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Interview

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「景気浮揚に向け ありとあらゆる手を打つ」掲載号:2009年6月

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山本 雅史 道経済産業局長

企業倒産の話を聞かない日がないほど、疲弊しきった道内経済。拓銀破たん以降、厳しい状況はいまもなお続いている。果たして、景気浮揚に有効な手立てはあるのか。北海道の経済政策をリードする山本雅史道経済産業局長にズバリ聞いた。

景気判断は「後退」から「さらに後退」

――――道内経済の現状をどう分析されていますか。
山本 昨年秋から非常に厳しい状況が続いています。道経産局では毎月「管内景気判断」を出していますが、昨年12月に「後退」、今年2月からは「さらに後退」という表現を使っています。
――――具体的には。
山本 個人消費は「一段と弱い動き」と判断しています。食料品は底堅い動きになっていますが、衣料品 や身の回り品は低調です。新車販売は大幅減。家電は薄型テレビやブルーレイなど一部増加はあるものの単価がダウン。全体としてみると盛り上がりに欠けてい ます。消費マインドが非常に低迷している。また、住宅も大きく落ち込んでいますし、企業の設備投資も前年度を下回るような状況です。公共投資については、 補正予算の効果などから年明け以降前年を上回る水準になっています。
――――道内の生産や雇用の状況はどうですか。
山本 経済全体から見ると個人消費を中心に需要が非常に弱く、このため鉱工業生産は昨年8月から8カ月連続して前年比マイナス。これらを受けて雇用情勢もさらに厳しさを増しています。
――――非常に厳しい現状認識ですが、今後の見通しは。
山本 鉱工業生産については1つの転換点に差しかかってきていると思います。自動車部品や電気機械な どでは在庫調整が進展し、そろそろ生産減少に歯止めがかかる時期にきている可能性がある。公共事業が増えているので関連資材などにもいずれ動きが出てくる でしょう。4月以降の鉱工業生産はそろそろ上向くのではという期待はあります。
ただ仮にそうだとしても、急激に低下していたものがやっと底を打つという話。生産自体は全体で前年よりも2割以上低い水準ですから、すぐ大喜びするようなものではありません。
――――消費マインドを高める方策は。
山本 今回の国の経済危機対策には、エコ家電、エコカーなどの購入支援が盛り込まれています。消費マ インドを高めていくことが大事。各国で景気対策が行われ、世界的な景気回復を期待するところです。このような需要回復で生産が増え設備投資にもつながって くるという循環が理想ですが、本格的な景気回復につながるには、まだ時間がかかると思っています。

待ちの姿勢でなく積極的アプローチ

――――景気浮揚に向けた道経産局の取り組みは。
山本 政府としては昨年度2次にわたる補正予算をつくり、2009年度予算に景気拡大策を盛り込みま した。さらに4月初めには「経済危機対策」を発表して、それに必要な補正予算案を4月27日に国会に提出しています。ありとあらゆる手を打ってやっていこ うということです。今回の経済危機対策は火急の対応が求められる「緊急対策」と中長期的な視野に立った「成長戦略―未来への投資」という部分に大別できま す。
「緊急対策」は金融と雇用。金融では昨年秋からやっている中小企業向けの緊急保証の内容を充実しつつ、確実に実施していくことで中小企業の資金繰りが困ら ないように万全を期します。それ以外にも「小規模事業者経営改善資金融資制度」いわゆる「マル経融資」の拡充もしました。さらに公庫のセーフティーネット 融資の拡充や中堅・大企業向けの資金対策も今回の補正予算に盛り込まれています。
――――雇用のほうは。
山本 雇用対策は労働局や道と協力しながら、ジョブカフェの機能を強化。当省では人を雇う意欲をもった中小企業を全国で1400社紹介する本を作成し、ジョブカフェなどに置きました。まだ日にちは決まっていませんが、雇う意欲のある企業を訪ねるバスツアーも行う予定です。
――――未来への投資という部分では。
山本 国全体では「低炭素革命」「健康長寿・子育て」「底力発揮・21世紀型インフラ整備」の3本立て。対症療法だけではなく将来に向けた投資を積極的に行いビジネスをつくっていこうということです。
――――それを北海道としてみていくと。
山本 私は4つあるかなと思っています。  1つは農商工連携。北海道の基幹産業であり「底力」の1つである1次産業を元気にするために商工業で培ってきた技術、ノウハウをうまく結びつける。たと えばITやモノ作りの技術を使い農産品の効率生産、より付加価値の高い食品の供給。道経産局が農業者と商工業者の出会いを演出しつつ、技術開発や新商品の 開発・販売を支援していく。
2つめはモノ作り支援。自動車関連や電気機械など、北海道で最も期待され、ここ数年伸びてきた分野がいま一番厳しい状況に置かれています。これをまた盛 り返して元気になってもらわないといけない。今回の補正予算案の中に、将来に向けて中小企業の基盤技術を磨くための研究開発や新製品の開発支援策が入れら れている。それを活用し、いま元気を失っている北海道のモノ作りを支援したい。
――――3つめは。
山本 産学官連携です。北海道には優秀な大学がたくさんあって、それぞれの特色に応じたユニークな研究成果をあげています。そういう技術シーズをうまく産業界につなぎ、事業に仕立てていく。
4つめが環境・エネルギー。国全体としても新エネルギーを活用しつつ環境をよくしていこうという方向です。太陽光発電の普及支援などをしっかりやってい くのと同時に、それ以外の新エネルギーにも着目していきます。北海道には有望なエネルギーとしてバイオマスや雪氷熱などがあります。すでに帯広市や上川管 内下川町で「低炭素社会への実証モデル事業」が行われていますが、さらに予算がつけば、他の地域でもさらなるプロジェクトを実施していきたいと考えていま す。道経産局は待ちの姿勢ではなく、自らが積極的にアプローチして案件を発掘していく。そして、新エネルギーを活用した北海道らしい新しいビジネスをつ くっていけるよう全力を尽くします。

=ききて/鈴木=