「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > インタビュー

Interview

このエントリーをはてなブックマークに追加

党再生、野党再編 集団的自衛権…
海江田万里民主党代表を直撃
掲載号:2014年7月

photo

海江田万里 民主党代表

 政権から転落し、存在感が薄れる一方の民主党。再生を託された海江田万里氏だが、党の凋落に歯止めはかからない。結果的に安倍政権の〝暴走〟を許すことになっている。そんな中、代表降ろしや野党再編の動きが活発化。渦中の海江田氏を直撃した。

国民が望んでいるのは政界再編

――代表に就任して1年半たちました。
海江田 毎日〝針のむしろ〟という言葉がいいかどうかわかりませんが、なかなか厳しい。茨の道ですね。でも、しょうがありません。民主党創始者の一人として党を立て直す責任があります。あえて火中の栗を拾う覚悟で一昨年12月の代表選に臨み、自分で立て直しをやると言ったのですから。
――各地を回られているようですが、反応は。
海江田 少しずつですが民主党に対する見方は温かくなってきていると思います。昨年7月の参議院選挙あたりは一番ひどかった。
――海江田さんは、その参院選後の両院議員総会で、今年の夏までに目に見える形で党の立て直しができていなければ、代表を辞任するといった趣旨の発言をされていますね。
海江田 人それぞれ、いろんな取り方があると思います。昨年の参院選は、はっきり言って大敗北でした。このままでは党が溶けてなくなるような状況で、その立て直しをしなければ、という強い思いがあったのは事実です。ただ、代表を辞める、辞めないは私自身が決めることです。この1年、自分が何をやってきたのか、党の状況はどうなっているのか、それは私が一番よく知っています。
――いまは辞めるべきではないと。
海江田 そういうことも含めて、私が判断します。
i2――代表の任期は来年9月までありますね。
海江田 最初は2年でしたが、あまり党の顔がコロコロ代わるのはよくないということで、野田佳彦さんが代表のときに3年に延ばしました。その野田さんは一昨年の衆院選の敗北を受け、4カ月くらいで代表を辞めてしまった。私が残りの任期を受けてやっているところです。
――党内の一部には代表選を早めようという動きもあるようです。
海江田 しかし、何のために任期を延ばしたのか。自分たちが決めたことです。冷静に考えてもらいたい。
――日本維新の会が分党しました。維新の橋下徹さんと結いの党の江田憲司さんをキーマンに野党再編の動きが活発化しそうです。
海江田 ただ国民が望んでいるのは野党再編だけでなく政界再編だと思います。いま内閣の支持率は高く、安倍晋三首相にものを言えない雰囲気が自民党内にあるやにも聞いています。
いずれにせよ、やはり政策があまりに違うところとは組めません。以前の民主党の二の舞いになる。私たちが政権の座にいた3年3カ月は何だったのかということを反省してみると、やはりバラバラ感です。
基本政策では、少なくとも立憲主義というか、いまの憲法がいい悪いという議論はあっても、憲法は国民を縛るものではなく政府・権力を縛るもの、だから集団的自衛権行使の問題でも安易な解釈改憲は認められない。どうしてもそれが必要だというなら憲法を変える正当な手続きをする。こういう共通した認識が必要だと思います。
――5月24日夜、橋下さん、江田さんが前原誠司さんと京都市内で会談したといわれています。
海江田 私も江田さんとは近々会います。維新の会が分裂する前から会談の予定はありました。江田さんは野党再編の捨て石になるという発言もされている。具体的にどういう考え方を持っているのか直接聞いてみたい。一緒になる、ならないではなく、いろんな意見交換をする。それが大事ですから。先般の国会の議論を聞いていても、江田さんは立憲主義の立場で発言されていた。結いの党は、基本政策が比較的近いところにあると思います。
――先に維新の会と結いの党が一緒になろうとしています。
海江田 うまくいくのかどうかよくわかりません。
――しかし、野党がどこかで協力し合わないと。
海江田 野党とは言っても、あまりにも与党にすり寄りすぎる党もあります。安倍さんに「責任野党」とか言われて「私たちは責任野党です」と真っ先に言う政党がありました。そういうところとは組めない。
――ただ国政選挙はいつあるかわかりません。再編にしろ選挙協力にしろ、民主党にはあまり切迫感がないように思えますが。
海江田 自民党と対峙するためには、自前の候補を立てないといけません。前回敗れた人たちに、もう一度チャレンジするんだと、元気を出してもらって日々の活動をしてもらう。それはまだ道半ばです。300の小選挙区で、現職以外にまだ74人しか決まっていません。前回選挙は「第3極」とマスコミも囃し立て、民主と票を食い合いました。それは自民党を利するだけですから、選挙時の野党協力は必要です。ただ、数合わせだけでやると、どこかで破綻する。やはり政策を軸にした協力でなければならないと思います。

党の再生は地道な努力しかない

――民主党の現状をどう見ていますか。
海江田 民主党は1998年の結党で、まだ16年の歴史です。第1回の党大会に集まった衆参の国会議員は131人でした。その後の合併、数次の国政選挙を経て、2009年8月の総選挙で308人が当選し、悲願の政権交代を果たしました。その後の民主党政権の躓きについて、ここでは多く語りませんが、政権交代にかけた国民の期待が大きかっただけに、その後の失望も深刻なものであったことは、まぎれもない事実です。まだまだ国民の信頼を取り戻す努力が不足していると思っています。
――実際、自民党の政党支持率が下がっても、それが民主党にはきません。無党派層が増えるだけで〝嫌自民〟の受け皿になっていない。残念ですが、民主党の存在感はありません。
海江田 これは地道な努力しかありません。
――具体的には。
海江田 来年の統一地方選は絶対に大事です。地方から立て直しをしなければいけない。国会議員候補も党のイメージだけで戦ってきた人もいます。そうではなく、自分で地域を回ってもらうしかない。すぐ他人のせいにする傾向がありますが、まず党再生のために何ができるのか、一人ひとり考えてもらわなければいけません。自治体議員も含めてです。
――代表としてやってこられた地道な努力は。
海江田 これまでは総支部単位とか県連単位とかで全国を歩いてきましたが、いまは県議のレベルでもうかがうようにしています。先だっても青森の県議のところへ行きました。2人の県議がそれぞれ後援会を集めて、そこにうかがう。大人数ではありません。本当に車座で鍋を囲んで。30人とか40人ですけど核になる人たちです。しっかりやってくれる。そういうことを繰り返してきました。地方で何とか勝ち抜いてもらって、そこから立て直しをしていく。そこに奇手・妙手はないのです。
――統一地方選の戦略は。
海江田 戦術的な問題ですが、前回は候補者を立てすぎました。次回は候補者を絞って1人でも多く当選させる。とくに女性の新人をつくってほしいと要請しています。それにローカルマニフェストの作成。そこにも関係しますが、社会保障問題についてコミットする。消費税増税の3党合意は、社会保障を安定させるということで国民にお願いしたものです。しかし、安倍政権ではそうなっていない。社会保障は地域の問題です。大いに地域で議論して、私たちはこういう社会保障政策を実行すると提示して統一自治体選挙に臨みたいと思っています。
――確かに、女性議員は重要だと思います。
海江田 いままで民主党は、いわゆる男女共同参画委員会のない県連がたくさんありました。私が代表になってから全県連に設置し、女性議員をつくるための素地ができたと思います。
民主党は国会議員の政党というニュアンスが強かったと思います。国会議員の数が少なくなったいまこそ、地方組織を立て直すときです。ただ、こういう地道な努力は誰も評価しません。目に見える成果がないじゃないかと言うけど、やるべきこと、やらなければならないことは全部やっているんです。
――そういう地道な努力をすることというのは各議員に浸透していますか。
海江田 浸透していると思います。それなくして復活はないわけですから。一度失った信頼を取り戻すというのは簡単ではない。
――下手をしたら本当に10年かかる。
海江田 そういう覚悟で臨まなければいけない。 昨年2月の党大会で採択した新しい綱領で、自分たちの立ち位置を「生活者、納税者、消費者、働く者の立場」と宣言しました。そして「未来への責任を果たすため、既得権益や癒着の構造と闘う改革政党」と規定し、目指すべき社会を「すべての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会」としています。こういうスタンスを持った政党は日本に必要だと思っていますし、それがあって初めて日本は健全な民主主義の国だと世界にもアピールできる。
政権交代のときに掲げた政策も間違ってはいなかったと思っています。少子高齢化がますます進み、格差も広がっています。いまこそ民主党が立ち直らなければならない。もう一度、民主党に対する支援をお願いしたいと思います。

解釈改憲では憲法がないのと同じだ

――存在感という意味では、集団的自衛権の問題に見られるような安倍首相の政治姿勢を徹底して追及するのが、一番のアピールになると思いますが。
海江田 もちろん暴走する安倍政権にブレーキをかけます。とくに集団的自衛権の問題については、解釈改憲で、しかもこれまで積み重ねてきた解釈と180度、真逆のことをやるなどというのは、まったく認められません。これでは憲法がないのと同じです。
あとは具体的なケースに即して、本当に集団的自衛権でなければできないのか、個別自衛権や警察権の範囲の中でできるのか。そういうことをよく議論して、必要な部分があれば、法律改正もしなければいけないと思います。安倍さんの場合は、最初から集団的自衛権行使ありきです。そこから入っているから国会の議論などを聞いていても、どんどん歯止めがかからない答弁になっている。
――海江田さん個人の集団的自衛権の考え方は。
海江田 集団的自衛権でなくても、できることはあるという考え方です。とくにアジアの関係でいうと、周辺事態法など現状の法制で対応できると思います。
一番大事なのは外交努力です。安倍さんは頻繁に外遊に出ますが、肝心の東アジアの国には行っていません。そこがまったく抜け落ちているにもかかわらず「世界を俯瞰する外交」などと言っても、ほとんど意味がないと思います。

=ききて/鈴木正紀=