトナムだそうです。
世情の安定、中間的な加工現場としても期待できるということは、その先の消費マーケットとしても期待できると思います。ベトナムとは根室のサンマの輸出など、北海道とビジネスのつながりもあります。早くベトナムを訪れてみたいですし、われわれもサポートしていきます。
タイは北洋銀行も駐在員事務所があります。民主化するミャンマーも含め、中長期的に注視していきます。
道産品のアンテナショップ「どさんこプラザ」も、東南アジアに展開していきたい。その上で、目標の道産食品輸出額1000億円を達成し、さらに上を目指していきます。
1月にはさっそくシンガポールに行きます。海外にも多く足を運び、積極的に北海道をトップセールスしていきたいですね。
――最後に16年は、どのような年にしたいですか。
高橋 16年は国の予算措置で実施する北海道創生加速化元年で、大切な年です。
やはり地域あっての北海道です。いままでも続けてきましたが、現場主義として、自分自身の足で道内各地を回り、さまざまな声に耳を傾け、各般の施策を進めてまいります。
――本日はお忙しいところありがとうございました。(2015年11月25日取材)

=ききて/前田=