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Interview

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“オール北海道”で国にJR支援を要請掲載号:2017年1月

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高橋はるみ 北海道知事

「輝きつづける北海道」は高橋はるみ知事が使うフレーズだ。その実現に向けて東奔西走し、北海道ブランド力向上、外国人観光客の増加といった成果も出てきた。一方、JR北海道の路線廃止問題など新たな課題もある。高橋知事はどう向き合うのか。(取材日=11月30日)

一番列車の迎え入れは一生の思い出

――2016年はどのような1年でしたか。

高橋 まず、自然災害が多く発生した1年であったと感じています。特に8月には、3つの台風が相次いで上陸し、観測史上初めてのことでした。道路や橋梁、鉄路だけではなく、第1次産業も大きな被害を受けました。現在、懸命な復旧・復興作業をおこなっております。

6月には函館・道南で大きな地震も発生しました。私も発生直後に現地へ向かいましたが、幸いにして大きな被害はありませんでした。地元の方々は比較的冷静に対応されたと思います。

その一方で、3月26日に北海道新幹線が開業し、私たち道民にとって大変喜ばしい瞬間でした。長年にわたり誘致活動をやって来られたみなさんと、一番列車を迎えることができました。

開業当日の朝は寒かったですが、昼はスッキリと晴れわたり、ブルーインパルスの祝賀飛行も素晴らしかったですね。

道民のみなさんと開業日をお祝いできたことは、私にとって一生の思い出です。本当に幸せ者だと思っています。

そして秋になってうれしかったことは、北海道日本ハムファイターズの日本一です。ペナントレースでは10ゲーム以上首位と離された中での逆転優勝でした。道民の1人として元気をいただきました。本道にとっていいこともあり、厳しいこともあった1年でした。

――ここ数年で道内を訪れる外国人観光客が増えています。

高橋 安倍政権のもと、日本全体でインバウンド6000万人という高い目標を掲げています。

北海道に関して言えば、一朝一夕で観光客の増加につながったとは思っていません。5年、10年の長い期間にわたって、それぞれの立場で「北海道はいいところだよ」「北海道にはおいしいものがある」というPRをしてきました。

道内では中国、台湾、東南アジアを中心に、インバウンドは年間200万人を突破しました。これは日本全体が2000万人なので、約1割に相当します。この盛り上がりをしっかり高めていきたい。

その戦略の1つとして、空港の民営化があげられます。現在、一歩一歩進めさせていただいています。

20年の東京オリンピック・パラリンピックを目処に、民営化スタートに向けて取り組む。菅義偉官房長官ともお約束しています。

そこに向けてのステップとして、北海道としての意見を取りまとめて、開会中の道議会に提案しているところです。

同時に国、道、市が管理する道内7空港所在自治体の議会の議論を経て、われわれとしての考え方を一本化。国への提案を正式におこなっていきます。

それに合わせて、道内の宿泊施設の整備、人材の養成、CIQ(税関、出入国管理、検疫)の充実も図ります。北海道商工会議所連合会との会合では、空き家を活用した民泊を推進してほしい、という話もでました。さまざまな形で、北海道における観光客の入り込みを増やしていきます。

北方領土問題解決に資する経済交流

――12月15日に安倍首相とロシアのプーチン大統領が山口県で会談します。北方領土問題解決の前進も期待されています。北方領土問題、ロシアとの経済交流の推進策などを教えてください。

高橋 1945年の第2次世界大戦終了後、われわれは4島一括返還を求めて運動してきました。

私は国後、択捉、色丹を訪問したことがあります。北方領土問題については、実は少しずつ動き出していることもあります。たとえば、ビザなし交流は、90年代初めに、当時の日ロ間の合意に基づいて、それぞれの主権に影響を与えないような枠組みでスタートしました。

島が戻ってくることが地元の求める理想の姿です。人の交流はできている中、経済特区などの枠組みができることを前提に、北方領土で商行為ができるようになることは、大きな前進です。いま住んでおられるロシア島民の方々に、日本の経済力、技術力を理解してもらうことが、重要なことだと思います。

島が帰ってくるときには、〝共生〟をしていかなくてはなりません。商行為は領土問題解決に向けての歩みになると思っております。

12月1日、根室市など1市4町でつくる「北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会」(北隣協)の主催するパレードが、東京都内であります。私も上京して一緒に行進してきます。東京だけではなく、札幌、14振興局で同時に啓発活動も実施します。

また、北方領土問題と並行して極東地域での経済協力も、順次推進していきます。北方領土を抱える北海道として、返還運動の環境整備に資するという思いに加え、人口減少をはじめとして道内が厳しい問題を抱えている中、一番近い外国の1つがロシアです。

そうした極東地域の企業、地域と経済的に連携することは、北海道の将来の活性化に資することにもつながります。

JRに路線見直しで3つの申し入れ

――26年の札幌・冬季オリンピック・パラリンピック開催に向けて、誘致活動を進めています。

高橋 秋元克広札幌市長も同じ思いですが、まずは17年2月の冬季アジア大会を成功させなければなりません。

大会期間中、各国のオリンピック・パラリンピックに関係する方々も多くいらっしゃいます。おもてなしの心で迎えることが大切です。その後に冬季オリンピック・パラリンピックの誘致になりますが、札幌市と連携して進めていきます。

ただ、20年の東京オリンピック・パラリンピックの会場が、まだ決まっていない競技種目もあります。

地方交付税の不交付団体の東京都ですら、節約、節約と言っておられる状況です。札幌市は道よりもお財布は豊かだと思いますが、交付団体です。道の財政事情はもっと厳しい。

最小のコストで、最大のパフォーマンスができる環境整備なのかを見極めた上で、果敢に手をあげて誘致活動を展開する必要があります。

――JR北海道が11月、道内10路線13区間の廃止・見直しの意向を表明しました。道としてこの問題にどのように向き合っていきますか。

高橋 道が主体となり、鉄道網のあり方を検討する作業部会を設け、11月22日に1回目の会合を開催しました。

有識者、北海道市長会会長、北海道町村会会長に地域の代表として入っていただき、もちろんJR北海道も参加しています。

ここでは、鉄道網のあり方や課題への対応策について、集中的な議論をしていただきます。

JR北海道の発表によれば、このままの経営状況が続くと、3年後くらいに資金的に厳しい状況になる、と聞いています。そのため、路線問題の結論を得ていくのに時間的な余裕はないと思っています。

ただ、先日、島田修JR北海道社長が私のところに説明にいらっしゃったとき、3つのことを申し入れしました。

1つは民間企業とはいえ、鉄道網という公共的な色彩が強い交通手段であるという認識を、あらためて持っていただきたい。

2番目に経営環境が大変なことはわかりますが、拙速な議論ではなく、丁寧に地元と向き合っていくことをお願いしたい。

最後に管理費の縮減を始めとする、経営のさまざまな面でのコストカットなど、自助努力を示していただき、説明責任を果たす。そうでなければ、なかなか道民、沿線自治体の方々は理解しないのではないか、というものです。

沿線自治体とJRが協議をおこなうことになれば、道もしっかり参画して議論を深めていきたいと考えています。

また、JR北海道への財政支援を、国に求めていかざるを得ませんので、〝オール北海道〟として、国にしっかり提案、要請していきます。

アイヌ民族との共生認識を深める

――北海道は18年、「北海道」と命名されてから150年を迎えます。それに合わせて記念事業を実施します。

高橋 そうですね。150年事業は道民をあげて実施しようと考えています。

16年6月に「北海道150年道民検討会議」を立ち上げました。各界、各層の方々のご意見も頂戴して、事業実施の基本方針が決定しました。

道も予算措置を講じますが、包括連携協定を結んだ民間企業・団体を中心に、多くの民間からも協力をいただきます。17年は前年にあたり、未来の北海道を担っていく若い人たちの意見も聞いていきます。

今回、100年の時の事業と決定的に異なるのは、北海道の歴史、文化を支えてきたアイヌ民族への思いを伝える部分です。アイヌ民族の方々との共生という認識を、われわれ道民が深め、次の50年につなげていく。

20年の民族共生象徴空間オープンに向けて、白老町に国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園の整備が進められています。このあたりも踏まえて、記念事業を実施していきます。

――最後に17年の抱負を聞かせてください。

高橋 アジアを中心に「北海道ブランド」の認知度が高まってきました。17年はもっと売り込みたい、そして輸出を増やしていきたい。あわせて観光客にも多く来ていただきたいですね。私は最近、「輝きつづける北海道」というフレーズを使っていますが、これからもその実現に向けて邁進していきます。

=ききて/前田圭祐=