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Interview

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公明党が安倍政権に
安心感を与える
掲載号:2016年11月

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山口那津男 公明党代表

今夏の参院選で公明党は過去最高の議席を獲得した。4月の5区補選を含め、北海道でも存在感を増す公明党の山口那津男代表を直撃。経済政策、災害復旧、憲法改正、次期衆院選などを聞いた。

弁護士時代に北海道で“夏合宿”

――北海道とは縁が深いそうですね。

山口 個人的なことになりますが、弁護士時代に毎年夏、司法研修所同期生と北海道で勉強合宿をおこなっていました。札幌にいる同期の弁護士が幹事を務め、勉強や自然観察、遊びも含めて道内各地を回りました。いい思い出になっており、北海道には非常に愛着を持っています。

――9月11日には、8月末の台風10号で甚大な被害が出た上川管内南富良野町を視察されました。

山口 激甚災害に指定し、復旧に全力を挙げます。特に営農されている人たちが意欲を保てるよう、また再び取り返せるようにしっかり支援することが重要です。南富良野では道外から移住し、就農して10年足らずという人からもお話しを聞かせていただきました。6次産業化に自ら挑戦し、生産物の加工をやり始めたときに台風が襲ってきた。大変落胆をしていました。

せっかく道外からきて頑張ってきたことが、一瞬にして自らの責任ではないことで台無しになったわけですから、大変もったいないことだし、気の毒です。被害を受けた人たちは当然のこと、将来の就農者の希望にもつながるような支援をこれからしていかなければと感じました。

公明党出身の石井啓一国土交通大臣や矢倉克夫農林水産政務官も道内の被災現場を視察しました。政府、与党でしっかりと取り組むべきことを訴えていきます。

防災に役立つ高規格道路整備を推進

――北海道に影響がある公明党の政策は。

山口 今夏の参院選で掲げた経済政策の一部は本年度第2次補正予算で実現することになります。北海道は日本の食糧基地という位置づけでありますから、基幹産業である1次産業の生産性を高めていくとともに、競争力も付けていかなければなりません。農業に限らず、水産物も含めて道産品の“輸出力”は育ってきました。これをさらに高めるための予算措置や経済対策を講じることが重要だと認識しています。例えばHACCP施設や屋根付きの処理加工施設をつくることなどが、道産食品の付加価値を高めていくことにつながっていくのだろうと思います。

もう一つは観光です。特に外国人観光客は増加傾向にあります。日本の食べ物や、きめ細かいサービスといった点は、非常に質の高いものがある。こうしたことを外国の人たちにもっと体験してほしい。

そのために一つ大事なポイントとして上げられるのが、交通インフラを整えることですが、いま人気が出つつあるのはクルーズ船です。日本だと九州・沖縄地区ではかなり盛んになってきました。既存の港と、その周辺を楽しんでもらえるようなツアーの開拓や、クルーズ船に対応した港湾整備も公明党の経済対策の中に入れています。北海道には函館や苫小牧、釧路、小樽などいい港があります。それぞれの港に合った振興策を考えていきます。

それから航空路。北海道は新千歳空港が中心ではありますが、LCCも参入しており、空港民営化の議論も進んでいます。今後はローカル空港のさらなる活用策を検討すべきだと思います。また、新函館北斗駅までつながった新幹線の札幌延伸も着実におこなっていきます。

これらと並行して道内にはまだつくりきれていない高規格道路があります。これができると、観光産業により一層の好影響を与えます。

さらに高規格道路は災害に強いということを今回の台風で改めて実感いたしました。札幌から十勝や上川方面をつなぐのは一時高速道路のみという状況でした。東日本大震災の際も、“命の道路”として人が逃げる、あるいは物資を運ぶことに役立ちましたし、紀伊半島での大水害のときもそうでした。

農林水産業と観光産業の振興、そしてインフラも整えていく。これら3つの柱で北海道に対応していきたいと思っています。

慌てないで議論を深めていくこと

――今回の臨時国会では安倍晋三首相が所信表明演説の中で、衆参の憲法審査会で憲法改正論議を深めるよう与野党に呼びかけました。公明党はしばしば野党から“改憲勢力”の一つと批判されていますが……。

山口 改憲勢力がどうのこうのという分類は実質的な意味がないと思います。かたくなに現在の憲法を守るべきだという、いわばかたくなな護憲というのはほんの一部の勢力でしかないわけです。

むしろ憲法改正は否定せず、大いに議論しましょうという人が大部分を占めていると言っても過言ではない。しかし、どのように変えるのか、どこを変えるのかということの一致点がないわけです。

憲法改正の発議は国会にしか認められていません。例え総理大臣であろうとも、政府側が改正の内容について発言をするということは、それこそ憲法上できません。ですから国会の中に憲法審査会というものを設けているわけです。そこで慌てないで議論を深めていくことが基本だと思っています。

自民党は改憲そのものが党是であり、結党以来の方針ですから、総裁が繰り返しそれを主張するのは当然のことです。ただ、自民党は憲法改正草案を用意していますけど、丸ごとそっくり入れ替えるというような改憲はできないんです。これは、国民投票法でテーマ別に投票するということになっているからです。実際のところ、いまは百家争鳴、みんなそれぞれ勝手なことを言っているという状況ですから、どれ一つとして合意がまとまっていくという段階にはありません。

特に憲法9条について申し上げると、国民のみなさまは改正に対し非常に慎重です。安倍総裁自身も憲法9条の改正は現実的には難しいという認識をたびたび示されています。

政府・与党ではどうかというと、平和安全法制をつくる過程で、現行憲法の解釈の限界をしっかりと決めました。その上での法整備をしたわけですから、これを自分で否定するような議論はおかしい。

やはり、現行憲法9条のもとで日本の安全保障を実行していくということが大事だと考えています。

――公明党の立場は“加憲”ということですか。

山口 国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義といった原理を持っているいまの憲法は極めて優れていると思っています。これにもっといいものを加えていきましょうという意味での加憲を主張しています。ただし、何が加憲の対象かというのは、いろいろなアイデアはありますけど、まだ十分に成熟していません。これこそ憲法審査会で議論すべきことです。

また、私が公明党代表になってもう7年がたちましたが、その間、国政選挙は5回おこなわれ、若い世代がずいぶん参入してきています。この若い人たちを交えた憲法、加憲の議論というのは実はあまりやっていません。おそらく他党でも同じ状況でしょう。ある意味では虚心坦懐にゼロから議論をし直すという姿勢が重要だと思います。

いまの憲法で国民が困っているならば、その国民側から「変えろ、これではダメだ」という声が出ているはずです。しかし、そのような状況は見当たりません。

いずれにしても、国会の議論は国民のみなさまの理解と相伴って進んでいくということが大切だと思います。

次期衆院選道10区は気持ちよく協力

――4月の衆院道5区補選、夏の参院選の評価を改めて聞かせてください。

山口 5区補選は民進党と共産党の共闘が最もうまくいったと言われている補選でした。しかし、自公は故町村信孝先生が得た票をほぼ維持し、かたや民共は共闘したにもかかわらず票を減らしました。しかも世代的に票の出方が偏っていた。特に若い世代、20代、30代で自公の候補である和田義明さんが圧倒しました。そういう点では、若い世代はより現実的に政治を見ていると感じます。

自らのことですが、公明党が政権にいるから安心だという声を有権者からかなり聞きます。自民党支持層からもです。参院選では自民党が単独過半数をとり、公明党は過去最高の議席を獲得しました。まさしく自公の協力が相乗効果を上げている。これがまた、国民の政権に対する安心感や支持につながっていると思います。

――3年後の参院選で公明党は北海道選挙区に候補を立てるのではとの見方がありますが、代表の自身の考えは。

山口 今夏の参院選でも定数是正により改選数が3に増えたいくつかの選挙区で挑戦をさせていただき、いずれも勝たせていただきました。北海道もそういう意味では候補擁立を検討してもいい選挙区の一つだと思います。

改選数3で過半数2を与党でとるということは、連立政権にとって大事なことです。選挙のやり方次第では2議席確保も十分可能だと考えています。ただ現実的には、いまからどうこうするという段階にはまだ至っていない話であるというのが私の認識です。

――解散総選挙が近いと噂されています。公明党は道10区で稲津久氏を擁立していますが、毎回自民党との難しい調整が迫られています。どのように対応していきますか。

山口 10区の稲津議員は地域のためになる実績を積み重ねてきました。その認識は有権者にも浸透してきています。各自治体の首長や自公、または無所属の議員との連携、結びつきも非常に強くなってきている。いよいよ脂が乗ってきたなというのが、われわれの見る稲津議員の評価です。

10区には1議席しかありませんから、自公でお互い気持ちよく協力し、議席を確保していくべきだと考えています。やはりここまで議席を維持してきましたから、稲津さんが現職としてこれからも守っていく中で、ご理解をいただきたいと思っています。

=ききて/松田尚也=