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Interview

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地方から議員拡大
末期的な安倍政権に対峙
掲載号:2017年8月

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佐々木隆博 民進党北海道 代表

民進党道連代表に再任された佐々木隆博衆院議員(道6区)を直撃した。減少する議員数を地方から拡大させ、党勢回復につなげたいと意気込む。道内の課題、一強と呼ばれる安倍政権などについても聞いた。(取材日=6月30日)

RCEPは北海道に大きな利益を

――6月24日に民進党道連代表に再任されました。いまの率直な気持ちは。

佐々木 民進党に対する国民の信頼が十分に回復したとはいえませんから、引き続き、気を引き締めて頑張っていくというのが一番の気持ちです。北海道は民進党の支持が高い地域ですから、わが党の最前線にいるような思いでやっていきます。

任期中のこれからの2年間のうちに、統一地方選、衆院選、参院選と、それぞれの候補者選定作業と選挙があります。そこを念頭に置きながら、さまざまな課題に取り組んでいきたいと考えています。

――取り組むべき北海道の課題は。

佐々木 当面の最大の課題は、JR北海道の路線維持見直しについてです。道連にはJR北海道路線維持対策本部を設置し、道議会会派にもプロジェクトチームをつくりました。党本部には対策の小委員会も立ち上がっています。

この問題はJR北海道・国の経営サイドと道民の利用者サイドのそれぞれの立場を考えると非常に難しいものだと思います。解決も簡単ではないでしょう。

しかし、この1、2年で何らかの方向性をつけていかなければならないとも思います。北海道としてどうするかということで、政党の課題ではありませんから超党派でも取り組めるようにやっていきたいです。

――経済問題についてはいかがですか。

佐々木 観光と食が北海道産業の重要なテーマです。とくに経済連携協定の大きな影響を受けます。

一方で、いまEUとの経済連携協定「日欧EPA」が話題になっています。大枠合意することで、TPP同様、北海道も食の分野を中心に大きな影響を受けるでしょう。

安倍首相は「大枠合意」という言葉を使って、この日欧EPAに一生懸命取り組んでいます。しかし、イギリスがEUを脱退する方向で進んでいます。イギリスが離脱すれば当然再交渉です。急ぐ理由がありません。

野党の立場から言わせてもらうと、安倍首相の実績づくりが狙いだと指摘したいです。報道も少し過熱し過ぎているのではないでしょうか。

個人的には、北海道、日本の経済発展を考えるなら、東アジア地域包括的経済連携「RCEP」をもっと重要に捉えるべきだと思っています。RCEPは日本、ASEAN、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの計16カ国で自由貿易協定(FTA)を締結する構想です。

世界で今後も大きく発展するのがアジアなんです。RCEPはアジア圏のみですから、日本そして北海道に大きな利益をもたらす可能性があります。

しかし、国の態勢を見ると、TPPのときと比べると不充分です。

野党の立場から申すなら、アメリカの顔色ばかりを伺って外交するのではなく、日本がリーダーシップを発揮するチャンスなんだ、と。アジアではいま、中国が経済発展の中心を担おうと先手を打ってきています。そういった意味でもRCEPは非常に重要だと捉えています。

安倍政権の焦りが国家戦略特区

――一強と呼ばれる安倍政権をどう見ていますか。

佐々木 ひと言でいえば、末期的ですよ。長期政権の緩みと権力のおごりが最近、表面化しています。無理に無理を重ねた結果でしょう。

2つのテーマで問題があると思いますが、まず1つは平和。安倍政権が昨年の特定秘密保護法、今年の共謀罪を成立させたことで、わが国の平和を限りなく壊してきました。

両法ともに、人の内心を取り締まることができるわけです。これは非常に恐ろしいことです。この国の治安維持が変わります。そして、安倍首相は「2020年までに改正する」と、守るべき憲法9条にまで踏み込んできました。

本来であれば、憲法というものは、政権を縛るものであって、いち政権がとやかく言うべきものではない。共謀罪にしても憲法に抵触しているんですよ。安倍政権ではこういう部分があちらこちらで見て取れます。政権自体のおごりと言うしかない。

――もう1つのテーマは。

佐々木 経済です。アベノミクスに代表される成長戦略は破綻してきています。ここきて日本の経済成長率は下降しています。

その焦りが例の国家戦略特区です。「岩盤規制に穴を空ける」と言って、すり抜けられたのは加計学園で、安倍首相の“お友達”ですよ。表面化した森友学園問題の籠池夫妻も近しい間柄でしたよね。

そもそも岩盤規制というのは本来壊してはいけない規制ではないでしょうか。規制改革であれば問題ないと思います。

しかも、加計学園への疑惑がクローズアップされて、安倍首相は急に「1校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果として国民的な疑念を招く一因となった。規制改革推進の立場から、速やかに全国展開を目指したい。地域に関係なく2校でも3校でも意欲あるところは新設を認める」と発言しました。

まだ実現していないにも関わらず、2校でも、3校でもいいだなんて、そんな話はありません。つじつまを合わせよう、合わせようとして、だんだん矛盾だらけになっています。

だから、安倍政権は末期的ですよ。ただ、末期的ということは何をしでかすかわからないですから恐ろしさもあります。

――政権与党がこのような状況にありながら、野党第1党である民進党の政党支持率は思うように上がっていません。

佐々木 だいぶ薄れはしましたが、政権与党時代の批判はいまだにあります。反省は十分にしなくてはなりませんが、トラウマとしていつまでもとらわれ続けていてはいけないとも思います。

私はいま、党本部の組織委員長を担当しています。地方の組織をいろいろと預からせていただいているのですが、民主党の時代を含め、わが党の議員数はピーク時から見ると、減少しています。

そのため、国会議員に限らず民進党に所属する議員数の回復、拡大に努めなければならないと考えています。国会議員、都道府県議会議員、市町村議会議員は連動して政治をおこなっています。

いくら国、国民のために政治をしたいと言っても、議員がいないと話になりません。特定秘密保護法、共謀罪では国会で自民党の強行採決がありました。数の重要性もあらためて感じました。

さらにその前提として国政選挙、地方選など、各選挙で候補者を立てなければならないということです。候補者を出さないと、われわれの主張を多くの人に届けることはできません。地道に民進党支持の裾野を広げていくしかないと思います。当選した議員の声だけでは限界があります。

そもそも、こうした取り組みは政治をやっている者の原点です。有名なスター議員がいるから、簡単に党勢が回復するという時代でもない。原点に立ち返って、地道に裾野を広げ、国、都道府県、市町村、それぞれの議員の連携を強化していくしかないと思います。

――民主党王国と呼ばれた北海道の議員数はいかがですか。

佐々木 北海道でもひところより議員数は減っています。まず衆院選で全選挙区に候補者を擁立するのは当然です。

このほか、道議会、札幌市議会では半数、その他の市議会では3分の1の確保を目指します。任期中の2年間で実現させていきたいです。これは北海道での党勢回復、道政奪還にもつながります。

そして、北海道から、地方から、議員数の拡大に取り組み、末期的な安倍政権に対峙していきます。北海道での取り組みを全国に波及させていきたいです。

――次期衆院選の時期はいつとにらんでいますか。

佐々木 現段階では何とも言えませんが、常在戦場ですからいつでも”に備えておかないといけない。北海道では全12選挙区のうち、7区が候補者の空白区となっていますから、早急に決めたいと思います。

野党連携で道内全12選挙区勝利

――北海道の選挙区ではすでに共産党が候補者を擁立しています。野党共闘はどうしますか。

佐々木 共闘ではなく、連携はもちろんします。北海道でも安倍政権をこのまま野放しにしていいのかという国民の声を多く聞きます。仮に民進党だけで対峙することができないとすれば、対安倍ということで野党が協力すべきだとの声もありますので、それに応えるのも野党第1党の役割かなと考えています。

ただし、他党が候補者を降ろすということになれば、党本部マターの案件になる可能性が高いので、現段階で具体的なことはお答えできません。

それでも北海道は、前札幌市長の上田文雄氏らが中心となっている「市民の会」などの活動が活発です。すでに安倍政権の暴走を止めるという意味で、野党が一緒に運動に参加していますから協力しやすい土壌はあります。野党が連携して、立ち向かえば、北海道の全12選挙区を全勝できる可能性は十分あると分析しています。

――次期衆院選の争点は。

佐々木 現時点では憲法改正が主要な争点になるでしょう。安倍首相は自民党の憲法改正案を今秋の臨時国会で提出したいと発言しました。

私個人としては、安倍首相の掲げる憲法改正が「正しい改正」になるかどうかわからないので、憲法改定という表現を使っています。自民党はこの憲法改正に間違いなくのめり込んでくると思います。

民進党としては安倍政権のもとで憲法改定をさせていけないというスタンスでした。しかし、次期衆院選の争点がそれ1本に絞られた場合、民進党に「対案はありません」で、勝負できるのかと感じています。自民党は必ずそこを突いてくるでしょう。

ですから、民進党でもいま、全国11ブロックで憲法について議論をしていきましょうとなりました。今後、党員に意見を聞いていくことになります。

ただし、憲法9条がテーマではありません。あくまでもテーマは憲法です。いまの憲法がこの時代にあったものなのか。改定、付加しないといけない部分があるかどうかを議論していきます。

=ききて/竹内洋規=