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柏倉建設

社員寮「匠の宿」と「セカンドハウ巣」では、型枠職人の技術を垣間見ることができる

見えない所に〝凄い技術〟を発揮。
型枠職人の育成と技術伝承にも注力

型枠工事は建物の基礎などコンクリートの構造物を作る際に行われる。建物の強度にも影響するため数㍉単位での高い精度が求められており、一流の職人が施工したものは、見た目にも美しい仕上がりだ。

しかし通常、型枠工事は完了後に土中に埋められたり、表面をタイルなどで覆うことが多いことから、これらの高い技術を目にする機会は少ない。

この分野のリーディングカンパニーといえるのが「柏倉建設」だ。1955年に芦別市で創業後、62年に現在地に移転した。以後、札幌の発展とともに成長。都市化を支え、道内のランドマークともいえる建築を数多く手がけた。代表例に78年に開業した「札幌そごう」(現・札幌エスタ)や「札幌ドーム」、「新千歳空港国際線ターミナルビル」、「さっぽろ創世スクエア」などがある。近年は新さっぽろ駅周辺地区開発にも参画。スーパーゼネコンなどから信頼を獲得している。

中でも「札幌ドーム」では同社の高い技術の一端を目の当たりにできる。球場の内外には同社が施工したコンクリートがむき出しになっており、光を反射してその美しい仕上がりを見ることができる。

また、88年に建てられた同社の社員寮「匠の宿」(札幌市白石区栄通20丁目3番5号)でも高い技術力が垣間見える。入口は木造の神社仏閣を思わせる和風建築だが、実はすべてがコンクリート製。隣接する第2の寮「セカンドハウ巣」は入口が洋風建築になっており、ギリシャのパルテノン神殿のような曲線で構成された波打つ柱や天井が特徴的だ。

これらの装飾はいずれも同社の職人が手作業で施工したもの。匠の技の〝凄み〟が伝わる一例といえる。

こうした技術の伝承のために採用活動にも注力する。その1つが高校への出張授業だ。職人を派遣して若者に型枠工事を体験してもらう取り組みで、昨年から札幌市内の高校生向けのインターンシップも始め好評を博している。こうした活動により、今年度は高卒4人が入社した。

柏倉社長は「型枠職人にはユーチューバーのような若者が憧れる派手さはありません。しかし、まちづくりや災害復旧など人々の生活を支える素晴らしい仕事です。愚直に魅力を伝えることで、建設業界に興味を持つ若者が増えてほしい」と訴える。

柏倉一大社長
次世代を担う人材を育成