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Interview

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レバンガ北海道も
やってみなきゃわからない!
掲載号:2017年9月

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大河正明 Bリーグチェアマン

日本のバスケットボール界は昨年、新時代を迎えた。新たなプロバスケットボールリーグ「Bリーグ」の誕生だ。初代チェアマンとしてリーグを率いる大河正明氏が、Bリーグやレバンガ北海道の未来を語った。

過去の延長線上で物事は考えない

――Bリーグ元年の評価は。

大河 プロとしての価値をはかる上で、最も大きな目安はどれくらいお客さまを呼べるかです。

国内最高峰のプロバスケットボールリーグ「Bリーグ」のトップカテゴリーであるB1は、2015―16年シーズンまでおこなわれていたNBLとTKbjリーグに比べ、50%程度、総入場者数が増えました。

普通の企業で言うと、5割お客さまが増え、売り上げも同程度増加したということです。いまどき売り上げが50%アップする企業はそんなにあるわけではありません。Bリーグ初年度シーズンはある程度成功したと言っていいと思います。

――昨シーズン中はレバンガ北海道のことをどのように見ていましたか。

大河 レバンガはNBL最終年度に5割を越える勝率を確保して、プレーオフに進出しました。ですからある意味名古屋や千葉よりも上の存在だったので、新たなシーズンを迎えるにあたって、レバンガには期待感を持っていました。

しかし、前半戦はけが人が相次いでしまい、予想以上に厳しい戦いを強いられました。メンバーがそろった後半戦は最低これぐらいはやるよねという成績。

前半戦のアクシデントがなければ、勝率5割ぐらいはいけたのかなと思いますが、いずれもたらればの話です。

――リーグはレバンガに対し、18年度末までに債務超過を解消するよう求めています。

大河 もともとなぜ財務面の基準を設けているのかという話にもつながると思います。ようはリーグ戦の最中にクラブの資金繰りが破綻したり、今後クラブ運営が続かないという事態がおきてしまうと、Bリーグ自体の価値、ブランドが損なわれてしまいます。ですから、しっかりとした財務基盤をもってほしい。

プロスポーツクラブですから、収入は選手の強化や練習環境の改善などに使ってほしいとファンからは求められます。なので一般企業のようにどんどん利益をためてくださいとは思っていません。でも資金繰り破綻は防がなければならない。

債務超過ではいつ倒れてもおかしくないというのが、財務、経営の原則ですから、最低限そこは解消してくださいと、われわれはレバンガに求めています。

債務超過解消の2年計画が始まり、その初年度が今年6月に終わりました。当初の見通し以上の利益を計上する予定と聞いています。初年度は計画通りに進みました。

2年目もまずは初年度と同じように計画をすすめることが大事です。その上で、オーナー企業はどのようにレバンガと向き合っていくのか、増資を含めた資本政策はどのようにおこなっていくのか。こういった点も合わせながら、最低限の財務基盤を整えていく絵を、リーグとレバンガは共有しています。

毎月その進ちょく状況を確認しあいながら、お互い緊張感を持って計画の達成をレバンガとともに目指していきたいと思っています。

――レバンガは昨季に引き続き、今季もB1東地区に所属します。ただし、同地区には昨季チャンピオンシップに進出した8チーム中、5チームが組み込まれており、こうしたリーグの地区分けには「中、西の2地区と比べて、東地区に強豪が偏っており、不公平だ」という声もあります。この点についての考えを聞かせてください。

大河 僕らがリーグをつくるときの方針は過去の延長線上で物事を考えるのはやめようということです。そういうことから言うと、昨季の成績がこうだから、今季はこうなるんじゃないかというように、過去の延長線上で成績を考えるのは、基本的にやめたほうがいいと思っているんです。

例えば千葉はNBLからBリーグに参入したチームの中で、当初1番弱かったわけです。それが経営努力をして、コーチや選手にそれなりの投資をした結果、天皇杯で優勝し、リーグではチャンピオンシップにも進出しました。

今年のオフシーズンを見ていると、琉球や大阪などが積極的な補強をおこなっています。選手の出入りはかなり多く、Bリーグの勢力図というのは、まだ安定期に入っていません。そうした状況の中、公平だとか、不公平だとあまり考える必要はないと思います。

仮に東地区が本当に強いんだとしても、その強い地区で60試合を戦い抜いたレバンガは選手もコーチも間違いなくタフになっています。同時に万が一成績が上向かず、B1残留プレーオフに行かざるを得ないという事態を想定しても、もし東が圧倒的に抜きんでた地区であれば、プレーオフは勝ち抜けるはずです。

中、西の両地区のクラブと対戦する交流戦で抜群の成績を修めることだって可能でしょう。だからいつも言っていますが、やってみなきゃわからないんです。

折茂選手兼代表は「希少な存在」

――9月には2年目シーズンが開幕します。

大河 初年度はBリーグ自体の認知率の向上にまず努めました。バスケットボールというアリーナスポーツの魅力をいかに伝えるかというのが、1年目の大きな目標でした。

2年目は36チームがそれぞれ自力をつけていくこと、それをわれわれは一生懸命サポートしていきたいと考えています。例えばスタッフの人数や質は向上させていかなければならない部分です。もちろんそれぞれのクラブの財源には限りがありますが“稼げる人”を各クラブが取り入れて、収入を上げていくべきです。選手に投資して勝てば売り上げが伸びるという考え方も、もちろんあると思います。

ただ、負けたらすべてダメなのかという話にもなりがちなので、勝っても負けてもある程度稼げる自力をつけてもらうためには、社長を含めたスタッフ、組織基盤がはっきりと強化されてこなければならないと感じています。

――レバンガには経営者と選手を兼任する折茂武彦選手がいます。リーグにとってどのような存在ですか。

大河 長らく日本を代表する選手で、いまでも60試合出ているプレーヤーです。一方で会社の経営もやっているから、選手目線だけではなく、経営者目線でも物事の最終決断をしなければならない。その両方をやれる人なんてそんなにいるわけではありません。ある意味スーパータフネスだし、希少な存在だなと思います。リーグを発展させるために、われわれとしても、悪い言い方をすると“使い倒したい”と思っています。

――リーグとして、これからの目標はありますか。

大河 プロ化というのは、選手や指導者、審判、スタッフがもっと金銭的な要求を含めて満たされることだと考えています。僕はいろんなところで言っているんですけど、東大に入って官僚になるより、折茂選手を始め、プロバスケット選手のほうが絶対に希少価値は高いわけですよ。みんなを感動させられることができるのに、報酬面では残念ながら恵まれていない。

プロバスケット選手は初年度から1000万円稼げるぐらいの世界観がほしいと考えています。そのためにBリーグをつくったという面もあります。

事業規模を大きくして、それに携わる人が経済的にも精神的にも豊かになることは、当然求めていいことだと思っています。

――それを実現するために必要なことは。

大河 コンテンツ力をあげていくことです。無い物ねだりでスポンサーにお金をくださいと言っているのにも、限界があります。バスケットって魅力的だね、このプレーヤーを見たいねと思われることが1番です。だったら日本代表を強くして選手を売り出していくなど、やることはおのずと決まってきます。

11月からは日本代表のワールドカップアジア地区予選が始まります。サッカーのようにホームアンドアウェー方式で予選を戦うことは、バスケ界では初めてのことです。日本代表の活躍が多く露出されて、選手の名前が覚えられることを切に望んでいます。

クラブは地域の公共財になるべき

――今季から新たに公式トーナメントカップ戦「アーリーカップ」が開催されます。これはどういった大会ですか。

大河 日本にはBリーグというリーグ戦とプロアマ混在の天皇杯というカップ戦があります。これらに加えて、1部、2部関係なく、Bリーグのチーム同士が短期決戦で争う大会を新設しました。アーリーカップは全国4地区で開催され、1日に2、3試合がおこなわれます。1度にたくさんのチーム、選手が見られることはひとつの魅力だと考えています。

また、アジアカップやオリンピックなどの国際大会は短期決戦です。これに日本代表が強くなれるような仕組みを日ごろから取り入れていきたいという狙いもあり、アーリーカップを創設しました。

将来的にはリーグ戦、天皇杯と並ぶ3大タイトルになればいいなと思っています。レバンガは東海・北陸カップに出場します。ぜひ注目してほしいです。

――これからのレバンガに期待することは。

大河 クラブが地域の公共財になることが大事だと考えています。街の誇りになることができれば、もっとお客さまが試合を見にきてくれたり、スポンサーも応援してくれるようになると思います。

レバンガには財務問題もありますが、今季でそれを解消し、その次のシーズンではもっと選手を補強するとか、そういう夢のある話をもっとしていきたい。

僕は初年度開幕のときに、「高い志を持って未来に挑戦していきたい」ということを申し上げましたが、まさにレバンガもその通りではないではないでしょうか。

北海道はアリーナも充実しているし、道民のバスケットに対する知識レベルも高い。こういったところからなるべく早く旋風を起こしてもらい、優勝争いを常にしているようなクラブになってほしいと思います。

ぜひレバンガを信じて応援してほしいですね。

=ききて/松田尚也=