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バイオガスからメタノールを製造。実験プラントが完成

エネルギーの地産地消などさまざまな期待を背負う

岩田地崎建設(本社・札幌市)が大阪大学、興部町、エア・ウォーター北海道との4者連携協定で建設に携わった「メタン酸化技術開発研究棟」が5月26日に完成した。

紋別郡興部町の興部北興バイオガスプラントの敷地内に建設が進んでいたメタノール生成実験棟は、牛のふん尿などから発生するバイオガスを原料にメタノールとギ酸を製造。さらなる有効活用について研究を重ねる施設だ。

プロジェクトの発端となったのは、光化学を専門とする大阪大学先導的学際研究機構、大久保敬教授の研究グループが、二酸化塩素とメタンガスを特殊な溶媒に溶かしメタノールとギ酸に変換する技術を発見したこと。昨年2月には実用化を目指して4者連携協定を締結し、エア・ウォーター北海道が光化学パイロットプラント建設を、岩田地崎建設がパイロットプラントに適した実験棟の設計及び周辺環境制御技術の開発を担当した。

現在、液体燃料として用いられるメタノールと飼料添加剤に利用されているギ酸は、国内需要の全てを輸入に頼っているのが現状。家畜ふん尿由来のメタンの有効活用によって、国内生産に道筋を付け、2030年度の商業化を目指す。

また、現行のバイオプラントの主なビジネスモデルはFIT売電だが、世界初の「家畜ふん尿由来のバイオメタノール、バイオギ酸」という脱炭素社会の実現に向けた新しいビジネスモデル創出にも期待が集まる。

記者会見で30年度の実用化をめざすことも発表された