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Interview

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観光予算を15~16億円規模に倍増させる掲載号:2015年6月

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秋元克広 札幌市長

 4月12日の札幌市長選挙で、獲得票数45万3000票余、得票率49.9%で見事、初当選を果たした秋元克広氏。35年にわたり市に奉職し、副市長も務めた〝即戦力の男〟は、道都・札幌をどんなまちにしようとしているのか。

本当に大きい責任の重さを感じる

秋元2 ――昨年9月5日に副市長を辞職し、約8カ月ぶりの市庁舎です。
秋元 建物自体は見慣れた風景ですが、気持ちはまったく違います。今回の市長選挙では、多くの人に投票いただきました。私に投票していただいた人はもちろんですが、他の候補に入れられた有権者も、札幌をよくしたい、よくなってほしいという思いは一緒だと思います。そういう人たちの思いも含めて、これからの4年間、札幌市政の舵取りをしていかなければならない。その責任の重さは本当に大きいと、あらためて感じています。
――各種の投票行動における調査などを見ると、有権者は秋元さんが前面に打ち出していた経済問題より、高齢化に対する意識のほうが強かった印象があります。
秋元 私は夕張で生まれ育ちました。炭鉱が閉山し、経済基盤が揺らいだまちから、1人また1人と友人が去っていく幼い時の記憶は、いまも鮮明に残っています。そうした環境で育ったからだと思いますが、しっかりした雇用がなければ福祉だ何だといっても始まらない。ですから、経済政策を重点項目として訴えてきました。
――対立候補の本間奈々さんも経済政策を前面に打ち出していましたからね。
秋元 地下鉄の延伸、除雪パートナーシップの無償化といったとき、市民からは財源は大丈夫なのかという声も多かった。もちろん、必要な投資はしていきますが、過大な借金をつくるような投資は慎重にならざるを得ない。そうしたことも真摯に訴えました。そんなところに市民のみなさまから安心、安定の評価をいただいたのかなと思います。
――しかし、少子高齢化の問題は待ったなしです。
秋元 当然、保育所の整備をしていきます。3歳になると幼稚園もありますが、0~2歳のところは量的に増やす。保育園は現状のように庭があってというと、少子化で経営される側も投資した見合いを回収できないかもしれないという不安がある。一時的には地下鉄駅周辺の空いているビルに賃貸することも考えています。そのほか経済的負担の軽減、あるいは母親の精神的なケアなど、子育てしやすい環境づくりは1つのことでは解決しません。お金はかかっても多種多様に対応していかなければならないと考えています。
――いま札幌市の待機児童はどれくらいですか。
秋元 厚生労働省が認定する待機児童数は百数十人ですが、潜在的にはまだまだいると思います。解消するには1000~2000人規模の拡大が必要かと思われます。
――子どもが減る一方、高齢者は増え続けます。
秋元 ここは2つあると思います。1つは元気な高齢者がこれまでの経験やノウハウを生かして社会に貢献する生き甲斐づくり。もう1つは、病気や介護が必要になったときの受け入れ先の問題です。いまサービス付き高齢者住宅などを含めて、住まいの部分はずいぶん増えてきている。あとは施設の質や、医療と介護の連携。ここは国の制度の問題もあるので、不備があれば国に対してきちんとものを言っていきます。
まだまだ制度が縦割りのところがあるので、横串をどう刺していくか。元気な高齢者には、たとえば保育園の支援とか、子育てのアドバイスとか、不登校になる子どもたちの悩み相談とか、やっていただきたいことはたくさんあります。
――医療と介護では地域包括ケアシステムの構築が急務ですが、政令指定都市の中で札幌の整備は遅れているという指摘があります。
秋元 在宅にしても施設にしても医療機関との連携がまだまだです。これからの課題です。
――高齢者施設はこれからもつくらせるのか。
秋元 ある程度はつくっていくことになると思います。一方で、国の方針は施設より在宅という方向になっていますから、訪問診療、訪問介護などを充実させていかなければならない。そこは足りません。患者のほうが医療機関に来ますので、医師が出ていこうというインセンティブが働かないように感じます。

地元優先の発注を高めていきたい

――市長に就任して最初に取り組むことは。
秋元 任期4年を、どう進めていくかの中期計画の策定に取りかかります。何を、いつ、どれくらいのお金をかけてやっていくのか、秋までにまとめる。その中には経済対策も含まれます。
――選挙戦では観光予算を倍増させると言っていた。
秋元 外国人観光客がどんどん増えています。外からお金を稼いでくるという意味では継続して来ていただかないといけない。そのためにも観光予算の倍増を補正予算の中で入れていこうと思っています。いま年間予算は8億円程度ですが、これを15~16億円規模に増やします。とくに外国人観光客のためのWi│Fi整備を進めます。
――高速道路の市内中心部への乗り入れは。
秋元 札幌市だけで解決する話ではないが、早期実現に向けスピード感をもって国と計画策定をしていく。
――市内の観光バス待機所が午後6時に閉まる。
秋元 旧豊水小学校のグラウンド部分を観光バスの待機所として北海道バス協会に貸しています。バス協会が運営しているから、協会が延長するのかどうかを決めることになる。それ以外の路上停車もかなり大変なことになっていて、将来的にはバス駐車場も整備していかなければならないと考えています。
――丘珠空港の活用は。
秋元 滑走路の延長はすぐできるものではないが、夏場1500メートルで飛べる飛行機が定期運航することが、滑走路の延長問題にもつながっていくと思います。丘珠空港は都心から5~6キロ圏内にある飛行場です。住環境の問題もあり地域住民との話し合いが前提ですが、防災の観点からも、もっと活用しなければもったいない。今後、小型機がジェット化されていったとき、それが使えないような空港では、丘珠は生きてこない。しっかりそういうところを見据えた活用をしていくことが必要だと思います。
――現状、都心と丘珠のアクセスはよくない。
秋元 まずはシャトルバスなど、すぐにやれることで利便性を高めていく。交通網の整備は、将来的な需要を考慮して決定するものですから、丘珠空港の活用方法を決めることが先です。
――地元の産業振興は具体的にどう考えているか。
秋元 市発注の公共事業では、総合評価や地域要件を入れて地元優先の発注を高めていきたい。地元でできることは地元でやっていくという方針です。
いま地元の中小企業が困っているのが、人材の確保と事業の継承。人材の面では、たとえば建築業界でいえば技能工的な人が足りない。1企業で人を育てるのは大変ですから業界全体で育成していく。そこに市も支援していくというイメージを考えています。
――他に産業振興策は。
秋元 札幌だけではなく北海道全体が底上げしていかなければなりません。北海道全体でいうと、やはり1次産業がベースです。生産物を加工して付加価値をつけることが求められています。札幌には研究機関があり、人材も地方に比べると豊富です。そういう機能を生かして、役割分担をしながら、道内の産業全体を底上げしていければと考えています。
――都心部の再開発は。
秋元 いま「北1西1」が動き始めました。あとはJR札幌駅東の「北5条西1」。西2丁目のバスターミナルが入っているビルと一緒に再開発する計画です。北海道新幹線の札幌延伸もあるので、具体的に絵にして動き出さないと間に合わなくなります。
大通の北側は古いビルの建て替えが逐次おこなわれています。大通南側も建て替え意欲はあるのですが、地元資本のビルが多い。またデパートの建て替えの動きなどもあって進捗については不透明なところもあります。ただ市としても大通南側の再開発は力を入れていきたい。
――ススキノも市として力を入れていいのでは。
秋元 単に飲食だけではなく、劇場などがあってもいい。そういうものを組み入れた再開発事業ができればと思う。
――たとえばススキノのビルを空中でつなぐということを考えたことは。
秋元 いろんな規制はあるでしょうが、できないことではないと思います。それにはビルオーナーや地権者らとススキノ全体をどうしていくかというコンセプトを共有していくことが大事になります。
――その方向性を出すのは市長なのでは。
秋元 旗を振るというか、呼びかけていきたいと思います。
――札幌市内も北区や東区などの郊外に行くとまだ農業が営まれている。土地利用も含め、何か活用は考えていますか。
秋元 土地利用を考えたとき、まちを郊外に延ばしていく時代ではありません。調整区域は限定的に考えていきます。一方で、たとえば農家が自分の土地で、自らつくった作物を使ってレストランをやろうとしても調整区域だからできない。こうしたところは改善していきたい。
――条例で対応可能か。
秋元 都市計画上の土地利用の考え方は法律の中にあります。そこに別の考え方を入れて整理していかなければなりませんが、解決はできると思います。

道と早急に話し合いの場を持ちたい

――雪対策は。
秋元 雪の堆積場が限界にきていることもあって、昨シーズンは排雪を抑制しました。それに対し、不満をもたれた市民が多かったのは認識しています。パートナーシップ制度の料金云々よりも、除排雪のレベルを上げてほしいという声も承知しています。ただレベルを上げるためには、車両や人的な体制もまた限界にきているということも理解していただかないといけない。では現状の体制で、どうすればレベルアップができるのか。そこは見直しが必要だと思っています。同時に、長い目で見たとき、雪を運ばないで済むような仕組みも考えていきます。
――最後に、道との連携については。
秋元 道と札幌市は仲が悪い(笑)と見られているようなところもありますが、決してそんなことはありません。確かに、札幌市は札幌のこと、道はそれ以外のことというような線引きがあったのは事実ですが、いまは〝オール北海道〟で立ち向かっていかなければならない時です。私はこれまで、道と市の調整役をやってきた部分もあります。そういう意味では、道のほうもやりやすいと思っているのではないでしょうか。早急に話し合いの場を持ちたいと思っています。

=ききて/鈴木正紀=