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Interview

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好調・黒ラベル
ビールの市場拡大に全力投球
掲載号:2016年9月

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尾賀真城 サッポロビール社長

140年前、サッポロビールは北海道で産声を上げた。今年は札幌市内のサッポロビール園が50周年を迎えた。同社の尾賀真城社長は、2016年を「とにかくビールを売る1年」と位置づけ、「商品を通じて北海道の活性化に貢献したい」と力を込める。

3000万人が来場したビール園

尾賀真城氏は1958年東京都生まれ。慶應大学法学部卒業後、82年にサッポロビールに入社。2005年北海道本部流通営業部長、09年執行役員北海道本部長、10年取締役常務執行役員営業本部長などを経て、13年3月から現職。

――サッポロビールを志望された動機を教えてください。

尾賀 もともとメーカー志望でした。「これが私の会社の商品です」というような、身近な存在の企業がいいと思っていました。

あとはビールを飲むことが大好きだったことですかね(笑)。それが一番大きな志望動機かもしれません。私の家でもサッポロビールを飲んでいました。

――入社後のご経歴は。

尾賀 スタートは本社の総務に配属されました。入社3年目から営業にでまして、そこからずっと営業畑です。東京支社の流通営業部長時代は、、小売店さんに缶ビールを中心とした販売ルートの拡充でした。1年ずつですが、北海道には営業部長、本部長として2回赴任しています。

――北海道にどのような印象を持ちましたか。

尾賀 やはりサッポロビールを受け入れていただく土壌、なじみがあります。本当にありがたいと思って、毎日仕事をしていました。

北海道はビアガーデンに適したエリアです。北海道を離れた後、札幌・大通公園の夏のビアガーデンで軽く一杯飲みたいと思うこともあります。われわれにとっては、ビールは食事でもありますから(笑)

――7月1日、札幌市東区のサッポロビール園が開園50周年を迎えました。

尾賀 「よくぞ、ここまで道民のみなさまに育てていただいた」という感覚です。ビール園を開園した1956年は、当社の第2工場をつくった年でもあります。ちょうど創業90周年のときです。

当時、ここでジンギスカンを焼いてビールをおいしく飲んでいただきたいと思いましたが、本当にお客さまに来ていただけるのか。そういう不安もあったと聞いています。ところが、オープンから10年間で300万人が来場しました。そして50年間で約3000万人に来ていただけたという事実は、誇らしいことです。

ビール園の風景と空気感は、サッポロビールというブランドを体感していただけるのに、ふさわしい場所です。サッポロビール園を半世紀続けて来られたことを、うれしく思っています。

――今年4月には、ビール園内のサッポロビール博物館を大幅リニューアルしました。

尾賀 これまで展示が主体であって、多くのお客さまに来ていただいていました。ただ、もっとわかりやすく、今の時代に合った映像なども織り交ぜて、当社についての理解をもっと深めてもらう。博物館をビールの歴史に触れてもらう、接点にしたいですね。

7月上旬には毎年、「道産子感謝day」を札幌市内4カ所で開催させていただいています。あわせて、恵庭の北海道工場では、恩顧祭を開催し、無料開放しています。毎年1万人が来場しますが、ずっと続けてきたことに意味があります。飲酒運転などのアルコールの守らなければいけない部分を踏まえて、積極的にやっていくことも必要です。

2016年はビールを売る年

――経営戦略の中で、何を大切にしていますか。

尾賀 今年はとにかくビールを売る年と位置づけています。当社はチャレンジャーであり続け、これからもそうでありたいのです。

日本経済はバブルがはじけて、モノの値段がどんどん低下していきました。そうした中、ビールの価格が高止まりしているのでは、なかなかお客さまに飲んでいただけない。当社が低価格の「発泡酒」「新ジャンル」の市場で先鞭をつけるなど、時代の要請に応えてきたわけです。

それ自体に大きな意味があったと思っています。ところが、価格先行の部分もあり、本来なら一番にご愛顧いただいていたビールではなく、ちょっと違った視点の商品が多く流通してきたのではないでしょうか。

ここにきてビールが見直され始めています。北海道には地域限定のサッポロクラシックがあり、本州にはヱビスビールもあります。スタンダードからプレミアムのゾーンまで商品を展開しています。長年にわたり培ってきたブランドという意味ではビールなんです。ここにもう一度焦点を当てて徹底的にやるんだということです。そういう位置づけて取り組んできて、手応えを感じています。とくに黒ラベルは昨年から上向きになり、今年もずっと売り上げが伸び続けています。

――クラフトビールについては。

尾賀 日本の場合、クラフトビールの定義がはっきりしていません。サッポロビールとしても多種多様な原料を使ったり、味が多様化したビールを出していきたいと考えています。昨年5月、「ジャパンプレミアムブリュー」という子会社を設立しました。そこを通じてサッポロビールとは少し違う売り方で、クラフトビールにトライしています。

――秋には季節限定の「サッポロクラシック富良野ビンテージ」が発売されます。

尾賀 この商品は、朝採りした生ホップを使用していることが大きな特徴です。協働契約栽培農家のホップで、それを冷蔵トラックで恵庭の工場まで運びます。

ホップは収穫するとすぐに品質が落ちてしまいます。そのため、通常はすぐに乾燥させて粉砕、それを粒状のペレットにして使います。

当社の協働契約栽培の農場が富良野にあるので、生ホップで仕込むことができます。そうしたつくり方をしているビールは珍しいと思います。富良野ビンテージでは、芳醇な香りやフレッシュな味わいを楽しむことができます。北海道だけでしか取り扱っていません。季節限定のサッポロクラシックを、みなさんに飲んでいただきたいです。

商品を通じて本州とのつなぎ役に

――ビール以外の酒類の展開については。

尾賀 お客さまの嗜好が多様化していますので、ビールだけではすべてをまかなえない部分があります。

ワインやチューハイ、カクテル、ハイボールなどのRTDもしっかり展開していきます。

RTDはビールの市場と密接につながっていると認識しています。RTD市場が伸びたことも、ビールの消費量が減少した一因として考えられます。RTDは飲みやすくするため、炭酸やアルコール度数を調整しやすい。さまざまな商品を展開しやすい反面、競合他社も多いんです。

これからもっとも力を入れていきたいのは、国産ワインの部門です。

食事をしながらお酒を飲むことを考えた場合、よりワインの販路拡大を意識していかなければいけません。もちろんメーカーとして世界のワインを扱うことも必要ですが、「すばらしい日本のワインがある」と自信を持って言える会社になりたい。なかなかヨーロッパ系のブドウの扱いは難しいといわれていますが、まだまだ工夫の余地があります。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、海外から多くの観光客が日本を訪れます。

そこで、日本でつくられたワインを飲んでいただく。品質、ボリュームをアップさせ「サッポロビールのグランポレールと呼ばれるワインがおいしい」と言っていただけるようになりたい。4年後に向けて、布石を打っているところです。

――最後に道民にメッセージをいただきたい。

尾賀 当社の生方誠司は北海道本部長であると同時に、北海道本社の社長でもあります。このような組織体制の地域はほかにありません。人員も多く配置して、当社の営業戦略上、北海道は極めて重要な土地です。

小売だけではなく、札幌圏は飲食店さんなどの業務用も強い地域です。サッポロクラシックのブランド力も年々上がっています。観光客もせっかく北海道に来たのだから飲もうと。1つの楽しみになっていることが、大変ありがたいです。

当社は道庁や道内自治体と連携協定を締結し、スポーツなどの地域活動を応援させていただいています。当社の商品展開を通じて、道産食材を本州の飲食店に使っていただける取り組みもおこなっています。道外とのつなぎ役を担わせていただき、北海道の活性化に微力ながら貢献していきます。(取材日=7月2日)

=ききて/前田圭祐=