「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > インタビュー

Interview

このエントリーをはてなブックマークに追加

北海道は“四輪”で安倍政権に対峙する掲載号:2018年7月

photo

大塚耕平 国民民主党共同代表

民進党と希望の党の一部が合流し、 国民民主党が誕生。民進党代表だった大塚耕平氏が共同代表に就任した。新しい党は、来年の統一地方選、参院選にどう臨むのか。野党第一党・立憲民主党との立ち位置の違いをどう乗り越えるのかなどを大塚氏に聞いた。

党名に込めた「国民」への思い

大塚耕平氏は1959年10月5日、愛知県名古屋市生まれ。早稲田大学政経学部卒。83年日本銀行に入行し、政策委員会室調査役を最後に退職。日銀在職中に母校で博士号を取得し、いまでも教壇に立つ。

2001年に愛知県選挙区から民主党公認で参院選に出馬、当選し、現在3期目。17年10月31日に民進党代表に就任。5月7日には民進党と希望の党の一部議員が合流し、国民民主党を結党。玉木雄一郎氏とともに共同代表に就任した。以下、大塚氏との一問一答。

  ◇    ◇

――国民民主党が誕生して、1カ月ほどがたちました。現在の心境は。

大塚 昨年の総選挙後も野党の混乱が続き、足元のおぼつかない状態でした。そのような状態だったことを考えると、次の段階に進めたと思っています。

――あらためて国民に訴えていきたい政策は。

大塚 一番お伝えしたいのは国民民主党の「国民」にどういう思いを込めたかということです。憲法問題や安全保障問題も大事ですが、国民民主党は、国民生活の向上、国民経済の発展にしっかりと取り組むという決意を示しています。

また、国民主権を具現化するという思いも込めました。憲法に「主権者は国民である」と定められていますが、その意味するところは、主権者は選挙を通じて政府を選べるということです。

日本では2009年の衆院選で第一党が入れ替わる本格的な政権交代が実現しました。国民主権が具現化されたのです。一方、国会129年の歴史、普通選挙72年の歴史の中で、政権交代という出来事が起きて、まだ9年しかたっていないとも言えます。

ですから、国民主権を具現化するために、政権交代を目指すことは、野党として国民のみなさんに対する責務と考えています。国民民主党は、「正直な政治」「偏らない政治」「現実的な政治」を追求し、次の政権交代を目指します。

――結党に際して、民進党と希望の党の国会議員を単純に足すと、100人を超えて、野党第一党になる可能性もありました。ところが、新党結成に否定的な議員もおり、結局60人ほどにとどまりました。野党側が引き続きごたついているという印象を持つ国民は少なくありません。

大塚 両党に所属していた議員全員は参加しなかったことをネガティブに捉えられるケースもありますが、個人的には気にしていません。これまでの野党の迷走もあって、国民にそう受け止められるのは仕方がない面もあると感じています。

しかし、違う角度から見ると、“次の政権交代に向けて新しい政党をつくろう”と呼びかけたら、60人以上が集まった。ある意味ですごいことです。議員一人ひとりの勇気に感謝しています。新しい党で新たな歩みを進める決意です。

――一方で結党後の政党支持率は伸び悩んでいます。民進党、希望の党時代の2党を足した数字よりも低い。

大塚 それも現状では気にしていません。まだ選挙を経験していません。選挙で党名を書いてもらうことをしていないですから、認知度が低いのは当然だと思います。

支持率ゼロも想定していました。ですから、新しくスタートするという意味合いも込めて、党名候補に「新党ゼロ」もあったくらいです(笑)。

今後の政党支持率については、国政選挙や統一地方選までに自力で上げていく部分と、選挙を契機に浸透させていく部分があります。その2段階で取り組んでいきます。

総務会で決まったことに異論を唱えない

――対峙すべき安倍政権は巨大な与党です。

大塚 内政、外交において行き詰まっていると思います。経済については、私の古巣の日銀が金融緩和を異常なほどおこなっています。確かに為替と株価に好影響が出て、輸出関連企業の業績や企業の時価総額は好転しましたが、アベノミクスに対する評価はさまざまです。

何よりも、この5年間で国民全体の実質賃金は下がっています。そして、賃金の伸び率が労働生産性の伸び率を下回っているのが実情です。

外交に関しては、「地球儀を俯瞰する」と言って、精力的に海外をまわっていますが、資金協力として世界各国に何十兆円というおカネをばらまいてきました。友好関係が強化されているように見えますが、資金協力されれば、嫌がる国はありません。

足元の極東およびアジアはいかがでしょうか。北朝鮮問題では、米中韓朝に加え、ロシアも活発に動いていますが、関係国の中で日本だけが蚊帳の外のような状態になっています。

そうした中、安倍さんは民主主義国家の指導者としての資質も問われています。そして、決定的にその資質に欠けることがはっきりしてきました。

モリカケ問題が典型例です。事実を隠蔽する。隠蔽どころか、改ざんする。議論をしようとしない。そして、権力は乱用する。民主主義の原則をないがしろにする安倍さんは、民主主義国家の指導者として不適格と言わざるを得ないと思います。

――立憲民主党との違いなど、野党としての立ち位置をどう考えていますか。

大塚 野党の中での立ち位置はあまり意識していません。われわれ自身がどうあるべきか、という視点を大事にしていきたいと思っています。われわれは党の綱領に「穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の改革中道政党」と明記し、結党宣言では「正直な政治」「偏らない政治」「現実的な政治」を目指すことを表明しました。

ここで大切なのは「中道」です。中道とは「足して2で割ったもの」「真ん中」などという意味に捉えられがちですが、もともとは仏教用語であり、本来の意味は「異なる意見を否定することなく、一定の結論を見いだすための議論や思考の作法」です。

人の意見は十人十色です。何が正しいかはわからないから、しっかりと異なる意見を聞いて、取り巻く環境なども考え、その時々に応じた結論が導き出されるわけです。結論は決して真ん中ではありません。

ですから、われわれはその結論を導きだす方法が重要だと考えています。そのため、組織運営に関して今回、党内に総務会というものをつくりました。

総務会は最終的な意志決定を全会一致でおこなう組織です。ここで決まったことは、以後、たとえ自分の意見と違っても異論を唱えないという党風を育てていきます。

過去においては、決定事項にも異論を述べる向きがありました。それをなくします。組織としての安定感がなければ、国民の皆さんから信頼されません。そういう点を、機能的、組織的に強化しました。

地域事情を踏まえ野党の連携・協力を

――野党共闘についてはどう考えていますか。

大塚 現段階で、固定的な野党連携の枠組みを想定していません。特定の政策を受け入れない限り、共闘はできないと主張する党があったとします。どの党もそういう姿勢でいれば、野党共闘は不可能です。

国民民主党は「対決よりも解決」という方針の下で、政策的にも「正直な政治」「偏らない政治」「現実的な政治」を追求し、柔軟に対応していきたいと思っています。

選挙においても野党の連携・協力は必要です。参議院選挙や都道府県議選、政令市議選において、1人区はもちろん、複数区でも野党は連携・協力しないと与党には勝てません。

――党勢拡大、地方組織については。

大塚 昨年の総選挙の結果、都道府県ごと、総支部ごと、各議員ごとに、取り巻く環境や置かれている立場がまちまちとなりました。ですから、全国を金太郎あめのように、同じ条件で地方組織を立て直すことはできません。地域事情に応じて工夫するしかなく、このことは、私が民進党代表に就いた直後から党内の各級議員に伝えています。

もちろん、北海道には北海道の特殊性があります。国会議員は立憲が多くなりました。そして、旧民主党時代から社会党の系譜の人たちが多い地域です。だからといって、立憲一色に染められるかといえば、決してそうではありません。それでは広がりが出ません。国民民主党に参加したいという人もいます。

北海道ではこれまで民進党、連合北海道、北海道農民政治力会議の3軸体制で国政選挙、統一地方選に臨んできましたが、今後は国民、立憲、連合北海道、北海道農民政治力会議の4軸体制で対応していくことが必要です。いいと思いますよ。“三輪”よりも“四輪”の方が安定走行できます(笑)。

北海道の野党関係者にお願いしたいのは、自分たちが対峙すべき相手は誰なのかを間違えないでほしいということです。対峙すべきは安倍政権です。4軸、四輪の中でもめ事を起こすことは、野党にとって決してプラスにはなりません。四輪の回転数を合わせながら、うまくハンドリングしてほしいと思います。

――来年の参院選と統一地方選の戦い方は。

大塚 地域によって事情が異なりますから、選挙区ごとに工夫が必要でしょう。北海道の参院選は、3人区なので、与党の出方も見極める必要があります。前回の選挙で民進党は2人当選したのですから、国民と立憲が協力すれば、同じような成果を出せる可能性もあります。だからこそ、国民と立憲の協力が重要だと考えています。

統一地方選においても、国民と立憲は現職優先で議席確保を目指すべきです。空白区は国民なのか、立憲なのか、地域特性を考えながら棲み分けていけばよい。1人区で国民と立憲が競い合い、与党を利することは回避すべきでしょう。

――地方議会選挙では、全国的に候補者擁立を目指すと思います。しかし、北海道では組織縮小で、新人の擁立が難しくなるとみられています。

大塚 縮小したのは事実ですが、党としてはまだスタートしたばかりです。新人擁立も目指していきます。私も北海道を訪問し、党の認知度向上に努めます。次の政権交代の中核政党を目指すためにつくった新党です。小さく生んで、大きく育てます(笑)

=ききて/竹内洋規=