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彩生

横置きした「スーパーエコキャビン」のダブルサイズ

コロナ禍における避難所生活に安心を提供

2014年創業の「彩生さいせい」は、災害用防災用品の開発・販売を手がける。18年に開発した防災キャビン「スーパーエコキャビン」は道内の官公庁、医療福祉施設を中心に1200台以上が導入済みだ。

「実用新案技術評価書」で最も高い評価の6を獲得した同キャビンは、従来のダンボールベッドの上に乗せて使用する。日本工業規格「JISA9511」に適合した25㍉㍍の断熱材によって冬は暖かく、夏は涼しく使える。また、コロナウイルスの観点から飛沫感染防止、3密防止にもつながるため、自治体からの引き合いも相次いでいるという。

吸水・吸湿性がほとんどなく、カビが発生しづらいのも特筆すべき点だ。プライバシーが守られ、いびきをかく人が入ると音が軽減されたという実験結果もある。縦置きすることも可能で、更衣室や授乳室、仮設トイレとしても利用が可能。安全性に優れ、環境にも優しくSDGsへの貢献にもつなげている。

「内閣府の想定によると、今後30年以内にマグニチュード7クラスの大地震が起きる可能性は70%以上で、ダンボールベッドの普及が不可欠となっています。しかし、従来のダンボールベッドは仕切りがなく、プライバシーの確保が難しい。また、周囲の生活音、不快な室温により、十分な睡眠を得られない場合が多くあります。スーパーエコキャビンの普及が進めば、避難所生活は快適になります」と髙橋健一社長。

人的被害は災害だけではなく、その後の避難生活でも続く。同キャビンの使用により、車中泊が原因で引き起こされるエコノミー症候群の発症も抑えられるはずだ。

髙橋社長は、「避難住民が快適に過ごせる環境と十分に睡眠が取れる寝床をつくるのが当社の役目です。自治体の防災訓練に参加し、お年寄りや女性、子供たちの声を直に反映しました。今後も使用した人からの意見を取り入れ、改良を続けたい」と語る。

防災訓練で実際に使用した人からは「プライバシーが守られ、生活音が軽減された。マスクなしで寝られるのが嬉しい」という声が上がったという。

北海道胆振東部地震では、特に被害の大きかった厚真町や安平町、むかわ町へ同キャビンを無償提供した。さらに、19年の台風第19号で被害を受けた宮城県丸森町に納入し、鈴木直道北海道知事から感謝状が贈られた。

「各自治体からスーパーエコキャビンを導入したくても予算がない、置く場所がないという声が聞かれます。しかし、災害時の関連死をゼロにするために政府が予算をつくることが重要です。大規模な備蓄倉庫を建設し、災害への備えの意識を強く持ってほしい」と髙橋社長。

道外の商社からもオファーがあり、5月には中国、四国、九州、沖縄方面でも積極的にPR活動を行う。

髙橋健一社長
札幌市で行われた防災訓練の様子