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Interview

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北海道150年事業
テーマは“未来志向”と“共生”
掲載号:2018年1月

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高橋はるみ 北海道知事

2018年は本道にとって大きな節目の年になる。北海道(北加伊道)と命名されて150年目にあたり、道は記念事業を計画。北海道ブランドを売り込むチャンスともいえる。高橋はるみ知事に18年にかける思いを聞いた。

17年は前向きに北海道を売り込めた

――高橋知事にとって2017年は16年と比べて、どのような1年でしたか。

高橋 17年はダイナミックにいろいろとあった1年で、前向きに北海道の売り込みができたと思います。

まず、16年を振り返ると、夏には過去に類を見ない甚大な台風災害がありました。年末の12月には鳥インフルエンザが発生し、私も極寒の中、清水町に参りました。その対策が終わった直後には、大雪により飛行機が相次いで欠航になり、新千歳空港がパニックになりました。

そして16年の最後の2日間、私は休んでしまって……。風邪を引いて38度以上の高熱がでてしまうという、おまけがつきました。そう考えると16年は、ものすごく自然災害が多かった1年で、その対応に追われた1年でした。

年が明けた2月には冬季アジア大会があり、多くの方々にお越しいただきました。大会自体も成功でしたが、札幌だけではなく、冬の北海道のすばらしさを、アジアの方々に味わっていただくいい機会になったかなと思います。

私自身、海外を何度か訪れました。ロシアでは、これまで極東中心の売り込みでしたが、ヨーロッパに近い地域でもトップセールスができました。

アジアでは、ベトナム、シンガポールを訪問しました。そういう意味では、16年にできなかった分を取り戻すくらい、トップセールスができたと思います。

その動きに呼応する形で、ニセコ地区を中心に外資の投資が加速し、さまざまな企業の進出が増えてきています。

インバウンド(訪日外国人旅行客)需要が拡大し、食のブランドを含めた北海道の価値が、16年と比較しても一段と高まってきたという印象です。

10月には、日本貿易振興機構(ジェトロ)さんが、洞爺湖のザ・ウィンザーホテルでアジアエリアの貿易振興組織や関係機関のトップを招いた会合を開きました。私も出席しまして、一生懸命おもてなしをさせていただきました。近年、さまざまな国際会議が北海道でおこなわれており、北海道を売り込むチャンスが増えています。

子どもたちが印象に残る記念事業に

――18年は北海道命名150年になります。道は北海道あげての一大イベント、事業などを計画しています。

高橋 いろいろなコンセプトを考えていますが、まずは「未来志向」であるということです。今の10代、小さな子どもたちは、50年後の未来の北海道を背負っていく世代になっていくわけです。その子どもたちが将来の北海道に思いをはせてもらえるような、印象深い事業にしていきたいと思います。

それからこの広大な北海道です。札幌だけ盛り上がっていても何の意味もありません。それぞれの総合振興局、振興局ごとに、創意工夫して150年と向き合うことが大切です。文化、食、観光など、地域ごとのさまざまな特色を活かしながら、子どもたちの記憶に残るようなイベントを実施します。

もう1つ大きなポイントは民族との「共生」です。11月には、ニュージーランドの先住民族・マオリのみなさんを招いて、札幌市内で国際シンポジウムが開催されました。

150年事業では、アイヌの方々も大きな役割を果たします。「北加伊道」と名付けた松浦武四郎さんは、アイヌの方々への敬愛の気持ちを忘れませんでした。その思いを引き継いで、互いを認め合う共生の社会を目指すことを基本理念に掲げています。

――アイヌ文化復興の拠点になるのが、白老町で整備中の民族共生象徴空間(2020年開設)です。

高橋 民族共生象徴空間の中核施設として、関東より北で初の国立アイヌ民族博物館、そして国立民族共生公園が建設されます。さらには慰霊施設も整備されます。

こうした拠点から、アイヌ文化を北海道が誇る歴史の1つとして世界に発信していく。そういう意味で国に対して、施設整備の要請をさせていただいてきました。

共生というのはアイヌの方々とだけではないと思っております。150年事業では、さまざまな人たちとの共生を視野に入れていきたいと思っています。

いま、札幌市とともに冬季のオリンピック・パラリンピックの招致に取り組んでいます。

民族的な共生はもちろんですが、障害を持っている、持っていないに関わらず、みんなが共生することが大切です。また、最近言われているLGBTの方々なども同様です。

こうしたユニバーサルな発想で、150年という節目の事業をしっかり盛り上げていく。そして次の50年につなげていきたいと考えています。

新幹線効果を道南全体に波及させる

――16年3月に北海道新幹線が開業しました。観光活性化への取り組みを教えてください。

高橋 新幹線が道南まで来て2年になります。今は着々と札幌までの延伸工事が行われていて、30年度には実現するというスケジュールです。

すでに開通している道南をどのように盛り上げていくのか。これは新函館北斗駅周辺だけではなくて、檜山地域も含まれます。

4月に江差町が、北前船の函館市、松前町と一緒に、道内で初めて文化庁の「日本遺産」に認定されました。江戸時代からニシン漁で栄えて、古くから発展したまちです。奥尻島などを含めて、新幹線が道南まできたという波及効果を広げていかなければなりません。

札幌までの延伸はまだ10年以上あるという指摘もありますが、たった10年しかないという見方もあります。個人的な考えですが、札幌駅前の再開発などもちょっと遅いくらいかなと感じています。

――札幌駅の新幹線ホーム位置も二転三転し、まだ決まっていません。

高橋 なるべく早く決着しないといけないと思いますね。新幹線の沿線になる地域として、発展著しいニセコがあります。札幌開業を視野に入れた地域づくりを市町村と一緒に考えていきます。

――観光活性化という意味では、空港民営化が起爆剤になりそうです。

高橋 そうですね。スタートは20年ですから、18年は大きな節目になると思います。

――進捗状況を教えてください。

高橋 粛々と準備を進めていまして、道内7空港の運営を一括で民間委託するという形です。全国的に前例のない形で、国と道と旭川市、帯広市が共同でチャレンジします。

民間委託に対して関心を示している民間企業の数は、直近でいえば福岡空港を超えています。本当に国内外から多くの関心が寄せられています。

知恵を出し合って、競い合うことで、いかに道内全体の観光のレベルアップに資する民間委託にするのかを考えていきます。

大切なことは、空港のない地域を含めた全道の活性化です。そのために水面下を含めて、関心を示しておられる企業さんと、いろいろな調整を図っていく予定です。

5選不出馬記事は誤報、理解できず

――18年はどのように北海道を売り込んでいきますか。意気込みを聞かせてください。

高橋 18年に入って早々の1月に香港に出張し、投資セミナーを開催したいと思っています。

15年にシンガポールに開店した「どさんこプラザ」は、地元の方々に好評をいただいています。18年は海外2店舗目となるどさんこプラザをタイにつくります。私も現地に出向く形で、道産品のPRをしっかりやっていきます。

もう1つはアジア以外に、北米、中東、ヨーロッパなど、こうした地域へのセールスも視野に入れる年にしたいです。

――北海道新聞が11月21日付朝刊で、「高橋知事5選不出馬」と報じました。この記事への高橋知事の見解を聞かせてください。

高橋 なぜ、あのタイミングで、あのような誤報を打たれたのかなと、大変理解に苦しみます。

仮に多選を批判する声がたくさんあるという記事であれば、それは皆さんがそう言っているのかなと、真摯に受け止めるところです。

しかし、私がまだ決めていないと申し上げたにもかかわらず、記事が出てしまいました。

各々マスコミから要請がありましたので、道民の皆様に誤解を与えないよう、記者の方々に対して、私の考えを説明しました。

もとより、私の4期目の任期満了は1年半後です。様々な課題を一つひとつ克服するため、全力を傾けなければなりません。これからも日々、仕事をしっかりやらせていただくだけです。

今回のインタビューでお答えしましたが、この先の5年10年、さらには50年後の北海道を視野に入れた仕事を、今からやっていかなければならないと、強く決意しております。

――本日はお忙しいところありがとうございました。

=ききて/前田圭祐=