「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > インタビュー

Interview

このエントリーをはてなブックマークに追加

あらゆる手段で安倍政権の暴走を止める掲載号:2015年12月

photo

出村良平 連合北海道新会長

 昨年に続いて春闘では好結果を得た連合北海道。ただその影で派遣労働者法、TPP、安全保障など道民に影響必至の問題が次々噴出している。10月29日に新会長へ就任した出村良平氏に、山積する課題への対応を聞いた。

雇用の質が上がれば地方創生に寄与

――渡島管内上磯町(現・北斗市)に生まれ、北海道大学卒業後の1983年4月に道庁へ入庁。
出村 配属は上川支庁(現・上川総合振興局)でした。ちょうど、横路孝弘現衆院議員が道知事に初当選した年。道と市町村との関係をはじめ、北海道の将来を考える機運が高まっていたころでした。
――全道庁労働組合での活動を始めたきっかけは。
出村 当時の職場に青年婦人部というのがあって、そこへ参加したのが始まりです。若い時は何でも下積みと称して経験させられるものですが、上川支庁は活発に活動だったこともあって、組合の専従になったのも自然の流れからでした。
――92年から札幌の全道庁本部へ。96年に道庁を退職し、2001年に自治労全道庁書記長。07年に自治労全道庁委員長、そして11年から連合北海道事務局長となりました。
出村 今にして思えば圧倒的に職場経験が少ないんです(笑)。最初は先輩後輩の義理人情でかかわりましたが、次第に組合の必要性を感じていきましたね。
――連合北海道の会員数は。
出村 25万5000人ほどです。11年に工藤和男前会長が就任された時からは1万人減っています。ただ道外へ移転する企業などがあって、登録上の人数と実際に連合北海道の活動に参加する人数は違っています。
――ここ2年の春闘ではアベノミクスの影響もあって、全国的に賃上げの空気が高まったと思いますが。
出村 今年は加重平均で5048円、2%のベースアップでした。ただ、14年4月の消費税増税や円安による物価上昇をカバーできているかといえば、そうではない。中小企業労働者や非正規雇用者への賃上げも不十分です。
――道内の非正規雇用者は96万人いると推定されています。労働人口に占める割合も本州より高い。
出村 非正規雇用者向けの労働相談はこの5年間で1万件も来ています。産別の組合を通じて、相談をきっかけに組合を立ち上げるといった事例もあります。正規雇用に転換するような働きかけもしています。
――アベノミクスの効果が行き届いていないという声は道内に多い。
出村 成長戦略といいますが、円安が続いたままなら、第1次産業の割合が大きい北海道はデメリットのほうが大きいんです。主要な産別組合を抱える北海道電力やJR北海道が厳しい状況。給与がなかなか上がらないとか、ボーナスが出ないという事態になっています。道庁も職員がかなり減ってきている上に、給与は下がったまま。給与の独自削減をやっている自治体なんて、全国でも少数です。地方創生というなら、まず地方で働く職員の給与を元に戻してほしいと言いたい。
――連合北海道としても、道に雇用政策などで提言をしています。
出村 道央圏以外の地方は家賃もそう高くありませんから、ある程度賃金が確保され、安心して働くことができれば定住も可能です。雇用の質を上げるという点から、地方創生をする必要があると思います。
――自民党・安倍晋三政権は9月に労働者派遣法を改正しました。
出村 この法改正は派遣労働を一層拡大させようとするものです。アベノミクスの成長戦略は、一方で働く人たちをコストとしてしか見ていない傾向がある。派遣という働き方は一時的、臨時的なものというのが世界標準です。連合のアンケートでは、派遣労働者の半数以上が正規雇用を希望しているという結果があります。この法改正は派遣雇用の固定化を招くもの。国会論議やわれわれの働きかけもあって、39もの付帯決議がつきましたが、実効性は不透明です。労働者保護のため再度の法改正を訴えたいと考えています。

他の団体との共闘は大きな課題

――泊原子力発電所の再稼働に向けた審査が続いています。
出村 連合北海道としては、他の地方連合会に先駆け、堀達也知事時代の2000年にはすでに原発を過渡的エネルギーと定めています。その後、福島第一原発の事故後、連合本部も将来的には原子力エネルギーに依存しない社会を目指すとしています。産別によって考え方は違いますが、泊原発や大間原発(青森県)を含めて、将来的な脱原発を打ち出しており、現在も考え方は変わっていません。
――10月に基本合意したTPPについては。
出村 全国の連合それぞれで、少しずつ考え方が違う部分があります。たとえばトヨタ自動車系列の組合が多い愛知県のように、輸出産業の産別組合が組織内で多くを占める場合、どちらかというと賛成という地域もあるからです。
北海道は第1次産業のウエートが大きく、道経連や道庁も悪い影響が大き過ぎるということで、反対の立場を取っています。連合北海道としても、オール北海道で対応していきます。そもそも、コメなどの重要5品目の問題を見ても、事前の国会決議が守られているかといえばそうではない。合意内容は明らかな決議違反であると考えます。まずはそのあたりを国会の場で早急に明らかにしてほしいと思います。
――安全保障関連法案も9月に強行採決されました。
出村 これも実は、各産別で考え方に違いがあります。平和を守る、憲法を守るという部分は一致していても、集団的自衛権の行使自体が絶対ダメというところから、部分的には可能ではないか、というところまであります。ただ今回は、それまで自民党政権下で取ってきた憲法解釈を変えてまで法改正をした。これは違憲だ、という部分で一致して反対運動をしたんです。
――SEALDsのような新しい動きもありました。
出村 反対運動を力強いものにするためには、そうした団体との共闘も当然考える必要があって、大きな課題だと思っています。でも全面的に共闘する、となるとまた違う問題が出てくる。たとえば反原発を掲げているようなところとは、なかなか難しい。今回の安保法案については、札幌弁護士会さんとかなり連携を取って運動してきました。札弁さん主催の集会には、連合という名前ではないですが一緒に参加しましたし。その時は全労連さんなど他の組織も加わりました。今後も勉強会やシンポジウムを開いて、この問題を風化させないようにするつもりです。

民主党はもう一度政策からやり直せ

――安倍政権が一定の支持率を維持する一方、民主党の支持率は伸び悩んでいます。
出村 率直に言って、国民の信頼を得るに至っていないと思います。それは北海道でも同じです。ただし、労働者派遣法などで頑張ってくれた面もあります。頑張っただけでは、勢力を盛り返すことは難しいとは思いますが、連合と民主党の考え方は一致しているし、信頼関係も変わりません。
――盛り返すために必要なことは。
出村 地方回りや街頭演説をするとか、汗をかくことは当然必要です。その上で、次の政権を取るための構想と政策を、もう一度整理すべきだと思います。
――具体的な政策とは。
出村 政策で言えば、安保法案についてもそうですが、年金と社会保障、そして消費税などの税制。ここの合意をまず党内でしっかり形成してほしい。政権を担っていた当時、掲げてきた政策は一つ一つを見ればいいものもありました。子ども手当や高校の学費実質無料化などは、自民党も所得制限などを入れて修正しながら、自分たちの政策として採用しています。もう一度そういう政策を掲げて、政権を取る力があるところを示さないといけない。
――16年は衆院道5区の補欠選挙と参院選が控えています。
出村 補選は全国的に非常に注目を集める選挙になるでしょう。参院選の前哨戦という位置付けですから。維新の党などとの共闘も考える必要があります。
――共産党も〝国民連合政府〟の樹立に向けて共闘を呼びかけています。
出村 考え方としてはありだと思いますが、なかなか難しい面もあります。
――参院選の対応は。
出村 まず現職の徳永エリさんの当選を目指します。
――議席が2から3に増えます。道内固有の問題に対処するという意味で、連合北海道独自の候補を擁立するという考えは。
出村 今回は考えていません。ただ民主党北海道は、複数擁立を考えているので、今後の課題ではあります。道選挙区だけではなく、比例区で各産別の候補が12人も出馬を予定しています。産別で割り振りして戦うということは、その候補の名前を書いて投票させる必要があるということ。これは簡単にはいきません。
――17年4月の消費税再増税をにらんで、来年また衆院選があるのではという予測もあります。
出村 まず参院選で与野党の構成を変えないといけない。そこが1つ。その上で、次に政権を取るためのビジョンを明確に打ち出せるかどうか。安保法案も労働者派遣法も数の力で強引に成立させていった。これに対して、そうじゃない、ということ、まず人を大事にする政治にすること。民主主義と平和を守る、そういう戦いをして、安倍政権の暴走を止める必要があります。
そのためには政策が一番大切。民主党政権下での大きな失敗は、沖縄の普天間基地問題だと思っています。沖縄とどう向き合うかというのは、民主党がもう一度政権を取ることを考えた時に、改めて考えなくてはいけない課題です。
そして北海道はTPP問題を抱えています。北海道にとってのTPPは、沖縄の基地問題と似た要素がある。逆に言えばもう一度政権を担う上で、1つの試金石になると思っています。

=ききて/清水=