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Interview

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「ヨーカドーは道民生活の味方です!!」
新業態「ザ・プライス」出店を検討 旧ロビンソンは都心型スーパーとして再生
掲載号:2009年4月

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亀井 淳 イトーヨーカ堂

(かめい・あつし)1944年5月30日生まれ。東京都文京区出身。68年早稲田大学第一商業学部卒。80年1月イトーヨーカ堂入社。93年5月取締役、99年5月常務取締役、2003年5月専務取締役を経て、06年9月から現職。
06年9月にイトーヨーカ堂トップに就任した亀井淳社長は、プライベートブランドの「セブンプレミアム」、ディスカウント店「ザ・プライス」などの新機軸を矢継ぎ早に打ち出し、注目を集めている。今後の企業戦略と道内での事業展開について聞いた。

品質の良いものをより安く提供する

――08年から千葉で農業生産法人「セブンファーム富里」を運営していますね。
亀井 食糧自給率がカロリーベースで40%を切っている中で野菜、とりわけ“露地物”は輸入が難し く、他の農産品に比べて日持ちもしない。国内の生産者は6割以上が65歳以上になってきており、農家も減少傾向にあります。将来的に野菜の入手が困難にな るという不安があった。セブンファームの創設は、より新鮮で良いものをお客さまにお届けしようというのが第1の理由です。また、私どもはお弁当などの残さ を家畜の飼料や畑の肥料にしていますが、その肥料を使って野菜を作り、お店で売れば完全な循環型リサイクルになります。
加えて私ども売る側が生産にかかわることで情報の共有化も図ることができます。その情報をお客さまに届けることもできる。また、生産の過程で端物といわれ るものが出てきますが、そういったものはこれまでは出荷前の段階で廃棄していました。それを安く提供することもできます。廃棄していたものが店舗に出せる わけですから、生産性も上がることになります。
この事業は、複数の生産者さんと共同で行っていますから、農機具の共用化も図れますし、北海道の大規模農場のように生産計画も立てやすくなり、無理・無駄がなくなり、生産効率も上がります。
まずは千葉で始めましたが、今後は神奈川、埼玉にもつくり、ゆくゆくは北海道でもと思っています。
――ホクレンと共同で、コメ粉を使った商品を開発中と聞きましたが。
亀井 麦価高騰にともない始めたものですが、日本の農産物で一番生産量が多いのはコメです。だから、コメ粉を使うのが一番だろうと。パンやうどんに使い、おいしいものもできました。ただ、最近は麦価が下がっていますから、計画全体をいま一度、見直しているところです。
――プライベートブランドのセブンプレミアム商品も充実してきました。
亀井 07年5月から始め、2年近くになりますが、09年2月期で約600アイテム、売り上げ 2000億円を超えています。来年2月期には1300アイテム、売り上げ3200億円にまで上げる計画です。いま消費者マインドには不況感が漂っていま す。節約をしたいという気持ちが強くなっており、価格に対し非常に敏感になってきています。しかも、モノの価値がわかっていますから、安かろう悪かろうで はダメなんです。
セブンプレミアムは通常のナショナルブランドの商品の価格帯よりも1割から3割下げ、かつ同等以上の品質の商品を提供しています。メーカーにもご協力いた だき、生産者としてメーカー名を入れさせていただいています。生産者と私たちが一緒になって仕様を組み、メーカーの生産性を上げられるような仕組みを作 る。宣伝費をかけない。そうしてコストを削り、価格を抑えています。
生産性を上げて、無理・無駄を省き、良いものをより安く。こういう時代は当分、続くと思います。

10年度までにネットスーパーを全道展開

――昨年、新業態のザ・プライスを立ち上げましたが、この店舗の特徴は。
亀井 いま、お客さまが欲しているのは、価値をともなった安さです。それに挑戦しようということで始めました。背景には昨年、原油や穀物価格など、あらゆるものの価格が高騰したことに加え、現在の世界的な不況があります。
メーカーには、三方一節約する代わりに、回転率を上げて三方一両得にしようと呼びかけ、協力いただいいます。取引先も新規開拓して新しい商品を導入しています。
サービス面では、お客さまに我慢をしていただいている面もありますが、お客さまの声を大事にし、取りいれています。というのも、ザ・プライスは「お客様がつくっているお店」というのが、私どもの考えだからです。
――ヨーカドーが、撤退したロビンソン札幌店の後継施設に核テナントとして入りますね。
亀井 百貨店業界というのは、いま一番苦しい業界です。私どものロビンソンも例外ではなかった。ただ、 あそこには周辺2㎡圏内に10万人ものお客さまが住んでいらっしゃる。アンケートをとってみると、食品を買う場所が必要との答えが圧倒的でした。そうした 声におこたえして、都心型スーパーとして、あの場所で営業を継続させていただくことを決めた次第です。
――百貨店では札幌と旭川の西武百貨店の閉鎖説が出ています。
亀井 それについては、まだ何も決まっていません。ミレニアムリテイリングが当グループに入り3年がたち、いろいろな協力体制ができてきました。ミレニアムは事業会社の1つですから、ホールディングスを含めて、同社とよく話をしながら方向性を出していくことになると思います。
――道内でのヨーカ堂の店舗計画を教えてください。特にアリオは早急に5店舗ほど設けるとの話でしたが。
亀井 いまは従来の考え方や成功体験だけをを元に、物事を決められない時代です。ただし、お客さまの 「良いものをより安く買いたい」というニーズは不変であり、有益な情報やサービスを提供する空間は、いつだって支持されます。ただ、アリオの主役であるテ ナントが、商売できるような店舗運営と立地を考えていかなければいけないわけです。そう考えた場合、こうした状況下でアリオのような店をドンドンつくって いけるのか、道内のお客さまのニーズはどうなっているのか、そういうことを分析しなければなりません。右手でアリオ、左手でザ・プライスという攻め方もあ りますが、そのあたりについて今後どうあるべきなのかをいま、再考しているところです。
今回、ヨーカドー千歳店が退店しますが、地域とのつながりを考えますと、できる限り退店というケースは少なくしたい。
一方で昨年11月末から札幌でヨーカドーネットスーパーが稼働しました。2月11日には旭川、函館、釧路でもスタートしました。これを2010年度まで に道内の全店舗所在地で始める計画です。当初、首都圏や大阪圏だけやっていましたが、北海道のような場所にこそネットスーパーが必要だと考えたからです。
地方にはスーパーなど大型店がない地域が多く、住民の高齢化も進み、買い物に出かけることすらままならくなっています。道内にはそういう地域が多い。そ う考えると、いち早くネットスーパーを全道展開することは意義のあることだと思います。自分が北海道が大好きだから言うわけではありませんが、ヨーカ堂は 道民生活の味方です。道民の皆さんの生活に資するため、よりよい施策を考えていきたい。

=ききて/坂井=