「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > インタビュー

Interview

このエントリーをはてなブックマークに追加

「地方創生の積極支援が私たちの使命」掲載号:2015年8月

photo

笹原晶博 北海道銀行新頭取

北海道銀行の頭取が12年ぶりに交代した。堰八義博前頭取からバトンを渡されたのは、同期の笹原晶博氏だ。新体制では今まで以上に地方創生への取り組みや道内企業の海外進出支援などを強化する。笹原氏に新たな経営戦略を聞いた。

創業時からの実質主義を引き継ぐ

――北海道銀行では12年ぶりとなるトップ交代です。頭取に就任された現在の心境を教えてください。

笹原 12年間、役員として堰八義博前頭取(現会長)を支える立場でやってきました。代替わりしたほうがという気持ちもありましたので、本当に私でいいのかとも思いました。

ただ、堰八前頭取から「やってくれ」と言われたとき、次のステージに向けて当行を変えていってくれということなんだろうと、自分なりに理解して、今回、受けさせていただいたということです。

いまは、身が引き締まる思いで、がっちりと受け止めています。

――入行からこれまで、印象に残っている仕事はありますか。

笹原 印象に残っていることがたくさんあります。例えば、現在使われているものの前のシステム開発に11年携わりました。こうした〝ものづくり〟にかかわれたのは、いい経験だったと思います。

それから新しい個人向け商品の開発をおこない、月寒支店では支店長として地域のお客さまとのつながりを持たせていただきました。本部に戻ってからは、効率的な店舗運営をするための組織改編をおこない、新たな営業店運営体制をつくりました。

いまこうして振り返ると、何かをつくりあげたり、新しい仕事にチャレンジする経験を多くさせていただいたと思います。

――自身が思う道銀の特色はどのようなものがありますか。

笹原 当行はもともと戦後生まれの銀行です。全国の中でも若いといわれながら、もう64年もたっているのですが、当行の組織は堰八前頭取のように、上と下が近いというか、風通しがいい。これは当行の強みにもなっていると思います。お客さまとの関係においても、敷居を高くしていません。これは大事なDNAだと思います。

まさに、創業時から受け継がれている「実質主義」です。虚飾をしない、本来何が大事かしっかりと考えようという文化が当行にはあります。

――ご自身の仕事観は。

笹原 座右の銘は「至誠、天に通ず」です。自分の生き方もそうですし、組織もそうあってほしいと思っています。

また、若い人には仕事は選ぶなと言っています。すべてが将来の血となり、肉となるわけです。いまに全力を尽くせと話しています。私自身も、そう信じてこれまでやってきました。

地方創生本部のトップに山川副頭取

――現在の金融業界をどのようにとらえていますか。

笹原 これだけ低金利の状態が長期に及んでいるという意味では、非常に厳しいものがあります。加えて、地域の人口減少、とりわけ生産年齢人口が急速に減少し、高齢化が進むという中で、地域経済の地盤沈下は始まりつつあるという環境にあると思います。

しかし、私たちは地域で商売しています。まさに地域と一体なのです。そこをしっかりと支えていく、お役に立っていくというのが私たちに与えられた使命です。

――そのような経営環境の中で北海道銀行単体の2015年3月期の決算では、経常収益が854億1000万円、純利益は135億7300万円と増収増益となりました。この決算についてはどのように評価していますか。

笹原 ここ7年の中では一番いい決算数値だったので、それはそれで評価できることだと思います。しかし、それが継続したものになり得るかというと、必ずしもそうではないと考えています。

というのは、有価証券の運用環境だったり、不良債権にかかる処理コストが非常に低位であったということが、今回の増益の大きな要因としてあげられるからです。それが毎年続くということではありませんので、楽観はできません。

道内の経済が活性化しないことには、資金需要も先細ります。金利競争だけの競合では、経常収益は減っていきかねません。

それを覚悟した上で、しっかりと当行の強みを出しながら、安定した収益を確保できるように全力をあげていきます。

――今後、どのような改革に着手していきますか。

笹原 当行の良さを生かすためにスピード感を上げていきたいと思っています。決していままでが遅いわけではありませんが、意志決定や商品開発、顧客対応など、トータルで今まで以上にスピードをあげていきたいと。

そのための組織づくり、そして、銀行の最大の資産である人材育成を強化していきます。フレンドリーで活気がある、そういうオープンな伝統というのはしっかりと引き継いでいきたいと思っています。

――今年4月には「道銀地方創生本部」を立ちあげました。

笹原 今年は地方創生元年です。各自治体が年度内に地方版総合戦略をつくりなさいという閣議決定がなされました。国からは総合戦略の内容に応じて交付金が措置されるということになっています。

地方は存続をかけ、活性化のための取り組みをしなければならないと言われて久しいですが、いよいよ政府からも至上命令として突きつけられた形だととらえています。

本当の意味で、地域の将来を考え、実現可能な成長プランをつくらなければならない非常に重要な時期に来ています。それを私たちが地域金融機関として応援し、当事者としてかかわっていくということが必要だと考えました。組織を上げて取り組んでいく舞台、仕組みが道銀地方創生本部です。今後は機能をさらに強化していきます。

――具体的にはどのような強化を。

笹原 現在、営業部門長がキャップとしてやっていますが、これを営業統括である山川広行副頭取になっていただく。その下に、各地域を担当している役員を置き、全道をカバーする体制にして、自治体へのコンサルティング機能を強化したいと考えています。

地域の支店を束ねている役員は、各自治体の動きや考えを網羅的に押さえ、本部に情報を上げます。本部ではその情報をもとに先進的な取り組み事例を集めて、それをまた地域にフィードバックします。

また、本部は内閣官房や北海道経済産業局、北海道庁などとのパイプがあります。それを生かしながら、全国の先進事例もどんどん地域に降ろしていく。

地方創生では各単体の自治体のみならず、振興局などの地域内の連携が極めて重要になってくるでしょう。

もちろん、地方の自治体や企業もさまざまなパイプを持っていると思います。それに加えて、当行が全道に持っているネットワークも活用していただくということです。その中核を担う地区担当役員の役割は非常に大きいものがあります。

地方創生は年内をめどに取りまとめたいと考えている中期経営計画の大きなポイントでもあります。どれだけ地方創生に地域金融機関として貢献し、存在意義を示せるかです。

中期経営計画はそれをなし得るために、何が必要かということを意識した組み立てになると考えています。ここでいう「地方」とは、札幌も含めた全道各地域のことです。

道内信金、信組との連携強化を推進

――8月中に地方創生を推進するファンドの枠組みを固めます。5億円程度ではじめ、信金や信組にも参加を呼びかけていますね。

笹原 地域活性化のためになる起業を支援していこうと調整しているところです。各地域においては信金や信組が地元経済を支える役割を担っている側面があります。

私たちは全道ですが、同じように、地域を守るという目的は共有しています。これまで以上に、道内の信金、信組との連携は必要だと思っています。

――6月15日には、国内の地方銀行として初めて、北京市人民政府の直属機関である「北京市投資促進局」と経済協力協定を結びました。今後、道内企業の海外ビジネスのサポートは、どのようにおこなっていきますか。

笹原 ロシアや中国、そしてタイやシンガポールといった東南アジア、いずれも道内の経済にとっては、重要な市場だと思っています。当行では以前から駐在員事務所をこれらの地域に開設するなど、積極的に海外進出支援をおこなってきました。

いまはまさに北海道ブランドの風が吹いています。それを生かすチャンスはすでに到来している。この時間軸を捉え、どのように成功事例をつくっていくかが重要です。

北京での協定により、これまで以上に道内企業の海外進出のビジネスパートナー探しなど、幅広いサポートが可能になりました。

また、当行の強みは極東ロシアにあります。国内の金融機関として実質的に活動しているのは当行だけです。道産品の輸出拡大、アグリビジネスなど、いくつかの事業が現在進展していますが、市場調査も進め、これもしっかりと成功事例を積み上げていきたいと思っています。

――カーリングチーム「道銀フォルティウス」の支援や子ども向けの金融教室など、CSR活動については今後どのような考えをお持ちですか。

笹原 特に新しいことを考えているわけではありません。現在、当行が手がけているスポーツ支援などを継続しておこなうことが大事だと考えています。

最大の地域貢献は経済において本来の使命を果たすことです。まずはそこをしっかりとやったうえで、いままでやってきたCSR活動は継続していきます。

――ところで、多趣味だそうですね。

笹原 広く浅くなんですよ。もちろんゴルフもするし、読書や音楽鑑賞も大好きです。川釣りもやりますが、一人で行くのでこれは止められています。一人旅も同じくです。スポーツ観戦も好きで、野球とサッカーもそうですが、よく見るのは格闘技です。特にボクシングと総合格闘技。落語もタイミングがあったときは、聞きに行っていますよ。

――お忙しい中、ありがとうございました。

=ききて/=