北海道文教大学
建学80周年。建学の精神を引き継ぎ、生き抜く力を養う
――入試と就職率ともに好調でした。
渡部 学科による差はありますが、昨年開設した国際学部を中心に全体的に良くなっています。推薦入試で意欲のある生徒を採れたことも及第点だと思っています。
一方の就職率も全体で98%台。現場での実習が限られているなか、教職員や卒業生、親御さんのフォローもあり、学生自身がコロナ禍に対応できる力を身につけたことが大きいと感じています。
――コロナ禍で大学に変化は。
渡部 コロナ禍の前からですが、社会全体がAI化していく中で、本学では考える授業を積極的に取り入れてきました。特に実習を数多く取り入れ、〝気づき〟〝問題解決力〟〝対応力〟を大切にしています。オンラインによる授業が増えたなかで、学生・教職員ともに対応できたことが、就職率という結果に現れたと思っています。
――世間では現代の若者をZ世代と称しますが、学生の印象は。
渡部 コミュニケーションや対応力などが欠けているという評価もありますが、人として変わらない部分があると感じています。人の心、助け合う心を持った学生が本学には非常に多い。特にチームで学ぶ授業を多く取り入れているので、そうした場面で積極的に助け合う姿が見られています。
――学生が助け合える授業になっているのですね。
渡部 体験型の授業は対応力や生き抜く力を磨くのに有効と感じています。今年6月からは、えこりん村でのSDGs実習が始まります。キャンパスを離れることで、学生たちのなかに、違う気づきが芽生えると期待しています。
そのほかSDGsと絡め、コープさっぽろやポッカサッポロ北海道との協定で事業を行っています。コロナ禍で大変でしたが、こういう教育にも挑戦してきて、手応えを感じているところです。
――今後に必要な人材についてどう考えていますか。
渡部 同じことを繰り返しやっていく人材は、これからは社会に適応できないのではないでしょうか。積極的にチャレンジして、失敗から学んでいく。だからこそ異文化や異業種を経験させるために、大学と企業間連携、学科間連携などに取り組んでいます。すでに医療の現場ではそうですが、専門性を追求しながらも、チームで課題を解決する時代です。チームのなかで役割を全うするという考え方を養える取り組みを、部活動を含め授業内外で強化しています。
――今後の取り組みは。
渡部 昨年、国際学部を創設しましたが、2024年4月までに新学部・新学科の構想を視野に入れながら、専門職の総合大学という位置付けを目指しています。その足がかりとして、医療系学科を統一し、23年4月に医療保健科学部を設置します。
各学部各学科を充実させ、学部間連携、学科間連携を強化し、総合力に優れた人材育成を目標にしていきます。
――最後に令和の大学教育に必要なものをどう考えていますか。
渡部 本学は1942年の戦時中に建学しました。生活に必要な人間力を身につけることが建学の精神で謳われていますが、今後世界の人口は50年に90億人になると言われています。そのため食糧事情が大きく変化し、生活形態も変わります。この際に必要となるのが生き抜く力です。今の学生たちが働き盛りとなる40~50代の時にしっかりと生き抜くことはもちろん、周りの人たちにも対応できる力を提案できるようになってもらいたい。本学は昨年、恵庭市に附属高校と幼稚園を開設しました。今後も建学の精神を継承し、生き抜く力を身につけた人材育成に邁進していきます。