「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > インタビュー

Interview

このエントリーをはてなブックマークに追加

「私は道民の先頭に立って働く!」
北方領土問題、新幹線札幌延伸、行財政改革
掲載号:2009年1月

photo

高橋はるみ 知事

08年は北海道洞爺湖サミットの開催、アイヌを先住民族とする国会決議など、本道にとって画期的出来事があった1年だった。だが、その一方で道内の景気は厳しさを増すばかり。 09年は課題の多い年になりそうだ。高橋はるみ知事に新年にかける決意を聞いた。

行財政改革を粛々と進める

--------09年に向けた抱負をお聞かせください。
高橋08年は北海道洞爺湖サミットがあり、北海道の名前を世界に広めることができました。道経連の試算によりますと、サミット開催に伴う直接的経済効果は350億4700万円、開催後5年間の経済効果は283億6300万円となっています。 さらに北海道洞爺湖サミットの報道を通したPR効果は、広告費に換算しますと約1013億円(北海道洞爺湖サミット道民会議による委託調査結果)にも及んでいます。
ただ、サミットの開催直後に世界的な原油高、金融不安が発生、道内経済も厳しい状況に置かれ、サミット効果を十分には享受できる状況になっていないことは残念です。
09年にまず私がやらなければならないことは、道民生活を取り巻く厳しい環境を、国の力も借りながら改善することだと思っています。
加えてサミットでメドヴェージェフロシア大統領が初めて北海道を訪問され、その後、ラヴロフ外務大臣も来道されました。私は北方領土問題解決に向け、物事が少しずつ動き始めていると感じています。 さらなる歩みを進めるために行動していきたいと考えていますし、両国の間で何か具体的な1歩を踏み出してほしいという思いを強くしています。
  また、08年はアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が国会でなされました。ウタリ協会代表の加藤忠理事長や私も入っている政府の有識者懇談会で議 論が進んでいますが、しっかりとした形にしていきたいと考えています。すなわち前回は文化振興法ということで一歩の前進はあったのですが、 そのときに積み残されたアイヌの方々に対する生活支援や教育環境の整備など大きな問題を解決するよう、加藤理事長とも協力して国の政策を動かしていきたい と思います。
道民の皆さまの英知と力を結集し、北海道の可能性を最大限まで発揮させることで、この難局を乗り越え、新たな年を未来に向けて踏み出す明るい希望の年としていきたいと思っています。
--------行財政改革の推進も大きな課題だと思います。
高橋行財政構造改革をスタートさせて数年たちます。粛々と一歩一歩進めているのですが、景気の不透明感が大きくなり、道税収入も落ち込むなど、歳入面で多くの問題が出てきています。 しかし、道内の景気がこれだけ悪くなりますと、財政規律にしっかり目配りをしながらも、めりはりのある形で道内経済への支援はやっていかなければならないと思います。
こういった中で、行財政改革はしっかりと進めていかなければなりません。最近、試験研究機関の独立法人化の素案を出しました。職員数適正化計画のさらな る深掘りも道議会に議論していただいています。 そのためには組織の見直しをさらに行っていかなければなりません。支庁制度改革の議論が先行している感がありますが、本庁のあり方も(1)政策機能・地域 振興(2)暮らしの安全・安心などの道民生活(3)環境(4)第一次産業の連携(5)社会基盤整備----の5つの視点から見直していきます。いずれにし ても道組織の見直し方針について、道議会での議論、行革推進会議での議論などを経て、08年度末に取りまとめます。 道政運営の最適化を進めながら、地域経済にも配慮しつつ、簡素で、効率的、機動的な「道民のために働くコンパクト道庁」の構築を目指していきます。
--------支庁改革はどうしますか。
高橋支庁制度改革にあたっては、市町村や地域の方々のご理解とご協力が大切であると考えています。公職選挙法の改正にかかわって、地域との話し合いについてのご指摘をいただいたところです。
現在、地域振興条例(仮称)の策定にあたり、市長会や町村会の推薦をいただいた首長さんらによる検討懇話会や、地域の方々との意見交換会を開催するなど、今後の地域振興についてご意見をうかがってきています。私としては、 こうした地域との対話などを通じて、道の取り組みに対する理解が得られるよう、さらに努めて参りたいと考えています。

実り多かったロシア極東訪問

takahashi_3--------新幹線札幌延伸は剣が峰にきてますね。北陸にだいぶ押されている状況のようですが…
高橋大変厳しい状況であることは事実です。問題は未着工区間3線で必要とされる約2兆円の工費の「財源」です。
--------札幌から着工するという案もあるそうですね。
高橋そういう考えもありますが、いずれにしても、札幌までの一括認可が大前提だと考えています。札幌延伸を願う50万人署名などが証明するように、道民は大変盛り上がっています。この熱意を中央にぶつけていきます。
--------近隣諸国との関係強化については、どのようにお考えですか。
高橋道は近隣諸国との間で友好提携や交流趣意書などを交わし、長年にわたり幅広い分野で交流を実施してきました。
中国・黒竜江省とは、経済代表団を相互に派遣し、ロシア・サハリン州とは、北海道サハリン事務所や現地の北海道ビジネスセンターによる道内企業への支援 など経済交流を活発に行っています。韓国とも農業技術者の交流や道内の青年の派遣など人的交流を積極的に実施しています。
今後も、自治体間交流によって培われた人的・物的ネットワークや道の海外事務所などの機能を活用しながら、人的交流や経済交流はもとより、IT、バイ オ、環境といった分野で共通する課題の解決に向け、市町村や関係団体などと連携しながら近隣諸国地域との国際交流を積極的に推進していきます。
--------08年10月、ロシア極東3地域を訪れましたね。
高橋私がサハリン州を訪れたのは3年ぶり2度目。沿海地方及びハバロフスク地方は初めてで、北海道 知事としても久しぶりの訪問でした。いずれの地域も、経済の好調さを反映して活気づいています。ロシア極東地域の成長の一端を垣間見ることができ、北海道 とのビジネスの拡大の可能性を実感しました。行政機関、道議会、経済界のトップなどによる訪問で、サハリン州やロシア極東大陸地域との交流にはずみをつけ ることができたのではないかと考えています。
「北海道とサハリン州との友好・経済協力に関する提携」締結から10周年を迎えたサハリン州においては、今回の訪問で「北海道とサハリン州との友好・経 済交流促進プラン」を採択し、新たに友好分野での取り組みも位置づけるとともに、両地域の企業間における貿易、投資の拡大のための商談会や投資プレゼン テーションの開催など、ビジネスオリエンテッドな協力に重点を置くこととしました。
特に、双方が関心を示した道路や住宅などの建設、環境・エネルギー、観光や農林水産業の分野は、北海道が優れた技術等を有する分野でもあり、重点分野としてプランに採用しました。
沿海地方及びハバロフスク地方での知事会談では、寒冷地土木・建築技術、道産食品の輸出促進、観光の分野などを中心に、経済交流を拡大していくことを提案 しました。これに対し両知事から、「北海道との経済交流を強化していきたい」との話があり、特に北海道の寒冷地土木・建築技術への期待が示されました。ま た、経済交流の強化のためには航空路線の開設が必要との認識のもとに、直行便の開設に向け、お互いに協力していくことで一致しました。

中小企業対策、産業構造転換を進める

--------経済・景気対策についてお聞かせください。
高橋原油、原材料価格の高騰は、産業活動や道民生活に大きな影響を及ぼしています。加えて、世界的な金融市場の混乱で本道においても、資金繰りなどの面で中小企業の経営環境への影響が懸念されます。
道では08年10月、緊急総合対策として(1)原油・原材料価格高騰への対策(肥料・燃油価格高騰緊急対策、低利な漁業用設備資金の融通、生活交通路線 維持対策等)(2)道民の不安解消に向けた対策(母子寡婦福祉貸付事業、防災対策など)(3)中小企業の経営環境悪化への対策(中小企業金融対 策)------の実施を決めました。
中小企業への金融面での支援としては08年度、「新生ほっかいどう資金(通称=新たんぽぽ資金)」に、短期融資枠を設けるとともに、長期資金の融資期間 及び融資限度額を拡充しました。また、中小企業向けの低利融資制度である「中小企業総合振興資金」による「経営安定及び事業活性化のための資金供給」を 行っており、その中に緊急対策として、融資条件の面で有利な「原油・原材料高騰対策特別資金」を創設しました。(別項「特集・カネの借り方」参照) 一方、05年度の統計によると、GDPに占める製造業の割合は全国が21・0%なのに対し、本道は9・3%にすぎません。また、道内需要の内訳は民間需要 が68・2%で公的需要が31・8%となっています。全国平均の公的需要の割合は22・8%です。北海道の産業構造は、(1)2次産業、特に製造業の比率 が低く、とりわけ加工組立型工業のウエートが低い(2)公的需要への依存度が高い---というのが特徴です。
道は中長期的な対策として、力強い産業構造へと転換を図らなければならないと考えています。そのため、自動車関連産業や電気・電子機器産業など経済波及効 果や雇用創出効果の高い加工組立型工業をはじめとする「ものづくり産業」などの誘致に引き続き取り組むとともに、「食」や「観光」といった北海道の持つ 「強み」を最大限に活用できる分野や、「IT」「バイオ」など、成長の可能性が高い分野の振興に力を入れているところです。
また、中小企業は、地域経済の中心的な担い手です。北海道経済を元気にするためには、中小企業を元気にすることが不可欠です。このため、地域資源を活用 した新産業の創出、道内中小企業の競争力の強化、経営革新による事業化、産業クラスター形成などを支援する「中小企業応援ファンド」を08年8月に組成し たほか、農商工連携の推進などにより、本道の豊富で良質な農林水産資源を活用した新製品の開発、新事業の展開、産業クラスターの形成促進を図っています。

=ききて/08年11月27日取材 酒井雅広=