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Interview

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スポーツの力で札幌・北海道の魅力発信掲載号:2017年1月

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秋元克広 札幌市長

2016年の北海道はスポーツの話題で盛り上がった。17年2月に冬季アジア大会が札幌で開催される。これを成功させ、秋元克広市長は「26年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動に弾みをつけたい」と意気込む。

札幌五輪を超える規模のアジア大会

――市長就任2年目となる2016年を振り返ってください。

秋元 15年の1年間は、1期4年で取り組む中期計画であるアクションプランを作成しました。あわせて、道、経済界との関係をしっかり構築してきました。

16年は実際の行動といいますか、ホップ・ステップ・ジャンプでいえば、ステップの一年でした。

16年は、スポーツの話題で随分と盛り上がりましたよね。北海道日本ハムファイターズが日本一となり、北海高校が夏の甲子園準優勝、北海道コンサドーレ札幌もJ1に昇格します。〝スポーツの力〟というのを、あらためて感じた年でした。

一方で、自然災害も多かったと思います。札幌は大きな被害はありませんが、4月に熊本県で大きな地震がありました。

阪神淡路大震災、東日本大震災を経験し、政令市同士、広域での支援、連携態勢ができています。札幌もすぐに熊本への応援態勢をとりました。北海道でも台風・大雨による大きな被害もあり、災害への備え、危機管理について再認識させられました。

――ファイターズがリーグ優勝を決めたとき、パブリックビューイング会場として本庁舎1階ロビーを開放しました。市長も一緒に声援を送っていましたね。

秋元 南富良野町の子どもたちが話していましたが「災害があって大変だったけど、スポーツから勇気、感動をもらいました」と。市役所ロビーのパブリックビューイングは初めておこないましたが、ファンと一緒に一体感を持ち、感動を共有できました。

――スポーツで盛り上がる中、17年2月に冬季アジア大会が開かれます。札幌で開催される意義を教えてください。

秋元 アジア大会には、約30の国と地域から2000人を超える選手、役員が参加します。これは当初の想定を超える人数です。1972年に札幌でオリンピックが開催されたときの参加数が1655人でした。

実は札幌では、オリンピックの規模を超える大会なんです。まだまだ市民の中にアジア大会が知られていない面もありますが、そうした大会が2月におこなわれる、という話をしますと、一様に驚かれます。

JOCの方が話していましたが、「ぜひ、北海道、札幌で大会があるので行ってみたい」という問い合わせが各国から寄せられているそうです。

2018年に韓国・平昌、22年に中国・北京で冬季オリンピック・パラリンピックが開かれます。

間違いなく、アジアの人たちの冬のスポーツ、ウインタースポーツ・リゾートへの関心が高まってきます。アジア大会は、その流れの1つの象徴にもなります。「北海道に来て良かった」と言ってもらえるように、大会運営、食事、宿泊などの面で、おもてなしをしていきたい。それが26年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致につながると思います。

また、アジア大会は帯広でも開催されます。帯広は食も素晴らしいですから。帯広の米澤則寿市長とも「北海道のよさをアピールして、次のステップにつなげよう」と話しています。大変意義のある重要な大会になります。北海道のよさをしっかりとアピールしていきたい。

平昌、北京五輪の事前合宿を誘致

 

――招致に際しての道との協力体制は。

秋元 20年に東京でオリンピック・パラリンピックがあり、19年にラグビーワールドカップと、大きなスポーツイベントが続きます。

一方で、冬のオリンピック・パラリンピックに手を挙げる都市が少なくなってきています。

国内、国外情勢を踏まえて、勝つためにはどういうステップを踏んでいくのか。われわれはJOCの判断を待つことになりますが、自分たちができることをしっかりやっていこうと。

1つはアジア大会を成功させる。北海道、札幌のよさを売り込んでいくことが、招致活動にもつながっていくのではないでしょうか。

今回は「北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピック」という名称にしました。

ヨーロッパは札幌という名前のほうが浸透しているのですが、アジアでは北海道という名前が強い。お互いのよさをくっつけることに意味があります。

また、平昌、北京のオリンピック・パラリンピックの事前合宿のような話を、いろいろな国にアプローチしていますが、これは札幌だけで完結できるわけではありません。練習場という意味では、道内のいろいろな地域で合宿ができる場所があります。

16年4月、道、札幌商工会議所などと「さっぽろグローバルスポーツコミッション」を設立しました。この専門組織の活動を通じて、北海道で受け入れられる環境をつくっていきます。

オリンピック・パラリンピックを実現することだけではなく、それによってインバウンドのお客さんを増やしていくことが大切です。

――インバウンド対策として、市は飲食店検索サイト「ぐるなび」(東京)と連携協定を結びました。受け入れ環境の整備も重要になってきます。

秋元 国自体がインバウンドを増やしていくということで、そのための空港民営化の議論も起きています。飛行機で来た後の2次交通も重要です。そして宿泊施設も整備され、全体が底上げされるわけです。

札幌でも言葉の問題という課題があります。すべての標識や飲食店などで多言語対応することはなかなか難しい。

今回、ぐるなびと共同で、札幌市内の飲食店や観光地を外国語で紹介するホームページを立ちあげました。

たとえば、ジンギスカンといっても外国の人はわかりません。羊の肉を焼いてたれをつけると表記すれば、イメージが湧きやすいですよね。ハード、ソフトの両面で、受け入れ態勢をブラッシュアップしていくことが、これからのインバウンドの増加につながっていくと思っています。

地権者とまちづくりの方向性を共有

――市の経済対策については。

秋元 経済対策の柱として、企業誘致とあわせて地場企業の力をつけていくことが大切です。

そのためには人材確保が課題になっています。16年4月、東京に「札幌・U・Iターン就職センター」をつくりました。首都圏など道外の大学生には、札幌の企業の情報はあまりありません。

企業誘致についても、札幌は通勤時間が短く、首都圏にいるよりも生活コストが低く抑えられます。ライフスタイルも、早く帰宅できるので家族で過ごせる時間を多くとれます。札幌に本社機能を移した企業からは、そうした面を評価していただいています。

観光面ではプロモーションに力を入れていきます。中国、台湾などだけではなく、ベトナム、インドネシアなどの東南アジアにアプローチをしています。その成果も出始めています。

――市内中心部では、さまざまな地区で再開発が計画されています。どのように関わっていきますか。

秋元 一番重要なことは、それぞれの地権者とまちづくりの考え方を共有することです。

道庁赤レンガ前の北3条広場も、両側のビル所有者が単に建て替えるだけではなく、その後ににぎわいづくりにも参画してもらう。

これから始まってくるのは札幌駅の南側です。北海道新幹線が札幌延伸されたとき、駅周辺のまちづくり、人の導線をどのようにしていくのか。

いっぺんにすべての場所が同時に建て替わるわけではありませんが、一定の方向性を共有した上で、逐次建て替えていただきます。

――新幹線開通時の駅の場所については。

秋元 おおむね4者協議(市、道、鉄道・運輸機構、JR北海道)の中で、既存駅から東側の創成川の端までの範囲で、ホームを設置するコンセンサスはとれています。あとは改札口をどこにつくるのか。駅前のビルとどうつなげていくのかを議論していきます。

駅の技術的な問題は、鉄道・運輸機構とJR北海道で再度詰めていただく。まちづくりの方は、JRも入りますが、われわれと地権者で考えていく。

ヨドバシカメラが所有している南口駅前の土地も含めて、17年はまちづくり協議のレベルに入る時期になってくると思います。

――30年度予定の札幌延伸前倒しの活動も大切です。

秋元 道南、新函館北斗駅まで新幹線は来ましたが、いまの状態だと人の流れは道南周辺にとどまっている印象です。札幌までつながることで大きな意味を持ってきます。2次交通により道東、道北につなげる。高速バスで周遊するとなると、都心へのアクセスの問題もありますので、しっかり整備していきます。

――待機児童対策ですが、保育士の確保に力を入れていますね。

秋元 札幌市の子育て対策については、比較的早い段階から進めてきました。国定義の待機児童は少ないのですが、潜在的な方はまだまだいらっしゃいます。

受け皿を増やすという意味では、補正後の16年度予算で1000人規模で拡充することになりました。

人材確保のほうは16年10月に、資格を持っていながら家庭に入られている方を対象に、もう一度保育士として働けるよう相談に応じたり、マッチングを促進したりする「札幌市保育士・保育所支援センター」を立ちあげました。今後の人材確保につながっていけばと考えています。

=ききて/前田圭祐=