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Interview

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“秘密保全法”を止めないと子どもたちに未来はない掲載号:2013年11月

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山本太郎 参議院議員

 2011年4月、芸能界から干されることを覚悟で脱原発活動を宣言。市民運動に身を投じた山本太郎氏。7月の参院選で東京都選挙区から無所属で出馬、66万票余りを獲得して初当選を果たした。数々のバッシングを受けながらも、ブレずにここまできた山本氏。次の行動は。

子どもたちを切り捨てる決定をした

――当選から2カ月たちました。
山本 当選後、休みも取りました。選挙前から休みがなかったので。リフレッシュというかデトックスというか、毒を出しに。
――旅行ですか。
山本 そうです。でも旅行先でも取材などはしていて、100%休めているというわけではないのですが。
――国会はどうです。
山本 息苦しいところですかね。
――議員会館に事務所もできて、麹町の議員宿舎にも入られたんですね。
山本 本当に寝に帰るだけという感じです。3・11があって、原発事故が起きた。でも国はその影響をはっきりと言わない。31種類以上の放射性核種が漏れ出していると文部科学省がいっているにもかかわらず、調べられているのはセシウムとヨウ素だけ。隠蔽しようという雰囲気です。東京に21年くらい住んでいましたが、そのマンションを売って関西に引っ越しました。でも東京で仕事があって、1年半くらいはホテル住まいをしていた。結局、関西の家に帰れるのは1カ月に1、2回。それも1泊2日の感覚です。要は荷物の中身を入れ替えるために帰るようなものです。久々に住所不定でなくなった。
i2――議員宿舎でタバコを吸っている写真を週刊誌に撮られていました。
山本 そういうことはずっとついて回ることなんで。
――タバコのイメージがなくて少々驚きました。
山本 自分で許容しているリスクです。人に迷惑がかかるような吸い方ではなく、決められた場所で、外での喫煙。放射能を恐れている奴がタバコを吸うのはいかがなものか、みたいなことを言う人がいますが、望んでもいないものを吸い込まされるのと、自分自身でそのリスクを理解して吸い込んでいるのは違います。3年くらいやめていたんですけど、3・11以降にまた吸い出してしまった。
――ストレスですか。
山本 何なんですかね。一人になれる時間なのかもしれないですね。合間なく人と会う毎日ですから、一人になれるのは、寝ているときか、喫煙しているときなんでしょうね。
――円形脱毛症は。
山本 まだあります。そう簡単には治らないですよ。
――いつからですか。
山本 発見したのは昨年暮れの衆院選の途中です。参院選のときに拡大して、選挙が終わるともう1つ新しいのができて。
――相当なストレスということですよね。
山本 自分ではそんな認識がまったくなかったんですが、体は感じていたんですね。ビックリしました。
――2011年4月の脱原発活動宣言からこの間、山本さんに対するさまざまなバッシング、ネガティブ・キャンペーンがありました。やはり心労になっていたのでは。
山本 そう仕掛けてくるのは普通だと思っています。時の権力者や大企業の利益に対して、ものを申しているわけですから。
――覚悟はしていた。
山本 想定外というのは1つもありませんでした。
――でも離婚の件はちょっと衝撃的でした。結婚から3カ月での離婚ですから。
山本 そうですか。でも〝成田離婚〟とかもありますよね。そもそも議員になってからの話ではないし、僕が私人として、お互い納得してのことです。誰かに何かを言われる筋合いのも のではありません。離婚でこれからの政治活動に支障が出るのか。結婚しているかしていないかで、僕に投票した人は、ほとんどいないと思います。公人だから といって、すべてのプライベートをさらす必要はないと、僕は思っています。
――さらに子どもの誕生です。何か考え方に変化はありましたか。
山本 3・11以降、本気になって行動を起こした理由は、この国は子どもを守る意識がないということがはっきりしたからです。文科省は子どもたちの被曝の安全基準を20倍に引き上げました。被曝は年1ミリシーベルト以内というのが国際基準です。それを20ミリシーベルトにした。子どもを守るはずの文科省が〝やわらかな死刑宣告〟を子どもたちに与えたのです。子どもはこの国の未来と直結しています。にもかかわらず、目の前の金儲けを止めるわけにはいかないから、子どもたちを切り捨てる決定をした。国の未来をあきらめている人たちが、いまこの国を運営しているということです。
――確かに、国から「子どもを守れ」という言葉は聞こえません。
山本 本来、その言葉は当たり前に出てくるはずですよね。この2年半、子どもを持ったお母さんたちの悲痛な叫びをずっと聞いてきました。そして、自分の子どもができた。「生まれたよ」って電話がかかってきて、決意が新たになったというか、より強いものになったというのはあります。
――参院選の投票日と一緒の日に生まれた。
山本 こればかりはこっちで決められない。でも、1つのメッセージなんだろうなとは思います。
―― 一緒に暮らさないのですか。
山本 国の原発事故への対応は信じられる要素がありません。僕自身、リスクがわからないということで関西に家を移した。パートナーも事故後、単身で移動している人。子どもができたからといって、東京に呼ぶというのは無理です。

国会議員に直接的なアプローチを

――国会内で共闘できそうな人はいますか。
山本 現政権の考え方に対する抵抗勢力という人たちとは手を組めると思います。自分の中に10の思いがあって、そのすべてが一致しないと手を組めないという話にはなりません。その中の1つでも手を組めるところがあれば、その部分で共闘する。それはどんどんしていくつもりです。
――社民党や生活が第一などからの秋波は。
山本 会派入りのオファーはきていません。これからくるのかどうかわかりませんが、本当に少数派というか、絶滅危惧というか……。そういう状況なので、少しでも力を合わせて、現政権が進める政策に警鐘を鳴らしていきます。このままでは、日本の状況はますます悪くなっていく一方だと思います。
――脱原発で積極的に山本さんから動くことは。
山本 いまの政治の中で圧倒的多数を持っているのは自民党です。国会の議席としての決着はついてしまっている。ここは覆せません。多くの政治家は〝企業のロビー活動家〟化しています。それを変えていくのは有権者です。彼らを監視して、プレッシャーをかけて、コントロールすることはできる。それが有 権者の務めです。僕自身、そのことを怠ってきたからこそ、いまのような世の中になってしまった。反省し、だからこそ行動に出ました。
――議員をコントロールする具体的な行動は。
山本 TPPを見てください。200人を超える自民党の候補者は反TPPを謳って当選しました。ところが現状を見れば詐欺だったという話です。これに対し、どこを見て政治をやっているんだと言えるのは有権者であり消費者です。だから、そういう直接的なアプローチが大切なのです。
現政権に対し、反対勢力が国会で爆発的な力を持っていません。この国は、いつ巨大地震が起きてもおかしくない状況で、安全性のない原発を動かし続けようとしています。そんな狂気の中で一番止める爆発力を持っているのは人々が立ち上がることです。それはデモをしてくれとか、座り込みをしてくれとかいうことではなく、それぞれの選出の国会議員に対し、たとえば僕がいま最も危険だと感じているのは秘密保全法ですが、それに対して賛成するなら次の選挙は応援できないというファクス、メールを送る。これが何万人からもきたら、すごい大きな影響力になる。仮に1万という数の意志が届けば、その議員の行動によっては、次の選挙で1万票減る。これは当落を分けるラインです。有権者はそういう危機感を議員に伝えなければいけないし、議員の側も自覚しなければいけない。

知る権利奪う秘密保全法は絶対阻止

――現実には、政治をあきらめている人、興味のない人という数が圧倒的です。
山本 僕はそういう人たちに対してアプローチしていきます。このままだったら本当に好き勝手やられてしまう。そのことをできるだけたくさんの人たちに伝えていく。第1弾として、9月22日から10月13日まで、全国街宣キャラバンを実施。10月1日には札幌にも行きました。
――先ほどの秘密保全法こと「特定秘密保護法」について訴えていましたね。
山本 今回の街宣は、秘密保全法の危険性に重点をおきました。これはかなりヤバイ。だから知ってほしい。知らなければ、われわれの「知る権利」が奪われます。命にかかわることでも、国にとって不都合、権力者にとって不利益なら秘密にできてしまう。
この法律で「秘密」とされる事がらによっては、国民がこうむる不利益は計りしれません。たとえばこの先、収束のメドもたたない福島第1原発で何かが起きても、政府がそれを「特定秘密」と決めれば公開しなくていい。国の安全、外交、公共と安全と秩序の維持にかかわることは特定秘密にできるとしています。解釈の仕方でどんなことでも特定秘密にできるということです。
さらに情報を漏洩した者には最高懲役10年。それだけではなく特定秘密を探ろうとする者も処罰対象。仮に取材したことを発表しなかったとしても未遂罪適用。それに関してツイッターやフェイスブックでコメントしたら共謀罪の恐れ。情報を漏らすのも罪、探るのも罪、情報を出せと声をあげても罪、そんな法案を政府は秋の国会であっさり通過させようとしているんです。
――何も知れない、何も言えないという時代が、すぐそこまで迫っていると。
山本 僕のことを「人を脅かす発言ばかりしやがって」と言う人もいますが、法案が通って数年後に泣いても遅い。なんとしてもこれを阻止しないと、いまよりもっとひどい時代がやってきます。
全国を回っても会える人は限られているけど、その人たちに広げてくれと、そうでないと本当に手遅れになってしまうと訴えています。国はしっかりとした情報を国民に伝えているかといえばノーです。その象徴が原発事故だと思うし、この法案が通ればいま以上に情報が隠蔽される。原発も被曝の状況もTPPも貧困問題も死刑問題も、ありとあらゆる問題について戦えなくなる。
――秘密保全法はどこにつながっていくと。
山本 当然、言論統制だと思います。知りたいことも知らされずに、言いたいことも言えない、表現することも許されなくなる世の中になる。実はもう始まっています。ネットの中は監視されているはずだし、それがより強まる。一人ひとりの思想までのぞかれ監理される。そんなことになれば、みんな萎縮してしまいます。まずこの秘密保全法を止めないと、子どもたちに未来はないし、世の中にあるすべて不条理がひっくり返せなくなります。力を貸してください。

=ききて/鈴木正紀=