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Interview

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土のにおいがする「地方ファースト」の党に掲載号:2018年4月

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玉木雄一郎 希望の党代表

昨年9月、希望の党は小池百合子東京都知事の手により結党された。しかし、その小池氏は衆院選後に辞任。代表に就任した玉木雄一郎氏は党のカラーを大きく転換し、“地方ファースト”の政策を掲げている。

野党結集で国民のための政治を

玉木雄一郎氏は1969年、香川県生まれ。東京大学法学部在学中、アメリカのハーバード大学大学院(ケネディスクール)に留学。帰国後、大蔵省(現・財務省)に入り、財務省主計局主査を最後に退官。

2005年、香川2区から民主党公認で衆院選に出馬、落選。09年に初当選を果たした。昨年の衆院選で希望の党から出馬し、4選。11月の同党共同代表選に出馬し、共同代表になった。その後、小池百合子東京都知事が代表辞任を表明し、同党の代表に就任した。以下、玉木氏との一問一答。

   ◇    ◇   

――玉木代表と北海道には、かかわりがありますか。

玉木 私の妻が旭川に住んでいました。義理の父が帯広で働いていたこともあり、北海道に親しみを感じています。

――17年11月に希望の党代表に就任しました。

玉木 代表就任後はとても長く感じます。まだ4カ月、という思いです。

――昨年の衆院選前、野党は大混乱に陥りました。

玉木 安倍政権誕生以降、都市部と地方の格差が広がっています。一部の人は豊かになっても、働く多くの人の実質賃金は上がらない、消費も伸びないという中で、もう1つの選択肢をつくらなければなりませんでした。

小選挙区制度なので、安倍政権に対峙するために、選挙は1対1の構造に持ち込んだほうがいいと、9月に民進党が希望の党に合流する決断をしました。ここまではよかったのですが、その後、小池百合子東京都知事(当時・希望の党代表)の「排除」発言もあり、立憲民主党が結党された。結果として1対1の構造が崩れてしまって事実上、民進党が分裂することになりました。

私もそうですが、希望の党に好きこのんでいったわけではなく、機関決定に従って加わった人が多い。民進党時代の考え方を維持しながら、新しい党でも実現しようと思って移った人たちがほとんどです。

選挙が終わり、国会が開会してみると、与党が議席の3分の2を占めています。その構造で安倍政権に向き合っていくには、どうしても力が弱くなってしまいます。

野党がバラバラなことが、現政権を増長させ、傲慢にさせている面があり、われわれの非力を申し訳なく思っています。何とかこの状態を改善していかなければなりません。

――働き方改革においては、裁量労働制のデータ問題が浮上しました。

玉木 働き方改革が安倍政権の目玉として出てきました。裁量労働制は一定のみなし残業時間を決めて、定額の給料を支払うというものです。今の労働環境を把握しようとする議論が始まったら、どうも都合のいいデータだけを持ち出し、使っている。そもそもデータ自体がいい加減なことが明らかになりました。

私も2月5日と2月26日、衆院予算委員会で質問しました。総理や厚生労働大臣の答弁を聞いていても、その疑問が非常に深まっています。この問題を考えても、野党勢力はどんな形にせよバラバラではダメで、力を合わせるところは結集していく。そうしなければ、国民のための政治ができないなと思っています。

――野党再編については、どのように考えていますか。

玉木 昨年、あのような形で党が割れて、今また民進党との連携、そして党内には分党論があります。

国会開会前、できるだけ国会活動については力を合わせたほうがいいということで、民進党との統一会派の話が出ました。民進党から打診があり、話がまとまりましたが、当の民進党が最後の両院議員総会で決められませんでした。

これからの野党再編には、いろいろな選択肢はあります。できるだけ法案や予算についての対応は野党で共通にして、協力を深めていくというのが今の段階です。

明治150年を地方が輝く元年に

――希望の党の政党支持率は、なかなか厳しい状況が続いています。

玉木 党を立ちあげた小池都知事は、毎日テレビに出演し、派手にやっていました。選挙で負け、小池さんが代表を辞任し、目立たなくなった。その落差の中で沈んでいったのは仕方がないかもしれません。

先日、ある新聞社の世論調査で、わが党の支持率がゼロに近づきました。ある意味、それは“小池希望の党”がゼロになった。私はここからだと思っています。

――どのように支持を訴えていきますか。

玉木 まず、小池都知事は、党運営にまったくかかわっていません。

小池都知事が代表を務めていた頃は、東京を中心とした政党だったと思います。自分自身が地方出身者です。私は希望の党を「土のにおい」を感じられる政党にしたいと、代表選で訴えました。東京の小池さんから、地方の玉木に変わったことを明確にしていき、新しい方向性を発信していきたい。

地方はいま、日本社会のさまざまな問題を先進的に経験しています。

今年は明治150年と言われています。この間を振り返れば、中央集権をずっと進めてきたともいえます。人、モノ、カネを中央に集めて、国が政策を決める。決定すれば金太郎飴のように、地方に分配していく。結果、起きたのが、地方の疲弊、人口減少です。

いま、外国人観光客が親しむ日本の文化は、明治より前が多いと思います。その時代は、地方でさまざまな文化が花開いていました。

私は150年を1つの区切りとして、もう一度、地方が中心となり、輝くような時代に変えていきたい。地方から新時代を築く。それをコンセプトに地方から豊かになろうと訴えていきます。

3つの柱で“地方新時代”を実現する

――具体的な政策は。

玉木 北海道もそうですが、少子高齢化が進み、地方では集落そのものを維持できない場所もでてきました。安倍政権は地方創生と声高に叫びますが、本気で地方を元気にするつもりがあるのか、大いに疑問です。大都会、大企業中心の政策になっていないのか。結果として地方は二の次、三の次だと強く感じています。

いま、わが党は政策の柱として、次の3つを掲げています。

1つはICT活用による生産性向上です。インターネットの普及でIT技術を生かした政策ができるようになっているので、それを推し進めていく。

2つめは自然エネルギー、再生可能エネルギーを生かした地域づくりです。地方ほど自然エネルギーがあふれている場所はない。これをいかに地域の活性化に取り入れていくか。

この政策は、東京の丸の内ではできませんから。広大な面積があり、かつ農業生産基盤がしっかりしているところが適しています。

最後は北海道でも効果がでていますが観光政策です。これから発展するのはアジアです。アジアと日本の地方都市同士が結びつく。LCC(格安航空)を活用し、安い価格での人の行き来が可能になってきました。アジアの成長をいかに地域に取り込んでいくのかが大切です。

ミニ東京をつくるのではなくて、地域が豊かさを実感できるようにしていきたい。“地方新時代”を築きます。

LS北見の活躍は地域発展のモデル

――玉木代表は、今回の平昌五輪でのカーリング女子の活躍に感銘を受けたそうですね。

玉木 私は地域がそれぞれ誇りとプライドとを持って、豊かさを実現、実感できる社会をつくりあげていきたい。その意味で、カーリング娘の活躍は示唆を与えくれています。

本橋麻里選手が中心となりLS北見をつくりました。スポンサーを集めて、人を育てた。同じまちの出身者が力を合わせて、世界で戦い、勝ち抜いていく。北見を知ったら、ふるさと納税が増える。地元のお菓子などが売れ、地域経済が元気になる。これからの日本経済発展のモデルじゃないかと。地元愛、地域愛は大事だと思うんですよ。だからこそチームはまとまった。困難を伴いますが、いま地方がやるべきことはこういうことではないでしょうか。LS北見のみなさんに感謝しています。

――北海道の選挙区事情をどのように分析していますか。

玉木 昨年の衆院選で当選させていただいた山岡達丸先生は、永田町で頑張っています。松木謙公先生からも、さまざまな場面でご指導いただいています。

衆院選結果をみても、北海道は立憲民主党が強い地域ですよね。私はこれでいいと思っているんです。その上で、われわれと民進党が、これからどういう形で国民の信頼を得られるもう1つの軸になっていくのか。われわれは地方第一の特徴を打ち出していきます。他党も納得してくれるのではないでしょうか。

――来年には統一地方選、参院選があります。

玉木 地方議員の多くは民進党に残っています。わが党として地方選での候補擁立もあり得ますが、他の野党と対立するつもりはありません。参院選北海道選挙区については、野党が協力すれば2議席獲得可能です。北海道は野党にとって恵まれています、既存の中央政策に満足していません。野党の反転攻勢は北海道からです。そうしたモデルをつくっていければと思っています。“地方ファースト”でいきますよ!(取材日=2月27日)

=ききて/前田圭祐=