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Interview

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“永田町論理”を反省、単独で安倍政権に対峙する掲載号:2018年3月

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枝野幸男 立憲民主党代表

昨年の衆院選、“エダノン旋風”で躍進したのが、結党からわずか20日間の立憲民主党。野党第一党として巨大な安倍政権とどう対峙していくのか。野党に対する厳しい目、いまだくすぶる3党再編の可能性など、枝野幸男代表を直撃した。

安倍総理の憲法9条改悪に対抗する

――立憲民主党結党、直後の衆院選など、昨年は秋にかけて“中身”が濃いものだったと思います。いまの率直な気持ちは。

枝野 反省をしています。結党以前のことをです。数合わせをはじめとした政党・政治家の事情。つまり永田町の内を向いた政治です。それをしてはいけないと自覚していたつもりでしたが、現実は自分自身を含め、国民の草の根の声に向き合っていませんでした。

昨年9月28日、民進党が希望の党へ合流を決めました。そして排除発言うんぬんとなった。そこから党を立ち上げるまでの数日間は、正直言って「どうしたらいいのか」「どうなってしまうのか」という気持ちでした。

党を立ち上げるのも重い決断でした。総選挙のときは「出口はどこにあるんだろう?」と暗中模索の中でもがいていました。

ただ、短期間で1100万票を超える国民のご期待をいただけことは自信になりました。野党第一党になることができましたが、正直、結党の時点でこんなに多くの議席がいただけるとは想像していませんでした。

いまは厳しい峠を越えて、少なくともトンネルの出口の明かりが見える状態で前に進んでいます。志をともにする多くの仲間も国会にいます。ですから、非常に前向きになっています。

――インターネットの世界、若い世代を中心に「エダノン」というニックネームもつきました。

枝野 いまでも若い方々に声をかけられます。昔から「政治家は親しみやすさを持って、ニックネームで呼ばれるようになって一人前だ」と思っていたので、とてもうれしいです。

――とくに北海道選挙区で躍進しました。

枝野 もともと北海道は民主党、民進党の強い地域ですから、全国の中でも期待はしていました。それでも小選挙区の候補が比例復活を含め、8人全員当選できたのは想定を超えた成果でした。比例復活とはいえ、現職で活動できるということは、次の選挙に向けて大きな足がかりにもなります。

――個人的に北海道とつながりはあったりしますか。

枝野 民主党時代から党や仲間の会合などで頻繁に通わせていただいた地域になります。政権与党時代には内閣官房長官を担当していた際、沖縄及び北方対策担当大臣を兼務しました。官房長官として、アイヌ問題を取り扱ったこともありましたが、東日本大震災が起こり、力を注ぐことができなかったというやり残した思いもあります。

それから個人的にはジンギスカンとラーメンが大好きなんですよね(笑)。私は栃木県で生まれ育ったんですが、栃木の祖父母の家に行くと、よくジンギスカンを食べさせてくれたんですよ。祖父母が北海道出身というわけではなかったんですが、それがおいしくて。

――国会は会期中です。あらためて野党第一党として、国民に何を訴えていきますか。

枝野 前提として、国民に大きな立ち位置をしっかりとお示しして、国会の論戦に臨んでいかないといけないと思っています。この5年間、安倍政権の政治は強いもの、豊かなものをより強く豊かにする。そこから社会をよくしていこうという方針でした。確かに、そういう流れにはなったけれど、むしろ社会全体は分断されていっています。一般の方々には恩恵が少ない。

ですから、われわれが主張するのは、社会を下から支えて押し上げていくということ。格差を小さくしていくことが、社会全体の活力、景気を上向かせる大きな要素です。

――政策面で力を入れていきたいことは。

枝野 われわれがということではないんですが、専守防衛、個別的自衛権の範囲で、国を守り、海外に行って戦争しないという、この根拠になっている憲法9条を安倍総理は“改悪”しようとしています。

少なくともこれまで憲法9条の観点から集団的自衛権の行使を認めていませんでしたが、安倍総理はずっと守ってきたこの解釈を勝手に変えてしまった。こんな中で、憲法に自衛隊を明記したら、海外でも戦争をおこなうことを認める9条改正になる。これは明らかな改悪です。

自民党がゴリゴリやってくるのであれば、徹底的に対抗します。これまで守ってきた日本のあり方が変わってしまうということを、しっかりと国民にお伝えすることも大事な役割だと感じています。

野党再編なし、自らの決断で立憲に

――対峙すべき安倍政権は巨大な与党です。

枝野 国会での議席は圧倒的な差があり、安倍政権への支持率が高いのも事実です。しかし、昨年の総選挙では自民党と公明党を合わせた総体得票率は5割を切っています。ということは安倍政権以外を求めている有権者が多数派です。

さらにさまざまな疑惑が浮上し、昨夏ごろから安倍政権の勢いが一段下がったのは間違いありません。高支持率と言っても、もともと消極的支持でしたから、実態はかなり弱体化していると考えています。ですから、われわれがいかにもうひとつの道を、国民にお示しできるかが問われているのだと思います。

――野党3党による統一会派に否定的です。だが、依然として野党再編もくすぶっています。可能性は?

枝野 ありません。先日、2党の統一会派交渉は決裂しました。他党のことをあまり言うつもりはありませんが、気の毒だなと思いながら見ていました。

そもそもまず民進党の希望の党への合流は「不本意だけど、みんなで決めたから」ということで、再編がなされたわけです。しかし、実際は不本意だと思っていた方々を中心に、いろいろな声があがり、党内がまとまらなくなりました。

2党の統一会派交渉をみても同じような構図です。前にうまくいかなかったわけですから、同じ失敗をしてはいけない。ですから、私の考えとしては、野党再編であればなおさら、相手側の党の全員が心から納得しない限りはやるべきではないと考えています。

一方で、われわれが衆院選で国民に評価してもらった一因は、一人ひとりの政治家が自ら決断し、立憲を選んだからです。したがって、野党再編ではなく、わたしたちと同じ理念・政策を持つのであれば、個々の決断でわが党に加わっていただきたい。大歓迎です。

――それでもなお野党側のゴタゴタが目につきます。

枝野 他党はゴタゴタしているかもしれませんが、われわれは決してそんなことはありません。そのことは有権者にも理解していただいているはずです。総選挙のときよりは少し下がったものの、支持率は他党よりも高い水準を維持できているというのが、その証拠ではないでしょうか。有権者にも野党側が“見やすくなった”という期待はいただいていると思います。

われわれはその大きな一因である内向きの“永田町論理”に気づくことができました。冒頭に申し上げた反省する部分です。ですから、わが党は“永田町論理”を反省して、単独で安倍政権に対峙していきます。結党のときからのぶれない姿勢を貫いていきます。

統一地方選、参院選で他党候補には

――地方組織について伺いたい。今後、各地域に都道府県連や総支部設立が進んでいくとみられています。

枝野 民進党の地方議員、党員、パートナーには、個々の判断で、立憲を応援したいということでしたら大歓迎です。北海道などでは着実にそういう流れが加速していくと思っています。民主党、民進党の時代から多くの方々に党活動を支えてきてもらいましたから。

しかし、全国的には立憲がここまで強い北海道は特殊です。北海道のような地域では従来の流れを大切にして、しっかりとした組織をつくっていただけると感じています。それ以外の地域では、ハードルを低くして幅広く、ネットワークを張っていきます。柔軟にその地域の事情に応じた地方組織づくりをしたいとも考えています。

――来春の統一地方選に向けては。

枝野 まずは立憲として1人でも多くの地方議員をつくる。地方議会でいえば、どの地域ももともと民主党、民進党として議会活動をやってきた仲間が、今回、国会議員の都合で分断されたわけです。その中で立憲に来ることができる方、来たくても来られない事情の方もいます。たとえば、1人区、2人区で、かつては仲間だった候補がいる場合、立憲が別の人間を立てるということはしません。全国的にそういう方針でいきます。

ただし、政党は別ですので、民進党の候補を立憲が推薦することはしません。国民にも分かりづらい構図になってしまいます。あくまでもすみ分けです。

――知事選の方針は。

枝野 首長選は国政とは違うそれぞれの地域の事情、課題などがあります。それが争点となります。国政の対立構造などを地方政治に持ち込むべきではないというのが、基本スタンスです。われわれの大きな方向性と違いがなければ、地域の中で完結して戦うというのがベースになると思います。

北海道知事選などは地域も広いので党本部のサポートが必要なケースも出てくるかなとも考えています。その場合はわが党が軸となって独自候補の擁立を目指します。

――来夏の参院選について伺います。

枝野 候補擁立にあたっては民進党がどうするのかということはある程度、横目に見ながらとは思っています。3人区の北海道では少なくとも1人は擁立します。野党の状況次第で共倒れがないと判断すれば2人立てる。ただし、先ほど申し上げた通り、他党の候補に推薦を出すということは考えていません。1人の場合はその候補に集中します。

――あらためて抱負を。

枝野 国民のみなさんに選択肢のない政治はいけない。それに強いものばかりに光があたる政治はいけません。強いもののためにというのは、東京中心の政治に通ずると思います。

北海道で札幌は大都市ですが、日本全体を見たときには東京中心のしわ寄せを受けている地域だと考えています。これは札幌に限らず、むしろ広い全道に住むみなさん全員に言えることです。前向きに暮らしていける日本をつくっていくことが、われわれの最大のミッションです。もう1つの道をしっかりとお示しするために、国民の期待に応えられるように頑張っていきます。(取材日=1月29日)

=ききて/竹内洋規=