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Interview

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自民党結党の原点に立ち戻る!!掲載号:2009年11月号

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伊東 良孝 自民党道連会長

 総選挙で惨敗した自民党北海道支部連合会を立て直すため、新人衆院議員ながら道連会長に就任した。組織の再生はもとより、来年の参院選、2011年の統一地方選を控え、どうかじを切っていくのか。伊東良孝氏に話を聞いた。

国会議員1年生で異例の道連会長に

――先の総選挙で初当選したばかりなのに、自民党道連の立て直しという重責を託されました。
伊東道連会長にはこれまで当選4回以上の国会議員が就くのが通例でした。 一から国政を勉強しなければならない私としては、先輩方にやっていただきたかったのですが、道連の再生を果たしてほしいという、みなさんからの強い要請が あり、私でよければということでお受けした次第です。  野党に転じたばかりですし、北海道代議士会も衆院3人、参院3人の6人になってしまいました。いささか荷が重い感じがしますが、地方の悲鳴にも似た叫び があります。そういった声をしっかりと受け止めることができる態勢づくり、党の再生に全力をあげたい。  政党の使命は地域の発展、住民の幸せ、地域の抱える諸問題の解決、要望の実現です。いかなる状況にあっても、国会議員の数が減ろうとも、その役目をき ちっと果たす党体制は構築していかねばなりません。選挙結果に一喜一憂せず、政党本来のあり方というものを地に足をつけて進めていきます。
――先輩国会議員から何か言われていますか。
伊東選挙結果を踏まえ、反省もこれからの課題も、次の参議院選挙、統一地方選挙、そのための態勢づくりについても、再三、話をしています。みなさんからは「一致団結して協力するから、頑張れ」とおっしゃってもらっています。
――先ほど、大通公園で行われた総裁選の演説会で、谷垣禎一さんが、党の再生について「みんなでやろうぜ」と訴えていました。この考え方は、いまの道連にマッチするのではありませんか。
伊東ほぼ同感です。世代交代を叫ぶ河野太郎さんのおっしゃっていることも、メリハリが効いていて正し い部分もあるのですが、排除の論理など過激な部分もある。  私は、いまの自民党支持層、また、支えてくれている党員は、そこまで過激な意志は持っていないと思います。  小泉政権以降、自民党は日本の財政赤字が膨らむ中、役所や行政サイドの論理で、改革を進め、国民に負担を押しつけてきました。その結果、地方に格差を生 じさせ、痛みを発生させた。  これからは地方からの声を吸い上げ、それを政策に反映する、昔のように幅広い、懐の深い自民党に戻らなければなりません。
――伊東会長は釧路市長を6年間務められました。その経験が道連再生に生かされると思うのですが…
伊東これは市長時代の話ですが、例えば共産党が要望してきたことでも「正しいな」と思えば、私は取り入れることにやぶさかではなかった。  一番先に置かなければならない基準は、人々の幸せです。困っている人を助ける。苦労している人を救う。そういう自民党結党の原点に立ち戻るところから、はじめなければいけません。

政権交代を招いた原因は自民にある

――なぜ、自民党は野党に転落してしまったと思いますか。
伊東やはり、有権者のみなさんにとって身近な存在ではなくなっていたというのが原因です。もう1つは年金問題、あるいは雇用、医療・福祉の問題を含めて、国民のみなさんが将来に不安を覚え、ご不満を感じていたことが相当あるのではないでしょうか。
小泉政権による構造改革は、国が800兆円に上る膨大な借金を抱え、孫子の代にまで、そのツケを残すわけにはいかないという思いから進められてきまし た。赤字垂れ流しで、毎年30兆円、40兆円の赤字を積み増しして、返せる見通しが立たない借金を増やしていくことが正しいのかといったら、誰に聞いたっ て、それは正しくないと言います。改革自体は、なんら間違いではないんですよ。
しかし、改革を進めてみると思いのほか、地方にしわ寄せがいってしまった。例えば、地方の医師不足の問題がありますが、地方に医師を置けば何千万円もの費用がかかります
。これは増大する社会保障費を抑えるという改革の趣旨とは、逆行する話です。
本来、地方でのサービス低下しないように、もっと別なムダな行政コストの削減に努めなければならなかったのですが、小泉改革では、そこまで手が回らなかった。そこのところに問題があります。
――ある自民党道連関係者の方は「“政権交代”という“風”にやられた」と言っていました。
伊東有権者のみなさんにそういう意識を持たせてしまったのは自民党自身です。これは麻生内閣、その前 の福田内閣を含め、障害者自立支援法しかり、後期高齢者医療制度しかり、年金問題もそうです。生涯に対する問題に不安感を感ずるような状況が長い間続い た。それにリーマンショックの不景気が重なり、失業・雇用問題も出てきた。
i7 み なさん、閉そく感と不満と将来への不安の中で、「いまの政治は行き詰まっている」と感じていたと思うのです。そんな時に、麻生総理の受け答えや失言など、 不満に拍車をかけるようなことがあり、一度、政権を代えてみようじゃないかという意識が生まれてしまったのではないでしょうか。
――麻生さんのやった景気対策などは、もっと評価されてもいいと思いますが。
伊東もちろん景気対策をやったことは間違いではなかったですよ。  ただ、漢字の問題だけではなく言葉づかい、例えば「老人は働くだけしか能がない」とかを含めて、言わなくてもいいことを言って、ひんしゅくを買い、失望の上に失望を重ねた。
それに政府幹部、閣僚の不祥事等の問題を含め、国民からの信用を失っていったのは間違いのない事実です。

民主党政権は地方を軽視している

――民主党も選挙期間中、FTAやインド洋での給油活動継続問題で大きくぶれていました。政権獲得後も八ツ場ダムの建設中止問題などで地元との間に摩擦が生じています。
伊東これから来年度の予算編成に向けて動き出しますし、就任直後の鳩山内閣の閣僚の発言を聞くと、大きな変化が予想されます。それが政策として議題に上ったときには、しっかりと議論しなければいけません。
例えば、原口一博総務大臣は国の出先機関の廃止を明言しました。これが北海道開発局ならびにその出先機関の開発建設部などを指しているのなら、郵政民営化で地方に不便をもたらしたと批判していた人たちが、同じようなことをやろうとしていることになります。
日米FTAについても、あれだけ農業団体が反対していたのに、直嶋正行経産大臣は就任会見で「積極的に推進する」と。マニフェストに「締結する」と明記して猛反発を受け、「推進する」にトーンダウンしたのに、政権を取った途端、トーンが上がった。
本当にそんなことになったら農業はどうなるのか。ただ、同じ民主党でも本道選出議員は「農業の関税は守る」といっています。もう少し具体的な中身を見て、それが国会に上がった時点で対応を見極めたい。
――教育や安全保障なども、これまでとは大きく変わろうとしています。
伊東川端達夫文部科学大臣は、学力テストを廃止する、教員の免許更新制度をなくする方向で検討するとしていますが、これはまさに日教組が言っている通りの政策を直ちに実行するようで、先行きが心配されます。
しかし、道民、国民のみなさんが「民主党にやらせてみよう」という選択をしたのです。それがどういう結果をもたらすかということは、もう少したたないと 見えてこないでしょう。私たちは、北海道の発展や道民の幸せを第一義に考え、国政、道議会における議論、市町村議会における政策論議をしっかり積み重ねた い。

地方、弱者重視の政策を打っていく

――国と地方の間で、政治の“ねじれ”が出てくることも懸念されます。
伊東今後、国がこれまでの方針を180度転換する可能性は極めて高い。ただ、私は、反対のための反対はするべきではないと思っています。
本当に道民のため、子供たちのため、地域のためになることであれば、民主党の提案も受け入れる。しかし、そうでない場合は議会での論議を通じて、道民のみなさんにご理解をいただかなければならない。そこをきちんとしないと、政党の存在意義がなくなります。
――いま民主党は、道議会でも高橋道政に対するプレッシャーを強めています。
伊東政府の力を背景としたプレッシャーです。逆に民主党政府の政策を道内に持ち込もうとしたとき、自民党の政策に反するものなら反対していきます。
――主要都市の市長のうち、札幌、旭川、北見、釧路などを民主党が押さえています。伊東会長にとっては、来夏の参院選が最初の戦いになりますが、続く統一地方選も勝つための戦略が求められます。
伊東自治体の首長を決めるのは、その地域の人たちの最高の権利です。そこに深く介入する気はありませんが、私たちと志を1つにする同志が出馬するということであれば、積極的に支援は行っていきます。
――来夏の参院選北海道選挙区は、現職の中川義雄さんのまま行くのですか。
伊東道内の業界団体だけでなく、道内200の自民党支部の中からもさまざまな意見が出てきています。来年の参院選は必ず勝たなければなりません。
勝てる候補者は誰なのか、そして勝てる体制づくりのために、みなさんと候補者選考にこれから当たりたいと思っております。
――公明党が自民党との関係を見直した場合、どうするおつもりですか。
伊東私は党本部の執行部ではないから、自公両党の連携関係がどうなっているのかわかりません。ただ、 自民党は自民党としての主義、主張、理念を持って、国民の幸せを第一に考え、みなさんの声をしっかり聞いて政策に反映する。そういう立党の原点をもう一度 確認して、その上に立脚した政治を行う政党として頑張るべきだと思います。
――今回の総選挙で離反した従来の自民党支持層に戻ってきてもらうというのも大きな課題です。
伊東民主党もこれから、各業界団体に相当接近していくと思いますし、いろいろな工作を仕掛けてくるで しょう。従来の労組に加えて、自民党の支持団体にまで食い込んでくることは想像に難くありません。「会社が○○党支持だから従業員みんな○○党に入れま す」とか「主人が○○党支持だから奥さんも○○党に」というのは通用しない時代になってきています。
支持団体をつなぎ止めるだけで、もはや選挙に勝てるとは思いません。もっと多くの国民のみなさんや地域のみなさんの声を聞き、地方を重視する政策を打ち出せるようにならなければダメです。
――総選挙直後の世論調査の結果で、自民党に「立ち直って欲しい」と期待する声が76%ありました。
伊東その期待には応えていかなければいけません。本当に信頼に足る政策、議会論議、日常活動を含め、地方の声、そして、地方の痛みといったことが、しっかり政治の場で解決できる、あるいは解決策を示すことができる自民党に生まれ変わるため頑張っていきたい。

=ききて/取材 9月21日 坂井隆=