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會澤高圧コンクリート

6月30日にはセンター内で開設式が行われた

脱炭素経営で先陣を切るイノベーションの〝仕掛人〟

コンクリートメーカーとして、コンクリートにテクノロジーを掛け合わせ、イノベーションを創出する「會澤高圧コクリート」。メガベンチャーとして海外からも注視される。

2022年には、温室効果ガスのサプライチェーン排出量を実質ゼロにする「NETZERO 2035」を策定。昨年末に會澤祥弘社長は「23年は〝脱皮〟の年になる」と語っており、全国のプレキャストコンクリートメーカー50社、レディーミクストコンクリート工場50拠点へ関連技術を提供するとコミットした。

掲げた数値目標は今年6月末時点でクリア。コンクリート業界において脱炭素化に向けた〝集団的な動き〟を加速させている。

さらに、コンクリート版の脱炭素経営プラットフォームも開発。このシステムは、脱炭素技術を用いたコンクリート製品の製造証明書をNFT(非代替性トークン)として発行するものだ。製品を購入したゼネコンやデベロッパーに譲渡することで、炭素削減の証跡データを〝自律的〟に管理。炭素削減量のトレーサビリティを確保するとともに、改ざんや二重計上の防止も期待できる。本格運用は6月30日から始まった。

これに合わせて、福島県浪江町に研究開発型生産拠点「福島RDMセンター」をグランドオープンさせた。新会社「aNETZERO」の本社を同センター内に設置し、協定締結各社の基幹システムとのデータ連携を促していく。 

一方で、化石燃料からの抜本的なエネルギー転換も目指す。目下開発中なのが、コンクリートの浮体を使ったフルコンクリート製グリーンアンモニア製造艦「MIKASA」だ。

艦体には100㍍を超える洋上風力タワーが立ち、洋上風力発電でアンモニアを製造する。これを海陸輸送し、独自の触媒技術で使用直前に水素に転換。実証艦を28年までに進水させる計画で進めている。 

會澤社長は「炭素に負い目があるコンクリート業界だからこそ集団的な行動が必要。誰かが動かないと何も変わらない。自ら拓いていく」と先陣を切る。

會澤祥弘社長
「福島RDMセンター」の外観