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Interview

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「卸にこだわり、食の流通革新を推進する」掲載号:2009年8月

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國分勘兵衛 国分 代表取締役会長兼社長(12代目) 

(こくぶ・かんべえ)1939年4月27日生まれ。兵庫県出身。62年慶應義塾大学商学部卒業。同年味の素入社。67年国分商店(現・国分)入社。77年副社長、91年社長、92年5月「12代目國分勘兵衛」を襲名。2003年3月から現職。

国分は2012年に創業300年を迎える。食品卸売業のトップ企業として、業界を常にけん引してきた。一歩先を行く経営は、同業他社の手本となっている。
12代目当主となる國分勘兵衛代表取締役会長兼社長に、経営哲学について聞いた。

食を通じて心豊かなくらしをお届けする

――食品卸売業界の先頭を走り続ける経営の秘けつは。
國分 優秀な人材がいたことに加え、時流に合わせ環境の変化に対応しながら、お得意様のために機能してきたことが、今日につながったのではないかと思います。
――具体的には。
國分 当社は江戸時代には醤油の醸造業をやっていました。物品販売業に変わったのは明治以降です。昔 の問屋業はコメは米問屋、お酒は酒問屋と商品別に扱う会社が決まっており、商品が違うとなかなか取り扱うことができなかった。そのため、最初は醤油の問屋 からはじめ、その後、明治以降に入ってきたビールを手がけたり、味の素やカルピスと一緒に仕事をしたり、当社商標ブランドのK&K商品を立ち上げたりと、 いろいろと新しいことをやりました。一方で他の専門問屋が扱っていた商品を少しずつ取り込み、現在のフルライン的な形の品ぞろえにしていったわけです。
――明治時代から革新的な経営をしてきたわけですね。
國分 そのころ経営にあたっていた先人や社員が、一体になって苦心し、いろいろ考えながらやってきた結果です。
当社は学卒の人材を採ったのも早いほうですし、コンピューターを会社のツールとして取り込んだのも一番早かった。お得意様も栄枯盛衰がありますし、いろんな業態変化があります。その変化に合わせていろいろ対応してきたということです。
――現在、進めている、長期経営計画「アドバンス300」について教えて下さい。
國分 創業300年に向け、強固な経営基盤を確立しようということを中心にしています。社是として「信用」、企業理念として「継続する心、革新する力」を掲げています。
私たちは食を通じて、心豊かなくらしをお届けします。“問屋”であることにこだわり続け、新たな流通革新に挑むため、卸機能と人材の強化を推進していき ます。最終的には国分と取引して良かった、国分で働きたいという「国分ブランド」の確立を図っていきたいと考えています。

利便性の追求で各分野の融合が進む

――北海道国分と北酒連が合併しシュレン国分が発足しました。北海道での戦略は。
國分 われわれ卸売業は縁の下の力持ちです。メーカー、小売店問わず、取引先に対してお役に立てるように努めていく。このスタンスは北海道でも一緒です。
ただ、全体として無駄なものが多くなってきています。北海道も昔と違い非常にインフラも整備されてきたし、ITなど技術革新も進みました。しかし、時代遅れになってしまっている仕組みもある。そういうものを少しずつ整理していくことが必要でしょう。
――道内で国分農場を経営してます。農業生産者としての展開を考えているのですか。
國分 今の段階では考えていません。ただ、北海道は今後、食糧の供給基地としてさらに見直されてくる でしょう。コメなどが良い例ですが、地球温暖化の影響で生産地が北海道に移ってきています。今後は北海道から品質の良い農産物を仕入れ、本州方面に売って いくとか、いろいろなケースが出てくるはずです。
私自身は地方が活性化するために、国がもっと投資すればよいのではないかと思っています。物流のインフラをもっと整備することで、地方に人やモノを持って行ける環境になればいいですね。
――水産・生鮮品などを扱っていく考えはありますか。
國分 フルライン化の一環で進んでいくでしょう。
――薬事法改正で扱えるようになった医薬品については。
國分 医薬品については、提携している医療品卸とのアライアンス(企業間提携)による供給体制を構築していこうと考えています。今後、市場環境を踏まえ、健康にまつわる食の価値提供や、お得意先への地域密着の健康支援につながる提案までを視野に入れ、取り組んでいきます。
――小売業の変化に応じて卸業も変わっています。次はどのような変化が起こると見ていますか。
國分 消費者にとっての利便性を考えれば、どんどん一体化していくでしょう。例えば日用雑貨はいまはスーパーで扱っていますが、昔は雑貨屋さんがあり、そこに卸している専門の卸がいたわけです。
食品問屋がクスリもやるし、逆にクスリ問屋が食品をやる、お酒もやる、生鮮食品を売るというように、さまざまな分野や店が垣根を越えて融合していき、地域にとって一番使い勝手の良い店ができてくる。
都市部ではそうした店が何軒もできますが、過疎地では高齢化が進み、クルマを使って買い物にも出かけるのも難しくなってきます。買い物に出るのに労せずに済む、地域に密着したお店というものが見直されてくると思います。

消費者の声に応え質の向上に努める

――同業他社とともに商品情報を共有化するため立ち上げた「ジャパン・インフォレックス」でも、中心的役割を担っていますね。
國分 私どもが考えているのはSCC(サプライチェーン・コンソリデート)、最適流通です。流通をトータルで考えたときに無駄がなく最適になるように、生産者と消費者がつながるようなことが大切だと考えているわけです。しかし、これを単独でやるのは容易なことではありません。
食品は新商品が次々と発売され種類も多い。従来は卸各社が食品メーカーからそれぞれ商品情報を入手し、独自形式の商品情報データベースを構築していまし た。しかし、ジャパン・インフォレックスで商品データベースを標準化するようになり、各社ともデータベースをつくるのにかけていた手間とコストがかからな くなった。これにより社会的なムダが省けました。
ほかにもやらねばならないことはあるのですが、哲学の違う各社が集まってやっており、そううまくはいきません。とはいえ、できるだけ最適流通にしようと努めています。
――“卸”の立場から小売業に提言できることが増えていくのではないですか。
國分 提言というより、お手伝いをさせていただくといった方が正しいでしょう。リテールサポートとかセールスプロモーションとかいろいろありますが、それを取り入れどう生かしていくかは、各小売店の判断です。
基本的にはパイは狭まってきています。いまはオーバーサプライとかオーバーストアとかいわれる状況です。それが今後、再編されていくことになっていくでしょう。小売りだけでなく問屋もです。
――将来に向けて考えていることは何ですか。
國分 日本の構造から考えて、市場は将来的に縮小する方向にあります。少子高齢化で人口も減っていく し、外需から内需への転換が叫ばれていますが、内需をつくり出すのはなかなか難しい。一方で消費者からの要求は大きくなってきています。安全・安心や健康 重視などいろいろありますが、みんなコストがかかることです。
とはいえ、原産地とか生産、流通の履歴など、さまざまなことを“見える化”していくことは必要でしょう。そういうことを含め、質の向上を重視していかなければなりません。当社も、みなさんからできるだけ利用されるように、いろいろと知恵を絞っていきたいと思っています。

=ききて/坂井=