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Interview

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「クール・HOKKAIDO」で観光力アップ掲載号:2015年1月

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高橋はるみ 北海道知事

 高橋はるみ知事の3期目が、最終盤にさしかかってきた。2016年3月の北海道新幹線開業を控える中、15年は道内にとって大切な1年になる。高橋知事に観光活性化策、泊原子力発電所再稼働、4選出馬への思いなどを聞いた。

礼文島に行き自然災害の脅威を痛感

――3期目の任期が残り4カ月になりました。
高橋 2011年3月、知事選前に東日本大震災が発生しました。私は予定していた活動をすべてキャンセルして、函館から根室まで、太平洋沿岸の被害状況確認のため、視察させていただきました。
道政史上初めて、知事選告示後に臨時議会を開会し、補正予算を提案しました。そんな大変な状況の中で、3選を果たさせていただきました。
当選後も挨拶回り、マスコミ各社のインタビューもキャンセルし、投開票日翌日から東京に出張しました。私は北海道東北地方知事会の会長で、実は選挙期間中に岩手県の達増拓也知事(当時)から電話がありました。
「福島、宮城、岩手の3県は深刻な状況です。会長のリーダーシップのもと、北海道東北地方知事会として復興・復旧に向けての提言をまとめて、政府に伝えてほしい」という内容です。  3県を除いた形で、東京で同会の臨時会を開いて、民主党幹部に要請に行きました。その足で福島、宮城、岩手を回り、それぞれの知事に提言内容を伝えたことを強く覚えています。
――14年はどのような1年でしたか。
高橋 海外出張に13年よりも多く行った印象です。4月と10月に中国、6月はロシアの極東地域、8月はシンガポールです。
極東は北方領土問題を抱える道としては大変重要な地域です。日露の首脳同士も緊密関係にあります。交流を深めると同時に、北海道のトップセールスもやらせていただいたつもりです。
――大きな土砂災害もありました。
高橋 広島県も大きな被害を受けましたが、道内でも8月に起きた礼文島の土砂崩れでは、2人の方が亡くなられました。私も災害直後に訪れさせていただいて、自然の脅威を改めて感じた1年でもありました。
前向きな話では、JAL(日本航空)の経営破綻以降に紆余曲折ありましたが、HAC(北海道エアシステム)がJALの傘下に入ったことでしょう。10月にJALの植木義晴社長が挨拶に来られたとき「お世話になりました。これからJALグループの一員として一緒にやります」と言っていただきました。

北関東に北海道新幹線を売り込む

11月には北海道新幹線(16年3月開業予定)のレール締結式が、木古内町でおこなわれました。南は鹿児島中央駅から、北は新函館北斗駅まで2150キロが結ばれたことになります。  知事就任後、道新幹線の道南までの実現に取り組んできましたので、いよいよという思いを新たにしました。12月からは新幹線車両を使用してのテストランも始まります。そうしたことをかみしめながら、実際にレールの上を走る開業を地元の方々と協力しながら、迎えなければなりません。
――15年は道新幹線をアピールする上で大切な年になります。
高橋 道内では新幹線が来ることをみなさんご存じですが、これからレールで結ばれる道外の地域にPRをしていかなければいけません。東北や東京は当然ですが、重点的に取り組むのは北関東です。北関東のみなさんは、観光、ビジネスで北海道を訪れるとき、いったん東京に行ってから飛行機に乗ります。道新幹線が開業することで直接、北に向かって来ることができるわけです。
道内では新幹線駅前のにぎわいを創造していきます。長い目でみれば、その先の札幌延伸は、早くても10年を下回ることはないでしょう。新函館北斗駅は終着駅効果が期待できます。ビジネスの人たちに関心を持っていただく活動を、地元との連携を緊密にしながら、フル回転でおこなっていきます。
着々と進んでいくと思いますが、開業までにできる限り形をつくっていく必要があると思っています。

映像を使って美しい自然、食をPR

――北海道を訪れる海外からの観光客が増加しています。
高橋 観光の入込客数は、北海道の人口の10倍近くに上ります。そのうち約8割は、道民が道内旅行に出かけるものです。
私は〝観光の地産地消〟と言っていますが、「ふるさとの中で新しい魅力を発見しよう」と、道民のみなさんに呼びかけています。
しかし、1人当たりの消費の額という意味では、道外からいらっしゃる日本人のお客さま、さらに海外からの外国人観光客は、相当量の買い物をされます。圧倒的に海外客が狙い目なんです。
現在、全国の海外旅行客のうち、10分の1が道内に来ている実績があります。それをさらに伸ばしていかなければいけません。
――受け入れ態勢の整備も重要です。
高橋 たとえば、語学に精通した方々の教育、あるいは留学生のみなさんに雇用の場を提供し、われわれと一緒に北海道の観光を高めていただきます。
道では現在、「クール・HOKKAIDO」キャンペーンを実施しています。
北海道のいいモノを、もっともっと発信していく運動です。そこで威力を発揮するのが映像の力です。北海道の景観のよさ、食のすばらしさ、緑の美しさなどを、映像を通してアジアの方々に提供していきます。
潜在的に北海道に憧れを持っている人たちの望みが、旅行という形で顕在化する。それが北海道の活性化につながります。
――カジノを含んだIR(統合型リゾート)も、観光活性化の起爆剤になりますか。
高橋 私がIRに関心を持ったのは、北海道の観光業における非正規労働者の多さです。雇用が安定しないのは、月々の観光入込客の変動が大きいことです。夏、冬にピークがあって、その間が落ち込みます。その少ない時期をカバーするため、全天候型の観光施設が不可欠だろうと考え、IRに関心を持ちました。
いま、4つの市と村が関心を持っており、ともに情報を共有しています。
――シンガポールのIRにも視察に行きました。
高橋 シンガポールは都会型ですよね。北海道の場合、違う形を想定しています。たとえば、自然や馬産地、スキーなどを活用する。体験型の施設も可能です。
その一方、ギャンブルということに対する拒否感を持っているみなさんも多い。道民のみなさんには、さまざまなIRについての情報提供をさせていただきます。
ただ、現在はIRを検討中という段階で、これから道民の意識を探ることで、道としてコンセンサスが見えてきます。その上で、北海道らしいIR構想が生まれるかもしれません。

泊再稼働を判断する段階ではない

――11月には、札幌中心部の三井JPビルディングにアクサ生命札幌本社がオープンしました。バックアップ拠点構想の推進にも力を入れています。
高橋 地域間競争がありますので、それぞれの地域の優位性をアピールしながら企業を引っ張ってこなければいけません。
1つは「豊かな自然という資源を活用して、道内でものづくりをしましょう」というものです。それに加えて、自然災害リスクが比較的少ないことをアピールしながらの誘致活動もできます。企業は顧客、株主に対する責任があり、安定的に生産、事業活動を続けていかなければいけません。首都圏、関西のみの事務所、工場の一部を北海道に持ってくることで、リスク分散を図ることができます。
バックアップ拠点構想は、国内企業のお役に立てることなんです。もっと北海道の優位性をPRしていく必要がありますし、水面下でいくつかの案件も生まれてきています。
また、ドクターヘリも、15年2月に道内に配備され4機体制になります。緊急医療をこの北海道の中でカバーするため、ドクターヘリの威力は大きいと思います。4機まで実現すると約束していたので、達成ができてよかったです。
――泊原子力発電所の再稼働への対応は。
高橋 東日本大震災は、日本国民にいろいろな教訓をもたらしました。その大きなことの1つが、原子力発電所はいったん有事になると、大変危険なものになる可能性が高いということです。それを踏まえて、原子力規制委員会において高いレベルの基準による安全審査を進めています。
道内の泊原発はその途上にあります。再稼働について「イエス」とか「ノー」とかいう段階では一切ないと、私は思っております。
この冬も火力発電所がフル稼働です。四国や九州と比較すると、本州との電力融通のキャパシティーが少ないんです。われわれとしては節電を呼びかけて、なんとしても今シーズンも乗り切ります。
そして北海道は再生可能エネルギーの宝庫です。新エネルギー開発で道外の企業に協力いただくと同時に、地産地消を推進していきます。北海道電力にも理解を求めていきます。
――11月には電気料金が再値上げになりました。中小企業には、コスト増により経営が厳しいという悲痛な声があります。道として、再値上げへの対応策は打っているのでしょうか。
高橋 本日開会された道議会でも申し上げましたが、所得の低い方々向けに「福祉灯油制度」があります。道と市町村が連携してそうした世帯に支援をおこなっています。そこに灯油だけではなくて、電力の負担増にも対応できる形にします。
中小企業向けには金融面で、信用保証料の補助制度の創設を道議会に提案させていただいています。できる限り負担が少なくなるように、努力したいと考えています。
また、特別相談室の設置や、電気コストに関するアドバイザー派遣など、いろいろなメニューをパッケージとして提示し、少しでも負担感を少なくしていきたい。
――最後に4選出馬の可能性を教えてください。
高橋 衆院選の期間中も、私自身の頭を整理し、考え方をまとめていきたい。それが終わったのちに道民のみなさんに私の思いを示したいと考えています。    (取材日=11月26日)

=ききて/前田圭祐=