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Interview

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不況の今こそ生産性を上げるIT戦略が必須掲載号:2009年4月

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石積 尚幸 日本オラクル 常務執行役員 カスタマーサービス統括本部長

(いしづみ・ひさゆき)1959年11月16日、小樽市出身。82年、小樽商科大学卒業後「横河・ヒューレット・パッカード」(現日本ヒューレット・パッカード)入社。99年同グローバルセールスサービス本部アジアパシフィック本部長。2004年同常務執行役員。05年同副社長。08年11月より現職。
"100年に1度"の経済危機の中、企業は生き残りに必死だ。売上規模で世界最大となったヒューレット・パッカードの日本法人副社長から日本オラクルに転身した石積尚幸氏は、こうしたときこそ既存のITインフラの見直し、利用率の改善が重要だと説く。

日本のユーザーが使うのは100のうち40

――日本ヒューレットパッカード(HP)には26年在籍したことになるんですか。
石積 はい。まずシステムエンジニア(SE)になって十数年間、現場を経験しました。SEの最後は 金融の責任者でした。その後、営業技術の組織をつくるというので、その立ち上げを1年。これがうまくいったので、今度はアジア・パシフィックを全部やれ と。それで東京にいながらアジア14カ国の営業技術の部隊を見るというのを3年間。その後、仕事は国内のほうに向いて、通信の営業責任者を1年。製品であ るハードウエアのマーケティング責任者を1年。HPではサービスビジネスとして「コンサルティング・インテグレーション」「サポートサービス」「アウト ソース」という3つの柱がありますが、私はこれらを統括する責任者をその後ずっとやって、昨年まで在籍していました。
――多分野を経験されている。
石積 今もそうですが、新しい技術、新しいサービスをつくるのが好きで、お客様のビジネスを次の段階に引き上げるというか、お客様が次のチャレンジをするときに、新しい技術をうまく使っていただく。それが楽しくて、そういう分野にずっとかかわってきたという感じです。
――HPはIBMを超えて売上規模では世界最大です。その日本法人の副社長を務めていた石積さんがオラクルに移ってきた。何が石積さんの心をとらえたんでしょう。
石積 前職のときのお客様は100%オラクルを使っているので、こちらに来てもお客様はほとんど一 緒です。お客様のビジネスを考えたときに、そこに貢献できるものは何か。現代のビジネスはソフトウエアで動いています。すなわちお客様をサポートするもの は、コンピューター上で動いているソフトウエア。オラクルはデータベースだけでなくアプリケーション製品もたくさん持っていて、多くの日本のお客様にも使 われています。しかし、オラクル製品の機能が100あるとすると、日本のお客様は40くらいしか使っていない。残りのところは自分たちで1からつくろうと する傾向が非常に強い。もしオラクルの製品をフルに使ってもらえれば、もっと安く、もっと早く、もっと品質のいいものが絶対できる。よりお客様のビジネス に貢献できるチャンスが多いと思っていたところ、昨年HPが合併などで大きく変化したのを機に、ちょっとした縁でこちらに移ってきたんです。

自社の中にオラクルのスペシャリストを

――世の中“100年に1度”といわれる厳しい経済状況ですが、こういうときこそ企業はITをうまく使わなければならないと思います。
石積 欧米では、景気が悪くなると投資を絞るかというとそんなことはありません。特にITに関して は。こういう時期だからこそ見直しをして、きちんとした投資をする。すでにお客様がお使いのソフトウエア、サービスをちょっと見直すだけで、生産性を上げ られるケースは多いと思います。ただその見直しのためにある程度のコンサルティングサービスみたいなものは必要になってくるかもしれない。実際、どうコス トセーブができるか、どういうところをチューニングすると会社としてよくなるかというコンサルティングは相変わらず増えているようです。
――企業側がなかなかITを使いこなせないのはなぜでしょう。
石積 いくつか要因があると思いますが、1つは日本の企業がスペシャリストでなくジェネラリスト志向が 強いということ。ITの人材ですらローテーションで異動したりする。だから本当の専門家が育ちにくいところがあると思います。そうなるとシステムを構築す る業者、いわゆるシステムインテグレータ(SI)に丸投げせざるを得ない。SIから出された金額が本当に適正な価格か目利きもできないというケースが多い 思います。お客様はそのビジネスを一番理解し、SIはコンピューターのことを一番理解している。しかし、その両者がうまくつながらない、つなげられないと いう状況が起きているのです。いま非常に進んだお客様は、これじゃまずいということで、コアの部分は自分たちでつくる。そのベースはオラクルの製品です。 自分たちの設計が正しいかどうかを判断するために、自社の中にオラクルのスペシャリストを育てています。もちろんオラクルはバックアップします。当社のス ペシャリストがお客様のスペシャリストの後ろについて、SIといい意味でのけん制をしながらやっていくというのを、進んだお客様は志向されているのです。

北海道はデータセンターを誘致すべき

 ――石積さん自身、仕事の上ではHP時代も含めて北海道とはあまり接点がなかった。
石積 そうですね。今後、もっともっと仕事でうまい仕掛けができないかということは、オラクルの札 幌の責任者と話はしています。現在は札幌市などと一緒にITの人材育成のようなプログラムで「オラクルマスター」を取ってもらうという取り組みを行ってい ます。すでに4年目で二百数十人参加していると聞いています。非常にうまくいっているようです。
以前、北海道にはコールセンターではなくデータセンターを誘致したほうがいいと道庁の人と話をしたことがあります。データセンターは電気と空調と土地が 安いところにつくります。そうするとグローバルな企業は北欧とか、外気を入れればコンピューターが冷えるような場所を真剣に考えています。北海道なら、た とえば大雪山。大雪の地下水を使って、北電の発電所の隣につくれば非常に安くやれます。
 ――いいですね。
石積 後はネットワークだけ。中国がこれから伸びるといってもインフラ事情が悪くてデータセンター は多分むりです。そうすると日本海側にデータセンターをつくって中国に対してサービスするということも考えられます。アジアの中でこれだけ四季がはっきり している場所は北海道しかありません。しかも土地が豊か。学生にアピールできる部分もあると思います。勉強するんだったら北海道というセールスポイントが あってもいい。ITはその1つになり得ると思います。

=ききて/構成 鈴木=