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Interview

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「現職全員落選が最良の政界再編」掲載号:2009年2月

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森田実 政治評論家

政界再編に関する政治評論家の森田実氏の提言は、激烈だった。日本をダメにしているのはブッシュ政権に追随した新保守主義・新自由主義者で、彼らと考えを同じくする現職国会議員は「全員落としてしまえ」と言うのだ。

麻生内閣は長くても7月まで

--------麻生内閣の命脈は?
森田1番長く存続しても09年の7月ころまでです。なぜかというと、麻生内閣で選挙をやって勝つ見通しが立たないからです。選挙をやるためには、党首を取っ換えないと無理。しかし、今度は新しい総理が誕生しても即、選挙ですから、選挙管理内閣になります。
そのうえ、これだけたたかれると、いかに政治家が鈍感でずうずうしいとはいえ、弱ってきます。麻生さんは精神的にも弱っている状態だと思います。この人 で選挙をやらないとなれば、みんなでこき下ろしてもいいわけです。政権の求心力はますます弱まりますし、本人の気力も弱まります。
まあ予算を成立させるまでは自民党内にも麻生内閣を支える力はあると思いますが、予算成立までが第1のヤマ場です。もうちょっと粘ろうという力が働けば、通常国会終了までいって総辞職だと思います。
麻生さんは指導力も見識もないから、右往左往で、今日は右を向く、明日は左を向く、明後日は真ん中を向く、それを繰り返し、ぐるぐる回っているだけです。結局、次の総裁候補が2、3人に絞られてくるまでの時間稼ぎ、つなぎです。
--------党内の反麻生派の動きは激しくなりますか。
森田そうです。ただ、いま表に立って批判している人たちが、次代をリードする可能性はほとんどありません。
彼らは結局、滅びつつあるから決起せざるを得ないわけです。小泉さんの一党は、滅びつつある勢力なんです。

中央を牛耳る新自由主義者

morita_2--------選挙後に政界再編が起きる可能性はありますか。
森田世界の流れは唯一の超大国・アメリカが崩れ、パクス・アメリカーナの秩序が崩壊し無秩序状態になっています。各国は「アメリカに頼らない新たな国際秩序をつくらなければ、世界の将来はない」と自覚しています。
先進国で依然として「アメリカについて行きます、どこまでも」と、ほとんどの政治家が言っているのは日本だけです。世界が“脱アメリカ”になっていると きに、日本だけが時代遅れです。しかも、ついて行こうとしている相手は、レーガンやブッシュの共和党路線のアメリカなのです。
新自由主義は破たんし、世界ではもう支持を失っています。また、世界はアメリカに「もう戦争はやめてくれ」と言っている。戦争でカネを使いながら、経済 を再建することができないことは、自明の理です。オバマが「アフガン戦争を続ける」と言っていることに対して、露骨に言わないけれども、「大丈夫か」と 思っている。だから、みんな静かに戦争から手を引こうとしているわけです、イラクからもアフガンからも。
そんなときに与野党一致して「アフガンに行きます」と言っているのは、日本だけです。だからこそ、大連立はできる可能性があります。民主党に至っては「自衛隊を送って戦闘をしても、国連決議があれば構わない」と言っているのですから。
今度立候補する人たちはある意味、ほとんどが“改革派”です。彼らが唱える日本の改革とは、「日本型システムは悪い。これを変えて、アメリカ的システム に移行する」というものです。小泉改革の支持者なのです。「ネオコン」「新自由主義」「小さな政府」はもう失敗し、これを越えていかなければならないとい うのが世界の流れだというのに、日本の政治家は与野党ともにほとんどが、まだこの改革派。「日本型システムがいい」と言っているのは、少数派です。
日本国民の多くは目覚めたにもかかわらず、政治家のほとんどがレーガン、ブッシュの共和党にマインドコントロールされたまま脱していない。リーマン ショック、株の大暴落、首切り大失業、年末倒産の続出など、容易ならざる事態になったのは、「アメリカ的新保守主義、アメリカ的新自由主義の破たんであ る」「弱肉強食的経済運営の破たんである」と国民は分かっているのですが、政治家と中央省庁の官僚、中央のメディア、中央の学者は分かっていない。
最もたちの悪い人たちが権力を握っている。最も無理解な連中、最も古い連中、最も捨てなければならない間違った考え方に凝り固まっている連中が、政界、 官界、学界、経済界、そして東京のマスメディアを支配しているわけです。これらを一掃しない限り、日本はまともな国にならない。
--------しかし、次に立候補する人たちが同じなら、何も変わらないのでは…
森田アメリカに留学し、「共和党的なアメリカ的生き方がいいんだ」と考えた連中が帰国。彼らは自民党から選挙に立ちたかったが、自民党は2世3世ばかりでいっぱい。だから民主党にわらじを脱いだ。いま候補者に任命されているのも、そういう人間なんですよ。
そんな考えの人間の時代はすでに終わっているのにもかかわらず、古い政治が続いている。しかも、そういう人間ばかりで争うから、罪の大きい自民党・与党 が落選し、同じ考え方を持っていても罪の少ない、あるいはまだ罪を犯していない者が残るということで、民主党政権が誕生する可能性がある。しかし、これは 人が変わるだけで、理念が変わるわけではない。基本政策が変わるわけではない。
いままで罪を犯してきた人間は、一般国民から徹底的にたたかれるので何もできない。ところが逆に、野党であるがゆえにまだ罪を犯していない民主党が政権 を取ると、「行くぞ~」とアフガンに自衛隊を送る恐れがある、戦争をしてしまう、アメリカの言うとおり何でも動く、という危険性があります。

中間層を中心に経済を運営すべき

morita_3--------暴走の可能性がある?
森田古い言葉を使わせていただくと、反動的イデオロギーによるところのファシズムの可能性がある。このようにものすごい不況がきて失業が増えると、ファシズムの危険性、独裁政権の危険性、戦争の危険性は、マッチをすれば燃え上がることもあり得ます。
東京にいると分かるのですが、中央メディアから、官庁、財界、学者まで、オール小泉支持者なんです。地方は切り捨てる、貧しい人たちは切り捨てると、メ チャクチャやってきた小泉の暴走を何が何でも止めないと大変なことになると思い、私は07年の参院選挙まで民主党を支持しました。選挙の結果、当時は安倍 政権でしたが、小泉的な勢いを止めたわけです。
ところが、その後、小沢さんは大連立に走ってしまった。その中身は国連決議があれば集団的自衛権を行使できる、憲法9条の解釈を変えられるから、アフガ ンの軍事行動に参加しようということです。戦争と大連立はセットになっていたのです。このときは根回し不足のため失敗したが、大連立をつぶした側が、「小 沢さん辞めないでください」「あなたの自由にしていいですよ」と言ってしまった。つまり民主党は大連立とアフガン参加路線を否定しなかったのです。
だから、民主党が政権を取れば、小沢主導の大連立が成立し、アメリカと一緒にアフガンで戦争を戦うという政権になる可能性が非常に強い。それを小沢さん は「世界」07年11月で全部言っている。私は「この重要な問題を民主党の中できちんと議論してくれ」と1年間要請してきましたが、民主党は一切議論 シャットアウトです。小沢さんに逆らわない事実上“小沢独裁体制”になっています。
--------民主の2大政党が、似たり寄ったりになっているわけですね。
森田民主の2大政党が、似たり寄ったりになっているわけですね。
森田 そうです。大軍事力をもって世界を抑えつけることは、もうできなくなった。完全なる市場経済、規制緩和、小さな政府、公的な社会政策支出は限りな くゼロに近づけるという、いわゆるフリードマン理論に基づく経済政策が完全に破たんした。レーガンに始まるアメリカ共和党の政策が招いた世界的不幸から回 復するためには、少なくともこれらとは違うことをしなければなりません。
morita_4  1つには平和を実現しなければならない。もう1つは中間層を中心に経済を運営して行くべきだということです。戦後30年間、日本の高度成長時代がつくっ てきたのが、総中流社会なのです。だが、アメリカから「そんな社会はやめろ」と言われ、弱肉強食を導入したため、格差社会になった。これからはケインズ理 論であり、修正資本主義であり、西洋流の穏健な社会民主主義を導入し、総中流社会に戻すべきなのです。
不況になったら一般家計にも企業にも力がないわけですから、政府が経済・景気対策を実行するしか道はない。いまこそ、国が借金を背負ってでも景気の回復を図り、国民を豊かにし経済を良くすれば税収が増え、財政危機も解消する道を取るべきなのです。
政府は逆に景気が後退期に入っているのに増税をしようとしている。歴史の教訓を知らず、国民の置かれている状況を知らず、国民の感情すら知らない、KYな政治は今度の選挙でやめさせなければならない。

地方再生を図り中央包囲網を…

森田 私はいま、「現職はみな落としましょう」「現職以外の人を当選させましょう」と国民に訴えています。
政治家にとって1番大事なことは、志です。魂なのです。だが、「自分は納得できないから腹を切ろう」「議員を辞職する」「離党する」「新党をつくって決 起する」という人間が、誰一人として出てこない。志を失い、政治家の魂を失い、情熱を失い、社会的責任感を失っている連中には、もう国政は任せられない。
私は毎日のように全国各地を回って、「国家の実力は地方に存する」という徳富蘆花の「想い出の記」の言葉を引用し、「地方を廃れさせるような政治は罪悪 だ。地方にこそ日本の本当の原点がある」と話しています。地方新党をつくり、地方から立ち上がって、大きな中央包囲網をつくり、中央政界を立て直すしか道 はないと説いています。  われわれが求めているのは、本物の政治家の集団です。貧しき人たち、恵まれざる人たちのために命をかける政治家です。うまい汁を吸おうとする権力志向の 連中ではありません。
いま、私には抗議殺到です。「自民党はダメだ。麻生はダメだとは何だ」「民主党政権をつくろうというときに、小沢までたたくとは何事だ」と。
私は「日本国民をバカにしないでくれ」と言いたい。ただ、政治改革は一般国民だけではできないんです。政治リーダーが必要なんです。第3の極を目指す政治家が現れたら、圧倒的ブームを起こすと思います。時代はそこまできています。

=ききて/08年12月16日取材 酒井雅広=