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Interview

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店長はともに“外商”出身
丸井今井札幌本店×札幌三越
“2トップ対談”
掲載号:2017年11月

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鶴本理 丸井今井札幌本店長
羽山ひの木 札幌三越店長 

札幌市中心部の丸井今井札幌本店と三越札幌店は経営統合から6年あまりが過ぎた。両店の店長は、ともに外商部ひと筋という異色の経歴だ。2人に、外商ならではのエピソードを語ってもらった。
◎札幌丸井今井店長 鶴本理(つるもと・さとし)写真右/1958年札幌市生まれ、専修大学卒。81年に丸井今井入社。外商統括部長、札幌丸井三越統合後の2011年に外商部長。13年函館丸井今井社長を経て17年から現職。
◎札幌三越店長 羽山ひの木(はやま・ひのき)写真左/1964年札幌市生まれ。札幌香蘭女子学園高校(現札幌山の手高)卒。82年三越入社。札幌丸井三越統合後2011年に営業本部外商部お得意様担当長を経て14年から現職。

顧客の人生に寄り添う仕事

――お2人とも、入社後ほとんどのキャリアを外商部門で過ごされています

鶴本 私は入社当初、呉服部門、それも特選呉服に配属されました。高価ですから、反物を持って市内のお客さまのご自宅へ足しげく通ってお話をする、外販が中心になります。呉服という商品自体も、お客さまとの日ごろのつながり、関係性が重要でした。その後、外商に配属されたので、お得意さまを回るという意味では一貫していますね。

羽山 私も店頭にいたのは最初の3年間だけ。その後、外商部に配属されましたが、事務から始まって制服やユニホームのデザインと営業、企画、マネージメントと、外商内のすべての業務を経験しています。

――外商のやりがいは。

鶴本 人と人とのお付き合いですから、絆が生まれます。社会的な地位をお持ちのお客さまとのお付き合いや出会いが多いですから、自分の幅を広げていく機会にも恵まれました。

羽山 お客さまの「人生に寄り添える」ところに、やりがいを感じます。商品をお買い上げいただいて終わりではなく、その後もお客さまそれぞれの変化をリアルタイムで感じられる。これは外商部の醍醐味だと思いますし、自分の人生も豊かになるように思いますね。

先日、私が帯広で外商をしていた時代に、大きなテーブルをご購入いただいたお客さまと偶然お会いしました。大きな一枚板を3枚も重ねたもので、すごく大きくて高価なもの。お客さまから「まだあのテーブル使っているのよ」と言われて、すごくうれしかったんです。納品当時、お子さまたちはまだ小さかったのですが、とても大きくなられていた。自分の仕事がお客さまのご家庭で、ずっと生きている。しかも店というより、私自身から買ったものだと思ってくださっている。それがすごくうれしかったし、外商って、いい仕事だと改めて思いました。

黄金の大判販売で見せた“営業魂”

――百貨店ごとの営業スタイルに違いはありますか。

羽山 今は、そういうスタイルの違いはなくなりましたが、かつては法人営業メーンから、個々のお得意さまに対する営業を重視するようシフトして以降、各百貨店ごとに強みや違いが明確になりましたね。丸井今井は、お得意さまのご自宅に伺って販売する外販が主力。三越は逆に店舗へお客さまをお呼びして、店内を外商スタッフが案内しながら買い物をしていただくスタイルに強みがありました。

――お互いの存在を意識していましたか?

羽山 直接競合したことは恐らくないのですが、マネージャーになった時、部下から大きな案件を取れなかったと聞いて理由を聞くと、実は丸井今井の外商に取られてしまった、と。全く同じ商品ではないのですが、同じような価格帯のものを、たまたま同じお客さまに提案していたようです。その時は丸井今井の外販の強さを感じましたね。

鶴本 取った取られたという話はよくあること(笑)。われわれも、ある企業の制服をずっと受けていたのに、三越に取られたことがありました。

――両店の外商部門が統合された時は、どのような経過だったのですか。

羽山 統合の1年ほど前から、両店の外商部長だった私と鶴本で毎週打ち合わせをして準備しました。お互いの強みである外販と店内のアテンドを、どういいとこ取りするか。どちらかの店舗だけで扱ってきたブランドの商品を両方とも扱えるようになり、各々のお客さまにどう買い回りいただくかを考えました。たとえば三越はもともと美術品に強く、丸井今井は工芸品が強かったんです。統合後、最初に売れた高額の商品が柿右衛門の壺でした。私自身、楽しいと感じましたね。

鶴本 それと、統合にあたって両店の外商スタッフの担当をイチから見直して大がかりに改編しました。

羽山 元々は三越のお客さまのところに、丸井今井出身の外商担当が伺う、ということも起きるので、戸惑うお客さまもいらっしゃると想定しました。ただ新しい外商担当に変わることで、新しいご提案ができ、お客さまの暮らしをもっと豊かにできると考え、取り組みました。

――統合時に特別な商品を販売されたそうですね。

羽山 統合記念ということで、1枚100万円の大判を制作しまして、これを両店の外商で販売しました。これが「丸井が何枚で、三越は何枚売った」という話になりまして。私としては、これから1つの部署になると言っても、あまりにふがいない成績で一緒になりたくありませんでした(笑)。それで当初は部下に任せたのですが、結局自分も売ることになり、あるお得意さまに10枚買っていただきました。あの時は営業魂が出てしまいましたね(笑)

――鶴本さんもかなり売られたのでは?

鶴本 私も、それなりには(笑)。そのほか、大口の商品を販売すると部署内に張り出されるのですが、柿右衛門の壺も実は……。

羽山 張り出された壺の写真の横に「鶴本」って書いてありましたね(笑)。あれはスタッフにとってもすごいプレッシャーだったと思います。そういう上司の下だと、部下も大変かもしれないですけど(笑)

人づくりが伸びしろにつながる

――両店の改装から約2年が過ぎました。

鶴本 「みなさまの丸井今井」というコンセプトを掲げていますが、これは社内ではずっと以前からさまざまな場面で使っていた言葉です。道民の知らない良いもの、北海道の良さを提案する一方で、道内では手に入らないような旬のものやファッションはグループの力を利用しながら取り入れて提供していく。これが明確になってきたのではと思いますし、従業員が一つの方向に向かって、品揃えや販売サービスをできるようになってきています。またこのことがお客さまに浸透しつつあり、成果は出てきています。

今後は、大通地区の再開発などとも連携しながら、地域とともに歩んでいけたらと思います。

羽山 三越は「あなたの三越」をコンセプトにしています。地下2階層の食品フロアの改装後は、来店される年代層が若返ってきていて、入店者数自体も増えているところです。上層階へどう誘引するかが課題ですが、たとえば2階にOLなど若い女性向けの編集ゾーンを設けて、遅い時間帯に足を運んでもらうようにするような取り組みをしています。

一人ひとりの販売員がしっかりとおもてなしの接客サービスができるような人づくりが一番大切だと考えています。そして各フロアの店頭にマネージャーがいてお客さまの声を聞き、販売員がお客さまと向き合い関係性を築いていく。そうすれば販売員とお客さま、お客さま同士のコミュニティーが生まれ、店頭へ足を運んでもらう回数が増えていき、今後の伸びしろにつながると考えています。

=ききて/清水大輔=