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Interview

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ファイターズが道民の誇りと言っていただけるために掲載号:2016年6月

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竹田憲宗 北海道日本ハムファイターズ社長

 北海道日本ハムファイターズが本拠地を移転して、今年で13年目を迎える。この間、リーグ優勝4回、日本一1回にも輝き、すっかり道民の「おらがチーム」に定着した。昨年就任した竹田憲宗社長にチームが掲げる地域密着球団のあり方を聞いた。
(たけだ・けんそう)1956年3月31日、富山県南砺市生まれ。京都産業大学経済学部卒。78年に日本ハム入社。執行役員加工事業本部営業本部量販事業部長・デリカ部長、日本ハム西販売社長などを経て、2015年3月から現職。

ファン、地域社会、チームがともに発展

――社長就任から1年がたちました。
竹田 日々ありがたい仕事をさせていただいていると感じています。素晴らしい仲間に囲まれ、素晴らしい環境の下で、ファンのみなさま、北海道に貢献できる。こんなに幸せなことはないですよ。
ファイターズに携わり、一番驚いたのは、道民の熱くて思いやりのある応援でした。
投手がスリーボールになったとき、ファンから「頑張れ」と温かい拍手が送られるのは、12球団の中でもファイターズだけ。われわれにとって心強いです。
――球団経営の方針を教えてください。
竹田 地域に根ざす道民球団としては「すべてはファンのために」が基本です。また、社長就任時の挨拶では、近江商人の精神である「三方よし」の話をさせていただきました。
これは「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」という考えです。ファン、地域社会、ファイターズがともに発展できる関係を築いていきたいです。
そのために何をすべきか。企業理念である「スポーツ・コミュニティ」の実現です。まず大切なのは活動指針に掲げるファンサービスファーストです。チームの最終目標は日本一。つまり頂点を目指しています。
しかし、本来望むべきところはそこではなく、プロセスの中でファンの方々にいかに喜んでいただくかです。チームの勝利に向けて、選手全員が最後まであきらめずにプレーをする。全力でプレーをするからこそ、そこに感動や興奮が生まれます。これもファンサービスの1つだと考えています。
2つ目は、従業員満足度の向上です。チームが強くなる、選手が活躍する、ファンに感動してもらう――ためには、そこで働く従業員がしっかり仕事に取り組める環境にしなくてはなりません。フロント、選手、職員の全員がそれぞれ与えられた役割を通して成長できる球団にしていきたいと考えています。
3つ目は北海道にいかにして貢献するかです。ファイターズも、この北の大地に生かしていただいています。地域社会との共生・共栄にも尽力していきたいです。

札幌ドームをエンターテインメント空間に

――札幌ドームでの観客動員数目標を200万人と掲げています。
竹田 ただ200万人が最終目標ではありません。重要なのは数字ではなく、先ほども述べたようにプロセスだと考えています。ファンの方々にいかに夢や感動を提供できるかです。それを考えると、このスタジアムはエンターテインメント空間なんです。
スタッフには札幌ドームを〝劇場〟にしていいと伝えています。ドームに来ていただくのは、単に野球を見て、チームや選手を応援するだけではありません。会話をしたり、食事も楽しめます。そこからコミュニケーションが生まれるのです。
このスタジアムに来ることでいろいろな体験ができる。われわれは、もうそこまで求められていると思っています。ですから、ファンのニーズにしっかりとお応えしていきたいです。
――札幌ドームでは趣向を凝らしたさまざまなファンサービスをおこなっています。
竹田 はい。今シーズンの北海道開幕のコンセプトは「宇宙一を目指せ」です。5月末には学生を、6月には若い女性をターゲットにしたスペシャルデーを企画しています。
ファイターズは本拠地移転後、新庄剛選手がいたことで野球を知らない女性が球場に足を運んでいただき、ファンが増えました。ファイターズファンは他球団と比べたら女性が多いですよね。その方々がチームと一緒に年齢を重ねてこられた。
世間ではいま、若い女性の野球ファンに注目が集まっています。ファイターズも同様です。若い女性にファン拡大の可能性があると感じています。
――ファイターズは今年、本拠地移転13年目を迎えました。
竹田 ファンをはじめ、「応援する会」「ファンクラブ」「はまなすファイターズ」など、さまざまな方に感謝をし、これからも大切にしてまいります。
また、チームの礎は本拠地移転当時に指揮を執っていたトレイ・ヒルマン監督が築いてくれたと考えています。大きくは「ファンサービスファースト」「スカウティングと育成」「強いチームづくりの役割分担」の3つです。
――ファイターズはこの10年で道民から〝おらがチーム〟と呼ばれるようになり、北の大地に根付いたのではないですか。
竹田 そう言っていただける機会が多いのですが、まだまだだと思っています。チームに携わった先輩方から聞いた話なんですが、移転初年度(2004年)の春のこと。シーズン前に札幌駅で、その年の日程表を配っていたそうです。
手に取っていただいたのは5人に1人。せっかく手に取ってもらえたとしても、その半分の人は道に捨てていかれたと。関係者は、その日程表を悔しい思いをしながら、涙ながらに拾って掃除したそうです。
いまでは考えられないことだと思います。そこからチームは多くの道民に応援していただけるまでに成長した。
先人たちの苦労は並大抵なものではなかったと思います。ですから、その先人たちの苦労を決して忘れていけない。これからも謙虚な姿勢で、いっそう地域に密着していきたいと考えています。

歩調を合わせ経済界との交流にも注力

――今後の展望について教えてください。
竹田 球団としてやれることは、まだまだたくさんあると思っています。継続的な取り組みとしては、選手たちが地域の方々と交流を図りながら、まちを応援する「北海道179市町村応援大使」があります。今年で4年目を迎えました。毎年18市町村で選手たちを応援大使に任命しているので、10年かけて実施するプロジェクトになります。賛同していただいた高橋はるみ知事には応援団長に就任していただいています。
また、近年、北海道を訪れる外国人観光客は急増しています。われわれとしても台湾からのインバウンドを年間2万人に増やそうという取り組みをおこなっています。野球を入口として北海道全体を楽しんでもらおうと。
さらにファイターズは昨年、「北海道野球協議会」に加盟しました。プロチームがアマチュアの野球組織に入るのは日本で初めてのケースです。プロとアマの〝垣根が高すぎる〟といわれる日本野球界ですが、その垣根を越えた活動を展開していきたいと考えています。
今年は人材交流事業として紋別市に球団職員を派遣しました。さらに北海道における中学生の硬式野球チームのナンバーワンを決める大会「ファイターズ ベースボール チャンピオンシップ U―15」も新設しました。
今後は北海道の経済界との交流にも力を入れていきたいと考えています。経済界と歩調を合わせながら、一緒になって実現できることを模索していければと思っています。
これからもファイターズとしては日本一を目指し、ファンに夢や感動を提供し続けていきます。このほか、地域貢献に取り組みながら、チームがさらに道民に愛してもらえるような球団を目指していきます。究極の目標は、道民の538万人全員に「北海道にファイターズがあることが誇りです」と胸を張ってもらえる存在になっていきたいです。

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