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Interview

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「1次産業を強くすることが経済復活の早道」掲載号:2009年6月

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林 正博 北海道森林組合連合会会長

経済状況の悪化で木材需要が急減。ここ数年、好調だった林業に逆風が吹き荒れている。林正博北海道森林組合連合会会長に今後の展望を聞いた。

――――ちょうど1年前、道産カラマツが建築材として非常に人気ということでしたが…。
残念ながら大きく様変わりしています。いまの国内経済と同じ状況で、昨年11月くらいから木材に対する需要が急激に減った。住宅着工件数が大幅に減少し、住宅向けの集成材(木材を張り合わせたもの)や梱包材の出荷が特に落ち込んでいます。
道内の木材の供給量は年間約400万立方メートルぐらいですが、新年度は前年より3割から4割くらい落ち込んだところからの厳しいスタートが予想されています。
2009年度トータルでは1割強くらい減少する見込みです。底は打ったと思うので、今後の経済の回復に期待を込めています。
林業は木を植えて、育てて、切っていくというのが仕事ですが、環境問題などのからみで国が造林関係の予算を増やしてくれています。森林組合としてはその関係の山づくり、木を育てる方にウエートを移して、伐採量を抑える方向に持って行きたいと思っています。
――――林業が抱える課題にはどんなものがありますか。
1つは後継者問題。道内には約4000人の林業従事者がいるのですが、個人で山の手入れをすることが難しくなってきています。ここ最近は木材の需要が高かったので結構木を切ったんですが、その後の造林が進まず、切ったままの状態のところが増えている。
木は植えてから伐採まで40年、長ければ60年かかります。その間、手入れをしてやらないといけない。植えてから3年から8年は雑草に負けないように下 草を刈る。40年の間に3回は間伐をする。こうした作業にカネがかかるのですが、国の補助は7割程度で、あとは自分で負担しなければならない。そうして何 十年も育てていかないとだめで、すぐにカネにならない。だから、最近は山を子供にやるといっても「いらない」と断られるケースも増えています。
もう1つは外材との関係。いまは関税がほぼゼロです。木材の価格には絶えず外国の動向が影響しています。
例えば、ロシアは木材加工業を育成する目的で、国外への丸太の輸出の関税を今年から25%から80%に引き上げる予定でした。景気悪化の影響で1年延期になりましたが、これが引き上げられるとロシアからの木材の価格が上がるので、日本の林業にとって追い風になります。
――――林業が元気になると北海道経済にどんな利点がありますか。
山の仕事は基本的に機械ではなく、人がする作業が多い。雇用などの面では非常に効果があります。国も雇用の受け皿として、山の仕事にウエートを置いていて予算を増やしています。それぞれの地域、特に山村地域では経済にいい影響が出ると思います。
山村地域では林業の占めるウエートが大きいところがあって、林業がなくなるとマチがつぶれるというところもいっぱいあります。
企業の誘致などで経済を活性化することもできますが、資源に根ざした産業を強くしていくことが基本。私は1次産業、農・林・漁、ここが強くなることで北海道経済の再生に大きな影響を与えられると思います。
北海道はどうしても本州への輸送コストが高くつくので、対策を練らないといけません。例えば、現在は単純な加工をしただけの木材の出荷が多いが、少し手を加えたものを製品化していく努力が必要だと思います。

=ききて/安藤由=