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Interview

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社会保障制度改革国民会議の一日も早い設置が必要掲載号:2012年12月

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三井辨雄 厚生労働大臣

 10月1日に発足した野田第3次改造内閣で厚生労働大臣に就任した三井辨雄氏(衆院2区、民主党)は、まさにはまり役。医療・介護・年金問題をライフワークとしてきたからだ。その三井氏に厚労行政の課題と見通しについて語ってもらった。

小沢さんとは政策で一致しなかった

――三井さんは一時期、小沢一郎氏の側近と言われ、昨年6月の菅内閣不信任決議をめぐってはいったん、国土交通副大臣の辞表を提出しました。しかし、野田政権下では政調会長代理として野田佳彦首相を支え、6月26日の衆院本会議では小沢グループが反対する中、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案に賛成しました。なぜ、なんですか。
三井 民主党政調会長代理のときに、党の税調副会長もやっており、社会保障と税の一体改革調査会でも座長代理を務めていました。この問題に関しては相当議論を重ねてきました。それを踏まえて考えると、やはり社会保障の財源は、国民のみなさんに消費税の増税をお願いするしかないと思いました。
いろいろな調査の結果も見ましたが、国民の4割から5割の人は、社会保障をしっかりやるためには消費税増税もいたしかたないということでした。
社会保障と税の一体改革関連法案に賛成したのは、「5%の消費税増税分は社会保障に使うんだ」ということを国民と約束し、それをしっかり守ると、私自身が決意をしたからです。
――増税分がすべて社会保障に使われるということに、国民は少し懐疑的になっていると思いますが…
三井 そういうことにならないように、しっかりと監視していくことが大事です。私はそのことを自分の選挙区でも街頭で国民の皆さんに訴えています。
――小沢さんと袂を分かった理由は?
i2三井 私は社会保障を充実していくためには、消費税の増税は必要だと考えました。しかし、小沢さんの政治スタンスはあくまでも消費税増税反対。政治家として一番大事な政策で一致することができませんでした。私は医療・介護・年金といった社会保障に政治生命をかけて取り組んできました。自分の信じる政策をきちっと実施していきたいと考えたときに、この問題では小沢さんとは考え方が異なると思いました。
――では、社会保障と税の一体改革で目指す将来像とは、どのようなものですか。
三井 現状では、①高齢者への給付が相対的に手厚く、現役世代の生活リスクに対応できていない②貧困問題や格差拡大への対応などが不十分③ 社会保障費の多くが赤字国債でまかなわれ、負担を将来世代に先送りしている―などが課題になっています。これを現役世代も含めたすべての人々がより受益を実感できる社会保障制度に再構築する必要があります。
消費税増税を年金・医療・介護・子育てに充当することによって、全世代対応型の社会保障を充実します。「子ども・子育て」分野では待機児童の解消、幼児期の学校教育・保育の総合的な提供、地域の子育て支援、「年金」では低所得高齢者・障害者等への福祉的給付、被雇用者年金の一元化、年金の物価スライド特例分の解消、「医療・介護」では在宅医療・在宅介護の充実、早期社会復帰に向けた医療の充実、保険料の低所得者軽減の強化、長期で高額な医療の患者負担の軽減、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進と給付の重点化、などを図っていきます。

3党合意の実行が急務

――社会保障制度改革国民会議はいつごろ、どのような形で立ち上げたいと考えていますか。
三井 社会保障と税の一体改革法案を民主、自民、公明の3党合意で通していただいたわけですから、社会保障制度改革国民会議の設置は3党間の約束事です。しかも、同会議で社会保障全般について議論することになっています。
厚生労働省としては、3党間のやりとりを見守りつつ、官邸などとも十分相談し、同会議を一日も早く設置して、そこでしっかり議論をしてもらいたいと考えています。
この会議をここで立ち上げなければ、社会保障は医療・年金・介護にしろ立ち行かなくなってしまいます。
とにもかくにも3党での協議を早くしていただきたいと思います。
――政府が導入を目指す社会保障・税番号制、いわゆる「国民総背番号制」についての対応をうかがいます。
三井 社会保障制度をより公平できめ細やかなものにしていくためにも必要ですので、関連法案を国会で早期に審査いただけるよう、お願いしたいと考えています。これは岡田克也副総理の所管ですが、私たちも一緒に努力していきます。
――旧社会党などは番号制に反対していたと思いますが…
三井 番号制度によりさまざまな情報をひも付けできるようにすることは、社会保障制度を充実するためには必要なことですので、ご理解を願いたいですね。
――年金制度はどのようなものにしていきますか。
三井 将来的にも安心できるもの、持続可能なものにしていくということが大前提です。
年金関連2法案は、社会保障・税の一体改革で積み残しとなっています。法案では、3党合意を踏まえて、国庫負担割合の2分の1の財源に年金特例公債を充てる旨の修正も講じていますので、特例公債法案とセットで法案の早期成立に努力します。
また、今後の公的年金制度のあり方については、社会保障制度改革推進法、3党合意に基づいて対応していきます。
――年金問題は大変国民の関心が高い問題ですから、与野党がどうのこうのではなく、きちっとやってもらいたいものですね。
三井 これも国民会議を早く立ちあげて、しっかり議論すべき課題です。
――見直し論議が起きている高齢者の医療費自己負担率についてお聞きします。
三井 70歳以上75歳未満の患者負担の見直しについては、さまざまな意見があります。民主党内からも慎重な意見がありますが、一方では、世代間公平の観点から、高齢者であっても相応の負担をしていただく視点も重要であるという意見もあります。
いずれにしても、平成25年(2013年)度の予算編成の過程で検討していきます。

国民の信頼に足る生活保護制度へ

――不正受給や受給者の増大が問題となっている生活保護制度の見直しは、必要だと思いますか。
三井 これも難しい問題ですね。生活保護についてはさまざまな課題があることは認識しています。3兆7000億円の国費が投じられていることに対して、財政負担が大きいのではないかという声があることも承知しています。ただし、本当に生活が困窮している人、支援を必要とする人には確実に保護をおこなうというのが、生活保護制度のそもそもの趣旨です。
この基本的な考えは維持しながら、将来にわたり国民の信頼に足る制度の確立に向け、必要な見直しをおこないます。
また、不正受給については、そのようなことがないように厳正に対処していきます。
――大臣は薬剤師の免許をお持ちですが、未来創薬・医療イノベーションについて、考えを聞かせてください。
三井 ノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授が作製したiPS細胞は画期的でしたね。このiPS細胞を活用した再生医療の推進、あるいは日本発の革新的な医薬品や医療機器の創出などにしっかり取り組み、健康長寿社会を実現するとともに、日本の経済の成長に貢献していきたいと考えています。
――北海道大学も創成科学研究機構で、塩野義製薬、日立製作所と共同で「未来創薬・医療イノベーション拠点形成」事業をおこなっています。
三井 北海道経済活性化のためにも、こうした研究が進むことは大変素晴らしいことです。
――ちょっと範囲の広い聞き方で申し訳ありませんが、雇用の拡大のために、どんな方策をとっていきますか。
三井 高橋はるみ知事もおっしゃっていましたが、北海道の雇用情勢はとくに厳しいと感じています。道内の完全失業率は昨年同期より0・2ポイント良化したものの5・7%(6月現在)で、有効求人倍数も0・60(9月現在)となっています。
先月25日には高橋知事と会談し、全国初のケースとして北海道労働局と道が連携を強める「雇用対策協定」を結ぶことで合意しました。
労働局のヤングハローワークと道のジョブカフェ北海道が別々におこなってきた若年者向け就職相談窓口の一本化、失業者の再就職に向けた情報共有化も進めていきたいと思っています。
また、雇用情勢が厳しい地域などにおいては、雇用の創造を図ることが重要な課題であると認識しています。これまでも雇用を創造するための取り組みをおこなってきましたが、今後は産業政策と一体となった取り組みを強化していくことにしています。
地域には、地勢や雇用・産業構造の違いなど、さまざまな違いが存在するので、市町村や都道府県、地域経済団体等が一致協力し、創意工夫や発想を生かして雇用創出に取り組むことが重要です。今年度からは、地域雇用創造推進事業(パッケージ事業)と地域雇用創造実現事業を統合し、実践型地域雇用創造推進事業を新たに実施しています。
(10月30日取材)

=ききて/酒井雅広=