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Interview

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スリーS(選挙、政策、政局)
に強い政治家を育てる!
掲載号:2017年6月

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古屋圭司 自民党選挙対策委員長

衆議院の自民党所属議員のうち約4割が1回生、2回生だ。古屋圭司選挙対策委員長は“スリーS”というキーワードを掲げ若手議員の育成に努める。道内の衆院選挙区情勢や新党大地との今後の関係などを古屋氏に聞いた。(取材日=4月24日)

政局の見極めは永田町だけではない

――自民党本部として、道内の衆院12選挙区をどう位置づけていますか。

古屋 北海道は選挙区が12もあります。党本部としても北海道の動静は注視していますし、重点地域であることは間違いありません。

その上で選挙区情勢をみますと、2009年の衆院選は、わが党が政権を失ったときです。道内小選挙区で勝ったのは7区の伊東良孝さんだけで、比例復活が5区の町村信孝先生と12区の武部勤先生でした。

12年の選挙では公明党の道10区を含め、すべての選挙区で勝てました。そして前回の衆院選では、3つの選挙区でわが党の候補が落選しています。

時の政治状況によって結果が大きく振れるというのが、北海道選挙区の特徴という認識です。

もう1つは、いま“民共連携”がささやかれています。政策的に絶対に相いれない政党同士が連携すること自体許されないことですが、単純な数字の計算ですが、その場合は自民が得票で野党を上回れるのは11区と12区だけなんです。候補者にはそういうこともあり得ると肝に銘じていただきたい。だからこそ、日ごろの選挙区での後援会、政治活動を徹底してもらいたいんです。とくに北海道には当選2回生の自民党議員が7人もいます。そうした若い議員は将来への可能性を秘めていますが、確実な地盤を固めていません。

――選対委員長として1回、2回生にどのような指導をしていますか。

古屋 党内には当選1、2回生の自民党議員が120人おり、全体の約4割を占めます。私も選対委員長として若手議員の指導を集中的におこなっています。

私がよく言っているのは、3S(スリーエス)に強い政治家を育てるということです。今年3月に開会された自民党党大会でも方針としてうたわれました。

「選挙」「政策」は言わずもがなですが、「政局」については永田町だけではありません。

たとえば、地元の首長選が分裂選挙になる。そういう場合にできるだけダメージコントロールをして、影響を最小限にとどめるノウハウも必要です。

北海道にはいませんが全国120人いる中で、ゴールデンウイークに海外視察を計画している議員がいました。少なくとも比例復活している若手議員は、自重するべきです。

この期間は地元の人に会えるチャンスですし、イベントも多くやっています。後援会の役員のみなさんのご自宅にうかがい、じっくり話をするチャンスでもあります。選挙に勝たないと政策はできない。海外に行って見聞を広めるのも大切ですが、地盤を固めてから行けばいい。これが選挙に強くなる秘訣です。

大切なのは“勝つ選挙”をすること

――北海道には鈴木宗男氏が代表を務める新党大地があります。昨年の5区補選、参院選では、同党は自民党候補を推薦しました。今後の選挙協力についてどう考えていますか。

古屋 鈴木宗男先生は北海道全体に一定の影響力があると認識しています。ただ、新党大地と鈴木先生の属人的な人気は違うのかなと。鈴木先生のコアなファンが北海道中にいらっしゃいます。鈴木先生は安倍総理とも頻繁に面会し、話をされています。その中身は私もだいたい承知しております。 

私から現段階で、コメントするのは差し控えさせていただきたい。

――7区は自民党の伊東良孝さんと新党大地代表代行の鈴木貴子さんが、現職国会議員です。昨年2月、7区に関係する当事者同士が集まり、今後の選挙区調整についての文書を交わしました。

古屋 あれは公式文書ではなく、私も受け取っていません。ただ、新党大地とは敵対する必要はありません。そこは冷静に見極めながら対応していくことになると思います。

――10区は自・公連携の象徴として自民は候補者を擁立せず、公明党の稲津久議員が議席を有しています。

古屋 公明党とは東京都議選ではわが党とバッティングしています。一方、地方の選挙で公明党は気を遣っていただいています。今、地方の首長選挙では、現職に自民が新人を擁立する場合でも、公明党には推薦してもらっています。公明党の協力があればこそ、小選挙区における自民党の選挙も安定します。

わが党は二階俊博幹事長のもと新しい執行部になって、“勝つ選挙”を徹底しておこなっていく。これが一番大切な考え方です。

たとえば、昨年10月の東京10区補欠選挙では、若狭勝氏が自民党の公認候補になりました。若狭氏は小池百合子東京都知事と一体の関係でしたので、党内に賛否両論ありました。

それから福岡6区でも補欠選挙がありました。県連から公認申請で上がってきた候補と、鳩山邦夫先生の次男・鳩山二郎さんが名乗りを上げました。我が党はどちらにも公認を出さず、無所属で戦ってもらい、勝った鳩山候補を追加公認しました。政治の安定のためには選挙でしっかり勝たないといけない。選挙は民主主義立脚の原点ですから。

安倍政権が安定して、政策を前に進めていくことができる。この4年半、政治が安定していたからこそ経済も前進して、具体的な数字も確実に上がっています。

有効求人倍率、税収やGDPの伸び、失業率もグッと落ちました。相対的な貧困率も安倍政権なってから、9・7%から7・7%に減少しています。

着実に政治は前に進んでいる。そういうことを実感していますから、メディアの世論調査でも自民党の支持率、内閣支持率も堅調に推移しています。仕事はしているよね、という一定の評価をいただいていると思います。

道内の第一次産業を成長産業にする

――解散、総選挙のタイミングについては。

古屋 衆院の解散を決めるのは総理大臣です。私の持論になりますが、基本的に小選挙区の耐用年数は2年がメドなんです。

小選挙区制は、総理と政党の評判、内閣支持率がよくないと相対的に勝てない制度なんです。いま、閣僚の不規則発言やスキャンダルがでて、党内にやや緩みが出ているのは否めません。ここはビシッと締めていきます。

――自民党が北海道で訴えていきたい政策は。

古屋 第一に経済の活性化です。北海道は全国の中でも疲弊しています。ヒト、モノ、カネが札幌に一極集中していますよね。それから農業も厳しい立場にあります。これからは、成長産業として農林水産業、畜産業をしっかり見据えて6次産業化していきます。

日本の農産品には世界一安全だ、という認識があります。いまや農産品の年間輸出額は8000億円近くになっています。これから兆の単位になっていくでしょう。とくにASEANなどの急成長している国々には、5億7000万人の人々が住んでいます。こうした国々は例外なく親日家です。20年までには、そのうち富裕層が20%近くになる、という予測があります。1億2000人が富裕層に該当し、値段が高くても安全・安心でおいしい農産品を買っていただける。そうした潜在的なマーケットになっていくと思います。

日本の安心・安全を世界に売っていく上で重要な地位を占めるのが北海道です。また、新幹線の札幌までの早期延伸による経済効果は大きい。

インバウンドがすごく増えており、今年は2400万人、おそらく20年には4000万人まで到達するかもしれません。東京や京都だけではなく、北海道も可能性があります。

私は日華議員懇談会の幹事長を務めています。台北駐日経済文化代表処札幌分処もつくっていただきました。年間約400万人が来ていますが、みんな北海道を目指しています。外国人観光客の受け入れ体制強化の政策も進めていきます。

選対委員長室にある「白い恋人」

――北海道とのかかわりはありますか。

古屋 私は72年の札幌オリンピックのとき高校生でした。日の丸飛行隊の表彰台独占は感動しましたよ。それから妖精のようなジャネット・リン選手が演技中に転んで尻もちをついた場面も思いだされます。

20年に東京オリンピックが開催されます。あの夢をもう一度ではないですが、たとえば26年の札幌五輪招致にはチャレンジすべきだと思います。冬季オリンピックを開催できるのは北海道しかありません。

北海道といえば、実は観光土産の「白い恋人」が大好きなんです。大学生の時、北海道旅行で食べたときにとてもおいしくて。自分の部屋に常備して、いつも食べています。あまり食べると太るので1日1個か2個にしていますが…(笑)

高橋はるみ知事も私の部屋を訪れるとき、「白い恋人」を持ってきてくれます。

石屋製菓は経営戦略がしっかりしています。白い恋人を全国展開していませんよね。北海道に行かなければ買うことができない。

北海道の農産物なども地域に特化した売り方をすれば、多少高くても購入してくれると思います。北海道の成功のヒントが隠されているかもしれません。

=ききて/前田圭祐=